世話焼きαの甘い罠

告白は場所じゃなくてタイミングが肝心

ど、どうして皇会長がここにっ！？
って、店長さんとお知り合いなんだっけ。
そ、それにしてもどうしよう…。僕、皇会長が好きだって意識し始めたら何だか胸がいつもよりドキドキして……。
僕、挙動不審になってない？変な人って思われない？大丈夫かな！？

僕があわあわしていると皇会長が向かい側の席に座って僕の顔を覗き込んだ。

「うん？いつもより顔が赤くないか？具合が悪いのか？ほら、ちょっとおでこ貸してみろ」

ひ、ひぇぇっ……
僕の目と鼻の先にいつもより三割り増しでキラキラしてる皇会長の綺麗なお顔が……！ち、近いっ！
むりぃ、心臓爆発しちゃうぅっ！

心臓が破裂するほどにバクバクと音を立てて、胸はきゅぅ～っと絞られる感覚がする。

耐えきれなくなった僕は、皇会長に正直に言った。

「ち、近いですっ！皇会長のお顔がキラキラしてて眩しくて見れませんっ！僕の心臓が持たないので、は、離れてください」

真っ赤になった僕が早口で捲し立てると、皇会長は一瞬きょとんとした顔になって、それから無邪気な顔で笑った。

「ぷっはは！そうか、キラキラしてるか。雷は昔から変わらないな」

子供みたいだと言われた気がして頬を膨らませてむくれる。半目でじっと睨むと皇会長は笑いを引っ込めてこう言った。

「褒め言葉だよ。雷も昔から変わらず輝いてる。それはもう眩しいほどに、な。俺も一緒だ。それに……」

皇会長は僕の右手を掴んで、自分の左胸に持っていった。
手のひらから力強い、でも少し早い鼓動が伝わってくる。

「俺も、心臓が煩いんだ。俺が雷に恋してる証拠だろう？」

そう言って皇会長は眩しいものを見るかのように目を細めて、それはもう美しく微笑んだ。

僕はもう色々といっぱいっぱいで、相変わらず心臓は爆発寸前で胸はぎゅっとして痛いし、顔は湯気が出てるみたいに熱い。
それなのに僕をそんな風にしてしまう皇会長から目を離せないし、一挙一動を目で追ってしまう。
痛いとか苦しいよりも皇会長と会えて嬉しいとかやっぱり好きだって気持ちが上回って、それを伝えたくなって。

僕は気がつけば皇会長の右手を取って、僕がされた時みたいに大きな手を左胸に当てていた。

「僕も、皇会長に恋をしてる証拠です」

ドキドキと煩い鼓動が余すとこなく全て皇会長に伝わるように、両手で大きな手を押さえながら僕は言う。

「僕も、あなたが好きです。皇会長のことが、大好きです」

いつの間にか芽生えていた恋の蕾は、いつの間にかこんなにも大きく成長して花開いていて。
花が開くまでが早すぎるとか遅いとか関係ない。

僕は皇会長が好き。隣にずっといたい。

その気持ちが大事なんだって恋をして知ったんだ。