2 / 75
0章 出会う前の物語
プロローグ・三つ子の日常
しおりを挟む
エリオントには、もう一組の三つ子がいた。
長男のラン・アルテント
次男のレン・アルテント
三男のロン・アルテント
彼らは男性にしては可愛い顔立ちをしており、髪が長いのも相まって、初対面の人に女性と間違えられるほど。
そんな彼らの両親は、両方とも男性である。
しかし、そんなに珍しいことではない。珍しいことを挙げるとするならば、子供がいることだ。
すべての男性が妊娠出来る訳ではない。むしろ少ない方だ。三つ子の母親は、その数少ない妊娠出来る男性の中に入っているのである。
しかし、妊娠出来る男性には、共通して普通の男性にはない症状が出る。
発情期である。
月に一度のペースでくるもので、発情期では、フェロモンが無意識のうちにでてしまい、男性を引き寄せてしまうのである。薬は未だに無く、専用集落などがあるだけだ。
そんな妊娠出来る男性、レイン・アルテントは、息子たちと仕事をしていた。三つ子は皆優しく、働き者で、物心ついた時から家事の手伝いをしてくれるほどだった。
「母さーん、この箱ここに積んでいい?」
「あぁ、頼む」
「母さん、はい、水。喉乾いてるでしょ?」
「ありがと」
「後は僕達やっとくからー、母さんは休んでてー」
「いいの?」
『いいよー!』
優しくて明るく、気の利く息子たちが、レインの自慢なのである。
今日はいつもより街が静かだ。
何故なら、三つ子の王子主催のパーティーが、城で開かれているからだ。
王族のパーティーは普通、貴族だけが参加出来るものだ。それが何故市民も行けるのかというと、王子たちの結婚相手がなかなか決まらず、市民から王子たちの気に入る相手が出るかもしれないという、本人達の意見があったかららしい。
そして、何故女性だけなのかというと、王族は基本的に異性と結婚するからである。そちらの方が、並んだ時に美しく見えるからである。決して同性がないという訳では無いが、異性というのが当たり前になっているのである。
街の人たちは皆、今日は休みをとっている。
レインたちも例外ではなく、ゆっくりとした時間を過ごしている。
三つ子はというと、長い髪を結いあっている。
以前、気になったレインは3人に、
「なんで髪伸ばしてるんだ?」
と聞いたら、声を揃えて、
『結うのが楽しいから』
と笑顔で答えられた。いかにも3人らしい答えだなと、レインはその時、苦笑した。
ちなみに、彼らには、妹のリン・アルテントと、幼馴染のリリィ・サンタルテがいるのだが、彼女らは今、パーティーに参加している。三つ子は、2人なら絶対に王子たちの心を掴んでくるだろうと信じていた。
リンとリリィが帰ってくるなり、「大変だよ!」と大声で言った。
あまりの大きさに、皆暫く放心状態だったが、一番早く我に返ったランが、「どうしたの?」と聞く。
返ってきたのは、衝撃的な言葉だった。
「王子たちがここにに来るって!しかも今日!
今すぐ!」
……
『えぇーーーーーーーっ!』
街中がパニックになった。今までにない慌てようだった。
「ど、どうしよう母さん!」
「と、とりあえず外綺麗にしよう!箱もどけて!みんな!手伝って!」
『分かった!』
街のみんなで協力して、道を綺麗にした。その間に三つ子は、パーティーに行ってきた2人に「どうだった?」と聞いた。すると、
「3人ともつまらなそうだったよ」
「うん。なんか、理想の相手がいなくてガッカリ!って感じだった」
「2人は?声かけられなかったの?」
「全っ然!とゆーか誰も声かけられてなかったよ。ね?」
「うんうん!」
リリィの言ったことに激しく首を振って同意するリンだった。
いつの間にか準備は終わり、後は王子たちが来るのを待つのみとなっていた。
街のみんなが緊張する中、三つ子だけが、ワクワクしながら、
「王子たちって、どんな人なんだろ?」
「やっぱりかっこいいんじゃない?」
「顔立ち整ってそうだよねー」
と、我慢出来ずヒソヒソと意見を言い合っていた。
自分たちの身に何が起こるかも知らずに。
長男のラン・アルテント
次男のレン・アルテント
三男のロン・アルテント
彼らは男性にしては可愛い顔立ちをしており、髪が長いのも相まって、初対面の人に女性と間違えられるほど。
そんな彼らの両親は、両方とも男性である。
しかし、そんなに珍しいことではない。珍しいことを挙げるとするならば、子供がいることだ。
すべての男性が妊娠出来る訳ではない。むしろ少ない方だ。三つ子の母親は、その数少ない妊娠出来る男性の中に入っているのである。
しかし、妊娠出来る男性には、共通して普通の男性にはない症状が出る。
発情期である。
月に一度のペースでくるもので、発情期では、フェロモンが無意識のうちにでてしまい、男性を引き寄せてしまうのである。薬は未だに無く、専用集落などがあるだけだ。
そんな妊娠出来る男性、レイン・アルテントは、息子たちと仕事をしていた。三つ子は皆優しく、働き者で、物心ついた時から家事の手伝いをしてくれるほどだった。
「母さーん、この箱ここに積んでいい?」
「あぁ、頼む」
「母さん、はい、水。喉乾いてるでしょ?」
「ありがと」
「後は僕達やっとくからー、母さんは休んでてー」
「いいの?」
『いいよー!』
優しくて明るく、気の利く息子たちが、レインの自慢なのである。
今日はいつもより街が静かだ。
何故なら、三つ子の王子主催のパーティーが、城で開かれているからだ。
王族のパーティーは普通、貴族だけが参加出来るものだ。それが何故市民も行けるのかというと、王子たちの結婚相手がなかなか決まらず、市民から王子たちの気に入る相手が出るかもしれないという、本人達の意見があったかららしい。
そして、何故女性だけなのかというと、王族は基本的に異性と結婚するからである。そちらの方が、並んだ時に美しく見えるからである。決して同性がないという訳では無いが、異性というのが当たり前になっているのである。
街の人たちは皆、今日は休みをとっている。
レインたちも例外ではなく、ゆっくりとした時間を過ごしている。
三つ子はというと、長い髪を結いあっている。
以前、気になったレインは3人に、
「なんで髪伸ばしてるんだ?」
と聞いたら、声を揃えて、
『結うのが楽しいから』
と笑顔で答えられた。いかにも3人らしい答えだなと、レインはその時、苦笑した。
ちなみに、彼らには、妹のリン・アルテントと、幼馴染のリリィ・サンタルテがいるのだが、彼女らは今、パーティーに参加している。三つ子は、2人なら絶対に王子たちの心を掴んでくるだろうと信じていた。
リンとリリィが帰ってくるなり、「大変だよ!」と大声で言った。
あまりの大きさに、皆暫く放心状態だったが、一番早く我に返ったランが、「どうしたの?」と聞く。
返ってきたのは、衝撃的な言葉だった。
「王子たちがここにに来るって!しかも今日!
今すぐ!」
……
『えぇーーーーーーーっ!』
街中がパニックになった。今までにない慌てようだった。
「ど、どうしよう母さん!」
「と、とりあえず外綺麗にしよう!箱もどけて!みんな!手伝って!」
『分かった!』
街のみんなで協力して、道を綺麗にした。その間に三つ子は、パーティーに行ってきた2人に「どうだった?」と聞いた。すると、
「3人ともつまらなそうだったよ」
「うん。なんか、理想の相手がいなくてガッカリ!って感じだった」
「2人は?声かけられなかったの?」
「全っ然!とゆーか誰も声かけられてなかったよ。ね?」
「うんうん!」
リリィの言ったことに激しく首を振って同意するリンだった。
いつの間にか準備は終わり、後は王子たちが来るのを待つのみとなっていた。
街のみんなが緊張する中、三つ子だけが、ワクワクしながら、
「王子たちって、どんな人なんだろ?」
「やっぱりかっこいいんじゃない?」
「顔立ち整ってそうだよねー」
と、我慢出来ずヒソヒソと意見を言い合っていた。
自分たちの身に何が起こるかも知らずに。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)


初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる