45 / 75
3章 騒動
お出掛け1
しおりを挟む
家族で近況報告をした後、レイン、ルオネット、リンは帰っていった。
帰っていく家族を見送っていた3人の元に、エルオリントが駆け寄った。
「大丈夫?また大臣たちが君たちに危害を加えたって聞いたんだけど…」
「大丈夫です!父さんもいたし、リンが録音してくれていたので、あの大臣たちは法で裁かれるって国王様も言ってました」
「でも、お休みが増えちゃったのは残念です」
「明日暇ですー。退屈ですー」
彼らにとっては、危害を加えられたことより、それによって休みが増えてしまったことの方が嫌だったらしい。
それに苦笑いを返すエルオリントに、ランが問う。
「エルさんは、お休みっていつですか?もう終わっちゃいましたか?」
「私は明日休みだけど…それがどうしたの?」
エルオリントの答えを聞いた途端、3人の目はキラキラと輝いた。
「じゃあじゃあ!明日、一緒にお出掛けしましょ!」
ランの言葉に、他の二人が「うんうん」と言いながら首を縦に振った。
「明日かぁー…」
明日は、カルエットとの約束もない。
「大丈夫だよ。特に予定もないし」
エルオリントがそう答えると、3人は更に目を輝かせた。
「やったー!約束ですよ!」
そう言って3人は、自分たちの部屋に戻っていった。
「あのぉー……エルさん?」
「ん?なに?」
「この馬車は、なんですか?」
次の日、指定された時間に門に行くと、そこには馬車があった。
どうして馬車があるのか分からず、エルオリントに聞くと、彼は不思議そうに首を傾げた。
「え?馬車がないと出掛けられないじゃないですか」
「いや、歩いても行けますよね?」
そう言うと、エルオリントは「ああ!」と言い、3人に説明した。
「確かに徒歩でも行けるけど、君たちは王子様方に見初められた、言わば婚約者だ。そんな人たちを歩かせる訳にはいかないんなだよ」
エルオリントの言葉に、3人は驚いた。
『こ、婚約者ぁー!?』
「え?うん」
「いやいや、いやいやいや」
「確かに王子様方に連れてこられたけど………」
「婚約者って………気が早いんじゃ……」
「でも、やれる所までやっちゃったんでしょ?」
『うっ…!』
エルオリントが言った言葉に反論出来ず、言葉が詰まる。
それを肯定ととったエルオリントが、続けて言う。
「少なくとも王子様方は、君たちを婚約者だと思ってるんじゃないかな?そんな人たちを馬車に乗せるのは、普通のことだと思うけど?」
エルオリントの言葉に、嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な気持ちになりながら、3人はエルオリントに促され、馬車に乗った。
帰っていく家族を見送っていた3人の元に、エルオリントが駆け寄った。
「大丈夫?また大臣たちが君たちに危害を加えたって聞いたんだけど…」
「大丈夫です!父さんもいたし、リンが録音してくれていたので、あの大臣たちは法で裁かれるって国王様も言ってました」
「でも、お休みが増えちゃったのは残念です」
「明日暇ですー。退屈ですー」
彼らにとっては、危害を加えられたことより、それによって休みが増えてしまったことの方が嫌だったらしい。
それに苦笑いを返すエルオリントに、ランが問う。
「エルさんは、お休みっていつですか?もう終わっちゃいましたか?」
「私は明日休みだけど…それがどうしたの?」
エルオリントの答えを聞いた途端、3人の目はキラキラと輝いた。
「じゃあじゃあ!明日、一緒にお出掛けしましょ!」
ランの言葉に、他の二人が「うんうん」と言いながら首を縦に振った。
「明日かぁー…」
明日は、カルエットとの約束もない。
「大丈夫だよ。特に予定もないし」
エルオリントがそう答えると、3人は更に目を輝かせた。
「やったー!約束ですよ!」
そう言って3人は、自分たちの部屋に戻っていった。
「あのぉー……エルさん?」
「ん?なに?」
「この馬車は、なんですか?」
次の日、指定された時間に門に行くと、そこには馬車があった。
どうして馬車があるのか分からず、エルオリントに聞くと、彼は不思議そうに首を傾げた。
「え?馬車がないと出掛けられないじゃないですか」
「いや、歩いても行けますよね?」
そう言うと、エルオリントは「ああ!」と言い、3人に説明した。
「確かに徒歩でも行けるけど、君たちは王子様方に見初められた、言わば婚約者だ。そんな人たちを歩かせる訳にはいかないんなだよ」
エルオリントの言葉に、3人は驚いた。
『こ、婚約者ぁー!?』
「え?うん」
「いやいや、いやいやいや」
「確かに王子様方に連れてこられたけど………」
「婚約者って………気が早いんじゃ……」
「でも、やれる所までやっちゃったんでしょ?」
『うっ…!』
エルオリントが言った言葉に反論出来ず、言葉が詰まる。
それを肯定ととったエルオリントが、続けて言う。
「少なくとも王子様方は、君たちを婚約者だと思ってるんじゃないかな?そんな人たちを馬車に乗せるのは、普通のことだと思うけど?」
エルオリントの言葉に、嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な気持ちになりながら、3人はエルオリントに促され、馬車に乗った。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる