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必ず守る 【煌視点】
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【煌視点】
「その事についてだが、君は親衛隊を知っているか?」
「親衛隊、ですか?う~ん、聞いたような…聞いてないような……」
記憶を探り唸っている最中にさりげなく背中に手を回し、休憩用のソファに座るよう陽動する。
遠慮がちにちょこんと彼がソファに腰を下ろした。俺も隣に座る。
どうやら集中していて座らされた事に気が付いていないようだ。
やはり抜けている。だがそれも可愛いと思ってしまう俺は変になったのだろうか。
「親衛隊というのは生徒会役員を応援、護衛している奴らだ。組織化されているが学校側、生徒会はそれを認めていない。要は勝手に応援や護衛、守るためだと銘を打って生徒会役員に近付く生徒を傷つけてるだけの連中だ。……ハァ、全く迷惑な話だ」
「あっ!聞いたことあります。生徒会の方達は眉目秀麗、優秀な方で有名大企業の息子さんだとか…。その方達と恋人になりたい、とか近付きたい一心で追っかけのような事をする人達が集まるファンクラブらしきものが存在すると。……それが親衛隊、なんですね」
「あぁ。連中は好まない奴がいると精神的な暴力に出ると聞く。だから生徒会には近付くな、と噂が広まった。だが君は安心して欲しい。君を守れるように護衛の影を数人付ける。日常生活に支障はない。君は普通に過ごしてくれるだけで構わない。問題は起こさないし危ない目には遭わせない。君を守ると約束する」
俺と彼が接触すれば親衛隊の奴らが彼に手を出すのは確実だ。囮にするわけでは決してないが、彼を守ると同時に鼠を捕らえられるかもしれない。
暴力と聞いた時怯えた目をしたが、護衛を付けて普通に過ごして欲しい、君を守ると伝えると困惑しながらも安心の色が見えた。
「あ、あの…そこまでしてもらうのも申し訳ないって思うんですけど、正直怖いのでお願いしても良いですか…?」
そのおねだりは反則だろう…!
眉を八の字にして潤んだ瞳で上目遣いの不安そうな彼のおねだりはとんでもなく可愛すぎた。困った顔も泣きそうな顔も庇護欲を唆る天才か。これを断れる奴がいるのなら今すぐ出てきて欲しい。男だろうと女だろうと捻り潰してやる。
「あ、あぁ。もちろんだ。直ぐに手配するから少し待っててくれ」
安心した顔を見ると無性に頭を撫でたくなった。艶やかなサラサラの髪はきっと触り心地が良いだろう、と思っているうちに無意識に手が伸びていた。
彼の髪は手触りが良く、ずっと撫でていたくなる。
あっ…
時すでに遅し。気が付いた時にはもう撫でていて、嫌われてはないだろうかと内心ビクビクしながら彼の様子を伺う。
「ん…きもちぃ……」ボソッ
無意識だろうか。頭を撫でている手に擦り寄り、眼を瞑って小さな声だったが確かにそう呟いた。
ぐはっ……!
下に血が集まるのを感じる。
この瞬間、俺にとって彼が庇護すべき存在から性愛を伴う存在に変わった事実を身を持って知った。
小さく色づく艶やかな口で擦り寄られながらそんな事を言われたら反応してしまうだろう…!
