異世界、ゆるーくいきましょう。

月兎

文字の大きさ
上 下
20 / 21
二章 パーティーって、こんなに強いものですか?

二回目の契約

しおりを挟む
「それより、どうしてここに?」

 今はスキルとかどうでもいいか。後で確認しとこ。
 魔獣に聞くと、どうやらこの騒ぎは、森の混乱を招いているようで、何が起こったのか、確認しに来たらしい。

「そしたらね、りゅうがボクのほうにくちをあけてね。キミがたすけてくれなかったらしんでたよー」

 死ぬかもしれなかったのに、すごいのほほんとしてるな、この子。

「ねえ、キミってなにもの?りゅうおうさまともなかよしだし、ふつうのニンゲンじゃないよね?」

「え!?えーっとぉ……」

 どうしよう……言っていいの?

「ハヤトは転生者だ」

 い、言っちゃったー!僕の許可無く言っちゃったー!

「そうなの?」

 興味津々に聞いてくる魔獣の目はキラキラしてて、騙すなんて出来なかった。

「そう、です……一応……」

 すると、魔獣が目をさらにキラキラさせる。

「うわー!ボク、はじめてみたよ!おばあちゃんにきいただけだったから、あえてうれしい!」

「おばあちゃん?」

「うん!もういないんだけどね、とってもたのしそうにはなすの!てんせいしゃとけいやくして、たくさんのくにをみたんだって。それでボク、てんせいしゃにあってみたいなって、ずっとおもってた!」

 おばあちゃん、何者?
 僕の前の転生者って、200年くらい前って聞いたよ?おばあちゃん何歳で亡くなった?

「魔獣は長寿なのだ。人間にとっては長いかもしれんが、我々にとっては200歳など、普通だ」

 ファルの説明を聞いても、いまいちピンと来ない。
 僕にあるのは前世の常識であって、この世界の常識ではない。僕の中での兎は、人間よりも弱く、寿命も短く、気の弱い生物。
 それが200年も生きるなんて………

「不思議だな………」

 ここに来てから、驚いてばっかだ。

「ねえねえ!」

 僕がぼーっとしてると、魔獣が話しかけてきた。

「ん?何?」

「ボク、キミについていきたい!ボクとけいやく?ってやつ?してほしい!」

「え?僕はいいけど………ほんとにいいの?」

「うん!ボクも、せかいをみてみたい!おばあちゃんがみたけしきを、ぼくもみたいんだ!」

 ファルを見ると、頷いた。これはいいってことかな?

「えっと、名前をつければいいんだっけ?」

「そうなの?」

「そうだ。体の一部に触れながら名を与える。そしてその名前をお前が認めたら、契約完了だ」

「分かった。頭触ってもいいか?」

「うん!いいよ!」

 魔獣の頭に触れると、ファルの時のように周りが淡く光る。

 話し方から、この子は活発で元気。でも、毛がとても美しく、すごく上品な雰囲気も感じられる。活発な坊ちゃんか………
 名前は………

「リフィ………どうかな?」

「リフィ?それが、ボクのなまえ?わーい!ボク、リフィ!」

 リフィが喜んだ途端、光が強くなり、消えた。

「成功だな」

 ファルの言葉にほっとしつつ、僕は火を吹いた竜の方を見る。

「まだ仕事は終わっていない。ここからだぞ、ハヤト」

 ファルの声に、僕は気持ちを切り替えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...