1 / 75
0章 出会う前の物語
プロローグ・王子たちの見合い
しおりを挟む
ここは、異性だろうが、同性だろうが自由に恋愛をする事が出来る世界にある街、「エリオント」
エリオントの自慢は、海や花畑など、綺麗な景色が沢山あること、そして三つ子の王子がいること。
この世界では、双子や三つ子など、同時に子供が産まれることは奇跡とされ、とても喜ばれること。しかし、王族で三つ子が産まれることはないとされていた。王族で産まれるなど、無かったからだ。しかし、エリオントでその奇跡は起こった。同時に子供が産まれたのだ。しかも、双子より貴重とされている三つ子が。
国民はそれはそれは喜んだ。王子たちが歩けるようになると、毎日がパレードだった。
そんな王子たちも、今年で16歳。
結婚話で盛り上がる年頃となった。
「父上ー、僕達これで何回目?お見合い。」
「皆さん、素敵、ですけど………」
「みーんな僕達が貴重で奇跡って言われてる三つ子だからお見合いしてるって感じなんだよねー」
そう愚痴をこぼしたのは、先日16歳になったばかりの三つ子の王子たち。
長男のイレーク・エリオント
次男のクリーク・エリオント
三男のタナーク・エリオント
彼らは先程、20回目のお見合いを終えたばかりだった。彼らは皆クタクタで、ソファーにだらしなく座っている。
そんな彼らと話しているのは、 国王・エリオリック・エリオントである。
彼は困った顔をしながら、自分の息子たちに返した。
「しょうがないんだよ、こればかりは。私も経験したことだ。何回しても終わらない見合いに、心底嫌気がさしていた。しかし、その甲斐あってか、『この人だ!』と思える人に出会えたんだ。それが今の妻だ。お前たちも、それまで頑張りなさい」
父親であるエリオリックの言葉に3人は、
「それは父上の場合だよー」
「父上は、特別だったのでは……?」
「僕達にも同じような出会いがあるとは思えないなぁー」
と、父親の言葉を真っ向から否定した。
どうしたものか…と思ったエリオリックは、逆に聞いてみることにした。
「なら聞くが、お前達はどうすれば結婚相手が見つかると思っているんだ?」
この質問は予想していなかったのだろう。3人は「うーん」と唸りながら、どうすれば良いのか考えていた。やがて、ハッと顔を上げたのは、長男のイレークだった。
「パーティー...」
「えっ?」
「パーティーがいい!貴族だけじゃなくて、若い女性なら誰でも参加出来るパーティーがいい!」
その返答に今度はエリオリックが困った。
「いや、しかし...」
エリオリックが何かを言おうとした時、
「それ、いい!」
「結婚相手、貴族じゃなくても良いじゃん!」
被せるように、他の2人も賛成した。
(あぁ、こうなってはこの子達は何も聞かないだろうなぁー)と悟ったエリオリックは、「分かった分かった」
と言って、3人の意見を実行することにした。
「あぁあ、つまんないなー」
「可愛い方、は沢山いたけど……」
「『この子だ!』って子はいなかったねー。疲れて終わっちゃったぁ」
結論から言うと、この作戦は失敗に終わった。
「可愛い」子はいても、「結婚したい」子はいなかった。しかし、またしてもイレークが案を出した。
「そうだ!今日忙しくて来れない子もいたんじゃない?ねえ、今から街に行こうよ!いい子いるかも!」
「いや、流石に...」
「それ、いい!」
「今日は冴えてるねー、イレーク」
私の声は届かないの?と少し悲しくなるエリオリックだった。
この行動が、運命(?)の出会いを導くものだとは、この時は誰も思っていなかった。
エリオントの自慢は、海や花畑など、綺麗な景色が沢山あること、そして三つ子の王子がいること。
この世界では、双子や三つ子など、同時に子供が産まれることは奇跡とされ、とても喜ばれること。しかし、王族で三つ子が産まれることはないとされていた。王族で産まれるなど、無かったからだ。しかし、エリオントでその奇跡は起こった。同時に子供が産まれたのだ。しかも、双子より貴重とされている三つ子が。
国民はそれはそれは喜んだ。王子たちが歩けるようになると、毎日がパレードだった。
そんな王子たちも、今年で16歳。
結婚話で盛り上がる年頃となった。
「父上ー、僕達これで何回目?お見合い。」
「皆さん、素敵、ですけど………」
「みーんな僕達が貴重で奇跡って言われてる三つ子だからお見合いしてるって感じなんだよねー」
そう愚痴をこぼしたのは、先日16歳になったばかりの三つ子の王子たち。
長男のイレーク・エリオント
次男のクリーク・エリオント
三男のタナーク・エリオント
彼らは先程、20回目のお見合いを終えたばかりだった。彼らは皆クタクタで、ソファーにだらしなく座っている。
そんな彼らと話しているのは、 国王・エリオリック・エリオントである。
彼は困った顔をしながら、自分の息子たちに返した。
「しょうがないんだよ、こればかりは。私も経験したことだ。何回しても終わらない見合いに、心底嫌気がさしていた。しかし、その甲斐あってか、『この人だ!』と思える人に出会えたんだ。それが今の妻だ。お前たちも、それまで頑張りなさい」
父親であるエリオリックの言葉に3人は、
「それは父上の場合だよー」
「父上は、特別だったのでは……?」
「僕達にも同じような出会いがあるとは思えないなぁー」
と、父親の言葉を真っ向から否定した。
どうしたものか…と思ったエリオリックは、逆に聞いてみることにした。
「なら聞くが、お前達はどうすれば結婚相手が見つかると思っているんだ?」
この質問は予想していなかったのだろう。3人は「うーん」と唸りながら、どうすれば良いのか考えていた。やがて、ハッと顔を上げたのは、長男のイレークだった。
「パーティー...」
「えっ?」
「パーティーがいい!貴族だけじゃなくて、若い女性なら誰でも参加出来るパーティーがいい!」
その返答に今度はエリオリックが困った。
「いや、しかし...」
エリオリックが何かを言おうとした時、
「それ、いい!」
「結婚相手、貴族じゃなくても良いじゃん!」
被せるように、他の2人も賛成した。
(あぁ、こうなってはこの子達は何も聞かないだろうなぁー)と悟ったエリオリックは、「分かった分かった」
と言って、3人の意見を実行することにした。
「あぁあ、つまんないなー」
「可愛い方、は沢山いたけど……」
「『この子だ!』って子はいなかったねー。疲れて終わっちゃったぁ」
結論から言うと、この作戦は失敗に終わった。
「可愛い」子はいても、「結婚したい」子はいなかった。しかし、またしてもイレークが案を出した。
「そうだ!今日忙しくて来れない子もいたんじゃない?ねえ、今から街に行こうよ!いい子いるかも!」
「いや、流石に...」
「それ、いい!」
「今日は冴えてるねー、イレーク」
私の声は届かないの?と少し悲しくなるエリオリックだった。
この行動が、運命(?)の出会いを導くものだとは、この時は誰も思っていなかった。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)


初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる