平凡な三つ子は平凡に暮らす...はずだった

月兎

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2章 恋ってこんなに難しい。

三男の発情期1~ロン・アルテント~

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「……ン………ロン……」

 なんだろ?誰かに呼ばれてる気がする。
 僕は目を開けると、僕に呼びかけている人を見た。

「…っ!ロン…!良かった…!ほんと、もう…心配したんだからねっ!」

 タナーク王子だったのか。今にも泣きそうな顔しちゃって。せっかくのイケメンが台無しになってるよ。

「そん、な……泣き、そうな…顔……しないで、ください……僕は、大丈夫…ですから…」

 僕は頑張って力を入れて、タナーク王子の頬にそっと手を添えた。
 その手を離さないとばかりにぎゅっと握りしめられた。その時、肌が触れ合ったためか、少し感じてしまった。

「バカ…っ!何が大丈夫なの…!?僕はロンを守れないし、部屋についてもロンは目を覚まさないし、目を覚ましてもいつもみたいに明るくないし…!全然大丈夫じゃない…っ!」

「大丈夫、です…寝れ、ば……治り、ます…から…」

 そう言ってタナーク王子から手を離し、布団を引き寄せようと掴むも、掴むことしか出来ず、引き寄せようとすると手からするりと抜けてしまう。
 見兼ねたタナーク王子が、声をかけてきた。

「ほら、全然大丈夫じゃない」

 うぅ…反論できない。

「…ごめんなさい」

「別に怒ってるわけじゃないけど…でも、全然怒ってないわけでもないからね?」

「?」

 僕が困っていると、王子はため息をついた。

「ため息、つくと…幸せ…逃げ、ますよ…?」

「誰のせいで幸せが逃げてると思ってるの?」

「それは…」

 どう考えても、僕ですね…

「ロン」

「はい…なん、ですか…?」

「君、僕になにか隠してない?」

 僕の肩がビクッとはねる。それを見逃さなかった王子は、さらに問いかけてくる。

「やっぱりあるんだ。それって何?僕には言えないこと?」

「いや、ほんと、なんでも…」

「ないよね?なんか、とっても悔しそうだけど」

「…っ!」

 ばれてる…これは、話さないといけないかな…
 観念した僕は、少しずつ話し始めた。

「僕…さっき、まで……誘拐、されてた…でしょ…?」

 タナーク王子はコクリと頷いた。

「その時…すっごく、怖くって……僕、一番に、動け、なくって…」

 王子は相槌をうった。

「僕…あの時、一人で…2人、いなかったら……あんな、ふうに…動けない…!」

 あぁ、もうだめかも。涙、我慢できないや。

「2人も…怖かった、はず…なのに…!僕は、なにも…なにも、できな、かった…のに…!悔しく、ないわけ……ないじゃ、ないか…!」

 泣き顔を見られたくなくて、顔を伏せると、タナーク王子に引き寄せられ、頭を撫でられた。
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