異世界、ゆるーくいきましょう。

月兎

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二章 パーティーって、こんなに強いものですか?

勝手に同行させられるのに死ぬのは自己責任て最悪だな(心の声)

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「よく聞いてくれ!」

 ギルドマスターのライズウェルさんの声で、冒険者たちは各々話すのをやめた。

「今回の任務、こいつも同行させることになった」

 そして紹介される僕。

「よ、よろしくお願いします………」

 嫌だ!本当は今すぐこの空間から逃げ出したい!
 でも、そんなこと出来るはずもなく………

「ライさん、こいつ、Bランク以上の冒険者なんすか?」

 1人が聞いてきた。

「いや、違う」

 ギルドマスターが言うと、冒険者たちから驚きの声が上がる。
 ですよねー……
 誰か反対してくれねーかなー……

「大丈夫だ。実際に戦闘させるわけじゃない。ただ、戦闘の光景を見せてやるだけだ」

「でも………」

「死んだら自己責任ってことで、こいつが死んでも誰にも何も言わない」

 その一言で、みんな了解した。

「ならいいですけど………」

「ちょっと待て」

 お、この声は………

「それ、ハヤトは了承したのか?」

 ミュイがギルドマスターに聞いた。

「それは………」

「そうですわ。こんなに危険な話、ハヤトならすぐ了承するはずがないですもの」

 ルイもそれに続いて意見した。

「もしハヤトが特別なスキルを持っていて、死ぬことが絶対にないと言えるのならいいですわ。でも、そうではないでしょう?」

 ルイにさらに反対意見を言われ、言葉が出ないギルドマスター。
 しかし、次に出た言葉に、誰も反対することができなくなった。

「これはギルドマスターである俺からの命令だ」

 あ、終わった。僕の逃げ場、なくなった。
もし僕が死んだら、化けて出てやる。










 そんなこんなで現在に戻る。
 即席パーティーなのに、すごい連携だ………さすが高ランク冒険者。
 それに比べて僕はというと………

「あ、この薬草、依頼出てたやつだ」

 戦っているところから遠く離れた木の影から見ていた途中、足下に生えてる草を見て薬草だと気づき、呑気に薬草採取をしている。
 いや、ピンチになったらちょっとは援護しようかなーとか思ってるよ?

「おい、お前。何故こんな所にいる?あそこの者達と戦わぬのか?」

 と、上から声が降ってきた。
 知らされてない人もいるのかな?
 それとも、後から来たとか?

「いや、僕は戦力になるどころか足でまといなので………っ!」

 上を向いて言葉を失った。
 僕が話しかけられたのは、人じゃない。
 ドラゴンだった。
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