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4章 涙の別れと笑顔の再会
和解
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「すまない……泣かせたかった訳ではない」
頭を下げる王子達に、3人は慌てて涙を拭う。
「えっ、ちょ、やめて下さい!」
「謝って欲しいわけじゃないですから!」
「頭を上げてくださいー!」
顔を上げた王子達は、どこか悲しそうな表情をしていた。
「僕達、心配したんだよ?エルから話を聞いて、急いで探しても見つからなくて……会えたと思ったら『戻れない』って言われるし……」
「でも、エルさんに手紙……」
「あんな手紙で、僕達が納得すると思ったの?両想いになって、気持ちを受け入れてくれたと思った矢先、いきなりいなくなるなんて………」
「それは……」
「僕達のため?」
イレークの言葉に、3人は頷いた。
それを見た王子達は、小さくため息をついた。
「僕達がそれで喜ぶと思ったの?」
「え………?」
「僕達がどう言われようと、別に構わない。君達は善意でしてくれたことなのかもしれない。でもね、僕達が一番恐れているのは、周りの声じゃない。君達が僕達を拒絶して、僕達の元を離れていくことなんだ」
3人は目を見開き、はっと顔を上げると、王子達は悲しそうに眉を下げていた。
今にも泣きそうな王子達の顔を見た瞬間、3人は悟った。
自分たちは、最もしてはいけないことをしてしまったのだと。
王子達の顔を見た3人の目に涙が溜まっていく。
好きな人のためを思ってした事がただの自己中心的な行動で、実行した結果、好きな人を傷付けた。
それがわかった途端、自分のした行動が自分勝手過ぎて、自分が許せなかった。
「ごめ……ごめんなさい………!」
「俺……俺達………」
「うぅ……ぐすっ………」
王子達は、子供のように泣きじゃくる3人の頭を撫でた。
その手の温かさが、更に3人の涙腺を刺激し、涙が止まらなかった。
「お恥ずかしいところを見せてしまい、申し訳ありません……」
数分後、泣き止んだ3人は状況を把握するや否や、赤面した。
「別に恥ずかしくもないだろう?可愛かったが」
「かわっ……!」
「それよりも……」
イレークは一番聞きたかったことを3人に問う。
「戻ってきて、くれるか?」
その言葉に、3人は目を見開いた。
「え……?」
「でも俺達、お暇した身だし……」
「そんな……戻っていいんですか?」
3人の反応に、王子達は苦笑した。
「確かに城を抜け出して、王子である僕達から全力で逃げていたもんね」
責めるような言葉に、3人は顔を落とす。
「でもね、君達が戻ってきてくれないとダメなんだ。仕事も全然はかどらないし、エルだって心配しすぎて寝不足気味だよ?」
話し終えた王子達の顔を見ると、とても優しい顔をしていた。
「いいんですか………?」
「俺達、戻っても……」
「本当に?」
「ああ。戻ってきてくれないか?」
イレークの言葉に3人は
『はいっ!』
元気に返事をした。
頭を下げる王子達に、3人は慌てて涙を拭う。
「えっ、ちょ、やめて下さい!」
「謝って欲しいわけじゃないですから!」
「頭を上げてくださいー!」
顔を上げた王子達は、どこか悲しそうな表情をしていた。
「僕達、心配したんだよ?エルから話を聞いて、急いで探しても見つからなくて……会えたと思ったら『戻れない』って言われるし……」
「でも、エルさんに手紙……」
「あんな手紙で、僕達が納得すると思ったの?両想いになって、気持ちを受け入れてくれたと思った矢先、いきなりいなくなるなんて………」
「それは……」
「僕達のため?」
イレークの言葉に、3人は頷いた。
それを見た王子達は、小さくため息をついた。
「僕達がそれで喜ぶと思ったの?」
「え………?」
「僕達がどう言われようと、別に構わない。君達は善意でしてくれたことなのかもしれない。でもね、僕達が一番恐れているのは、周りの声じゃない。君達が僕達を拒絶して、僕達の元を離れていくことなんだ」
3人は目を見開き、はっと顔を上げると、王子達は悲しそうに眉を下げていた。
今にも泣きそうな王子達の顔を見た瞬間、3人は悟った。
自分たちは、最もしてはいけないことをしてしまったのだと。
王子達の顔を見た3人の目に涙が溜まっていく。
好きな人のためを思ってした事がただの自己中心的な行動で、実行した結果、好きな人を傷付けた。
それがわかった途端、自分のした行動が自分勝手過ぎて、自分が許せなかった。
「ごめ……ごめんなさい………!」
「俺……俺達………」
「うぅ……ぐすっ………」
王子達は、子供のように泣きじゃくる3人の頭を撫でた。
その手の温かさが、更に3人の涙腺を刺激し、涙が止まらなかった。
「お恥ずかしいところを見せてしまい、申し訳ありません……」
数分後、泣き止んだ3人は状況を把握するや否や、赤面した。
「別に恥ずかしくもないだろう?可愛かったが」
「かわっ……!」
「それよりも……」
イレークは一番聞きたかったことを3人に問う。
「戻ってきて、くれるか?」
その言葉に、3人は目を見開いた。
「え……?」
「でも俺達、お暇した身だし……」
「そんな……戻っていいんですか?」
3人の反応に、王子達は苦笑した。
「確かに城を抜け出して、王子である僕達から全力で逃げていたもんね」
責めるような言葉に、3人は顔を落とす。
「でもね、君達が戻ってきてくれないとダメなんだ。仕事も全然はかどらないし、エルだって心配しすぎて寝不足気味だよ?」
話し終えた王子達の顔を見ると、とても優しい顔をしていた。
「いいんですか………?」
「俺達、戻っても……」
「本当に?」
「ああ。戻ってきてくれないか?」
イレークの言葉に3人は
『はいっ!』
元気に返事をした。
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