世話焼きαの甘い罠

めっちゃ抹茶

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急な牽制 【煌視点】

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【煌視点】


俺は自宅に帰る車内で先程の雷の反応を思い返す。

雷は俺の運命の番で間違いないが、Ωに性転する予兆はまだ見られていない。だが、首元から雷自身の匂いに混じって微かに甘い香りを感じた。そしてうなじに反応を示していた。

Ωにとってうなじは急所だ。同意なく噛まれる事がないように番がいないΩは必ず首輪でうなじを守る。
雷がそこに触れられる事を嫌がっていた。それはつまりΩ性が覚醒する前に見られる予兆でもある。

俺が無理やり覚醒させる事も出来るが、それも踏まえて雷とは一度話し合う必要がある。そして、雷が性転した際の下準備も必要だ。βがΩに覚醒する時は必ず発情期と共にやってくる。発情度合いに差はあるが数日は続くだろう。そこで番うことも勿論可能だ。

たとえ雷が性転を拒んでも俺が側にいる限り、αのましてや運命の番のフェロモンを浴び続けてなおβでいることは出来ないだろう。だが、雷が嫌がろうとも俺はもう……雷を手放すことなど出来はしない。

出来る限り、雷のフォローに努めよう。
そう心に決めて俺は帰路を急いだ。




数日後の週末、俺は雷と共にいた。雷の家族に恋人として挨拶をする為に。

目の前に広がるのは住宅街に佇む庭付きの一軒家。雷の実家だ。

「ただいま~」

雷が玄関の扉を開ける。
すると奥から雷の父親と兄が顔を覗かせた。
俺は作り笑顔をせずに挨拶をする。
素面の俺を見て判断して貰いたい気持ちからだ。

「初めまして。雷さんとお付き合いをさせていただいております、皇煌と申します。宜しければこちら、是非皆さんでお召し上がりください」

そう言って俺が渡したのは先程購入したあの店のケーキだ。

「ありがとうございます。ここのケーキ、雷も私も大好きなんですよ」

雷とよく似た笑顔でそう言って笑う。その瞳には純粋に喜ぶ色が見て取れた。あぁ、やはり親子だなと思った。
隣で雷も恥ずかしそうに笑っている。

____あぁ、可愛い。

思わず手が伸びて頭を撫でる。

その瞬間、ブワリと刺すような威圧が飛んで来た。

____相当強いな。

俺は反射的に威圧仕返す。見れば雷のお兄さんが苦しむ姿が目に入った。
俺はすぐにフェロモンを抑えて威圧を止める。

「すみません。急な威圧で思わず防衛手段に出てしまいました。大丈夫でしたか」

「…強いんだね。流石、皇さんと言ったところか」

あぁ、俺のことを知ってるのか。さて、どうしたものか…。と考えあぐねていると、

「まぁ、まぁ。ひとまずはお上がりください。狭い家で申し訳ないんですが」

見かねた雷のお父さんがどうぞと促す。
俺はお言葉に甘えて、と雷の住む家にお邪魔した。
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