彼にバレたらこのままでは俺が変質者になってしまう。それだけは何としてでも阻止せねば。
何度も深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
彼の様子は変わりない。何とか最悪な事態は避けられたようだ。
嫌われないだけマシだが、このままでは別の意味で彼も俺も危ない。
放っておけば直ぐにでも狼に喰われてしまう。それだけ彼は魅力的だ。
気を取り直して携帯を取り出し、護衛の手配を要請する。ついでに彼の身辺調査も専属の探偵に要請する。何かあってからでは遅いからな。
絶対に守る。彼に手出しはさせない。
誰にも汚させない。奪わせない。
彼が誰かに傷つけられる姿と俺ではない誰かの手を取っている姿が脳裏にチラつく。それは絶対に嫌だ。
____彼は俺のものだ
そう自覚した瞬間、胸に黒い感情が渦巻く。過去に感じた嫌悪とは違う黒い感情。
それは紛れもない独占欲と執着心。
匂いのしない彼はβのはずだが、Ωに対する独占欲が沸々と込み上げる。
αの本能と俺の理性が彼を逃すなと伝えている。
あぁ、逃しはしない。絶対に。
彼は………彼こそ
____俺の運命の番
「その事についてだが、君は親衛隊を知っているか?」
「親衛隊、ですか?う~ん、聞いたような…聞いてないような……」
記憶を探り唸っている最中にさりげなく背中に手を回し、休憩用のソファに座るよう陽動する。
遠慮がちにちょこんと彼がソファに腰を下ろした。俺も隣に座る。
どうやら集中していて座らされた事に気が付いていないようだ。
やはり抜けている。だがそれも可愛いと思ってしまう俺は変になったのだろうか。
「親衛隊というのは生徒会役員を応援、護衛している奴らだ。組織化されているが学校側、生徒会はそれを認めていない。要は勝手に応援や護衛、守るためだと銘を打って生徒会役員に近付く生徒を傷つけてるだけの連中だ。……ハァ、全く迷惑な話だ」
「あっ!聞いたことあります。生徒会の方達は眉目秀麗、優秀な方で有名大企業の息子さんだとか…。その方達と恋人になりたい、とか近付きたい一心で追っかけのような事をする人達が集まるファンクラブらしきものが存在すると。……それが親衛隊、なんですね」
「あぁ。連中は好まない奴がいると精神的な暴力に出ると聞く。だから生徒会には近付くな、と噂が広まった。だが君は安心して欲しい。君を守れるように護衛の影を数人付ける。日常生活に支障はない。君は普通に過ごしてくれるだけで構わない。問題は起こさないし危ない目には遭わせない。君を守ると約束する」
俺と彼が接触すれば親衛隊の奴らが彼に手を出すのは確実だ。囮にするわけでは決してないが、彼を守ると同時に鼠を捕らえられるかもしれない。
暴力と聞いた時怯えた目をしたが、護衛を付けて普通に過ごして欲しい、君を守ると伝えると困惑しながらも安心の色が見えた。
「あ、あの…そこまでしてもらうのも申し訳ないって思うんですけど、正直怖いのでお願いしても良いですか…?」
そのおねだりは反則だろう…!
眉を八の字にして潤んだ瞳で上目遣いの不安そうな彼のおねだりはとんでもなく可愛すぎた。困った顔も泣きそうな顔も庇護欲を唆る天才か。これを断れる奴がいるのなら今すぐ出てきて欲しい。男だろうと女だろうと捻り潰してやる。
「あ、あぁ。もちろんだ。直ぐに手配するから少し待っててくれ」
安心した顔を見ると無性に頭を撫でたくなった。艶やかなサラサラの髪はきっと触り心地が良いだろう、と思っているうちに無意識に手が伸びていた。
彼の髪は手触りが良く、ずっと撫でていたくなる。
あっ…
時すでに遅し。気が付いた時にはもう撫でていて、嫌われてはないだろうかと内心ビクビクしながら彼の様子を伺う。
「ん…きもちぃ……」ボソッ
無意識だろうか。頭を撫でている手に擦り寄り、眼を瞑って小さな声だったが確かにそう呟いた。
ぐはっ……!
下に血が集まるのを感じる。
この瞬間、俺にとって彼が庇護すべき存在から性愛を伴う存在に変わった事実を身を持って知った。
小さく色づく艶やかな口で擦り寄られながらそんな事を言われたら反応してしまうだろう…!
彼にバレたらこのままでは俺が変質者になってしまう。それだけは何としてでも阻止せねば。
何度も深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
彼の様子は変わりない。何とか最悪な事態は避けられたようだ。
嫌われないだけマシだが、このままでは別の意味で彼も俺も危ない。
放っておけば直ぐにでも狼に喰われてしまう。それだけ彼は魅力的だ。
気を取り直して携帯を取り出し、護衛の手配を要請する。ついでに彼の身辺調査も専属の探偵に要請する。何かあってからでは遅いからな。
絶対に守る。彼に手出しはさせない。
誰にも汚させない。奪わせない。
彼が誰かに傷つけられる姿と俺ではない誰かの手を取っている姿が脳裏にチラつく。それは絶対に嫌だ。
____彼は俺のものだ
そう自覚した瞬間、胸に黒い感情が渦巻く。過去に感じた嫌悪とは違う黒い感情。
それは紛れもない独占欲と執着心。
匂いのしない彼はβのはずだが、Ωに対する独占欲が沸々と込み上げる。
αの本能と俺の理性が彼を逃すなと伝えている。
あぁ、逃しはしない。絶対に。
彼は………彼こそ
____俺の運命の番
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