世話焼きαの甘い罠

めっちゃ抹茶

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その後の放課後で 【光視点】

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【光視点】


「ねぇ、ちゅーって誰とでも出来るのかな?」

雷からそんな言葉が聞こえた時、疑問を解決させてあげたい気持ちよりも好奇心が勝った。
聞けば生徒会長と触れ合うだけのキスをしたと言う。その時の状況を語る雷は恥ずかしそうに少し俯いて、もじもじしていて、まさに恋をしている状態だと一目で分かった。

だが、ここで問題が浮上した。
そう、雷に自覚がない事である。
穢れのない純粋な雷は恋という感情を知らなかった。いや、具体的にどう気持ちが変化するのかを知らなかった。
キスが出来る人とそうでない人の違いを聞いてみたが結果は惨敗。

ここで僕が教えてもなぁ~、はっきり言っても意味ないんじゃ……?どうすれば……

と頭を悩ませているうちに拓が

「好きだからだろ」

と爆弾投下。
拓を見れば苦々しく顔を顰めながらも渋々といった感じだ。
雷のこと好きなのに友人が困ってるのを見捨てられない拓。

お人好しだなぁ。昔から変わらない。

そんな拓を見て僕も腹を決める。
うじうじするのは性に合わないからね!

だからはっきりと雷に言った。それは恋だと。

そしたら雷は暫く考え込んだ後、憑き物が落ちた様なスッキリとした顔でお礼を言ってきた。

____良かったね、雷。

友人に訪れた春が末永く続きますように。

僕はそう願って笑顔を見せた。





雷と拓と一緒に帰って帰宅した後、僕は拓の家に行った。
ご近所さんの僕達は頻繁にこうして互いの家に行き来する。昔からの幼馴染で腐れ縁というやつだ。

「やっぱり落ち込んでた。自分の首絞めてどーすんの、拓」

自分の部屋で机に突っ伏す拓に声をかける。

「ほら~、元気だしなって。またすぐに好きな人が見つかるよ。そうじゃなくても時間が経てばいい思い出になるじゃん」

「………お前は失恋したことなさそうだよな」

突っ伏しながらくぐもった声で拓は言う。

それを聞いて僕の心はズキズキと痛み始める。

____そんなわけないじゃん。

口から思わず怒りを孕んだ声が出そうになるが頑張って抑えて、冷静さを取り繕って僕はこう答える。

「ずっとしてるよ。昔も今も」

胸が痛い。いつになったらこの恋心は忘れられるんだろう。
時間が経てばいい思い出になるんだろうか。




そう言った僕に対して拓がどんな顔をしていたのかを、僕は知らない。
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