平凡な三つ子は平凡に暮らす...はずだった

月兎

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1章 なんだかんだで城へ

自覚~ラン・アルテント~

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 なんか、今日だけで大切なものを沢山失った気がする。

「はぁー」

 思わず溜息が漏れる。すると、

「どうした?」

「幸せ逃げちゃうよー?」

 いつの間にか帰ってきたレンとロンに心配された。

「あぁ、大丈夫」

 あ、そうだ。

「あのさ、2人に聞きたいことあるんだけど」

 そう切り出して、僕は今日のことを話した。
 すると、

「あぁー...」

「うん...」

 何?この反応。

「俺もね、待っててって言われてたのに遅れちゃったんだよ。それで、お仕置きとか言われて、キスされた。しかも!ファーストキス!」

「僕もー!遅れちゃって、部屋入ったらなんかすごく怖い雰囲気でさー、抵抗も出来ずに言いなりだったよー。キスもされたー」

 流石三つ子。やることは同じなんだ。

「で?聞きたいことって?」

 あ、忘れた。

「その時、キスメッチャ上手かったから、経験の差かな?って考えたら、胸が締め付けられて...これって、何!?」

   ポカーン

 え?なんでポカーンってしてるの?
 もしかして、2人も分かんない?
 とか思ってたら、いきなり笑われた。

「あーっはっはっ!え?何?分かんないの?その気持ちの正体」

「クスクスッ...あ、いや、バカにしてるわけじゃないんだけどねー。フフッ」

 なんだよ!バカにしてんじゃん!完全に!

「知ってるなら教えろよー」

「それは恋だ。」

   えっ...?

「な、何言って...」

「無意識の内に惹かれてたんじゃない?」

「僕もねー、今日そうなったよー。僕はすぐ気づいたけどねー、恋だって。ランがそうなったのって、イレーク王子が自分じゃない、他の誰かとキスしてるの想像したからじゃない?」

「そう!よく分かったな!」

「それは恋からくる嫉妬だよー。ランも恋したんだねー」

「え?待って?僕は結構話してたけど、ランとロンは?そんな接点無くないか?」

「俺は...っ!」

 ん?どうしたんだ、レン。いきなり固まったぞ…?

「僕はねー、関わったのは今日が初めてだけどねー、なんか、惹かれちゃったんだよねー。キスから始まる恋愛、的な?」

 そうか、僕は恋、してたのか。無意識のうちに。
 ん?ちょっと待て。じゃあ、あの時の王子の反応は...

「ああぁぁぁぁーー!」

 そういう事か!だからあんな、あんな嬉しそうに口元に手当て...僕は自分から「あなたが好きです」って言ったようなものなのか!
 ロンが心配しているが、構っていられない。余裕が無い。

   明日からどんな顔して会えばいいんだよー!

 っていうかレン、ずっと固まってるんだけど…大丈夫かな?
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