世話焼きαの甘い罠

めっちゃ抹茶

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僕の平凡な日々が終わりを告げた…気がした。

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僕、南川雷(みなみかわるい)は特出すべき点も何もない平凡なβだ。人より劣っているとも思う。身長は女子高校生に埋もれてしまうくらい低く、容姿は少し吊り目気味の大きめな黒目と黒髪。まさに平凡。黙っているとキツい印象を持たれてしまうのが難点だ。頭の出来も中の下。
それでも高校受験の時は僕なりに頑張って勉強した。朝は早く起きて時間ギリギリまで、学校から帰ったら休憩を挟みつつ就寝まで勉強する毎日を繰り返した。夜は早めに就寝した。成長ホルモン云々で少しでも身長が伸びますようにって。効果は期待できてないけど…。
始めは眠くて起きられなくて二度寝が常だった。体が徐々に慣れてくると早く起きられるようになって少し嬉しかったのを覚えてる。今じゃ早寝早起きが僕のマイブームにまでなってる。清々しい朝の空気は何だか元気が出るんだ。

僕が通ってる男子校はなぜかαやΩが多く集まっていて、人口の2割程度しかいないはずなのにこんなにいたっけ?っていつも思う。類は友を呼ぶってやつだろうか。αとΩは容姿にも優れてて美形が多い。平凡な僕なんて霞んでしまう。

αとΩが多いと困ったことになる。
それは…
毎日、周りのカップルが砂糖を吐き出すということ。休憩時間や昼休みは二人の世界に入ってずっといちゃいちゃ。甘い、とにかく甘い。甘すぎる。ドロドロに溶けたあま~いアイスに砂糖をまぶして上から蜂蜜をかけて食べるくらい甘い。人目も憚らず出来るって恥ずかしくないのかな…?逆に尊敬してしまう。
始めは目のやり場に困ったけど、1年も経てばそれが日常の風景になる。慣れって恐ろしい。

周りのいちゃいちゃに感化されてカップルが増える。クラスに最低でも2、3組はいるんじゃないかな。隠してる人達もいるみたいだから半数は恋人持ちかもしれない。正直言って羨ましい。恋人がいるって所じゃなくて好きな人がいることに。勿論、好きな人と両想いなことも。αとΩの強い絆にも。
でも僕はそこに入れないって分かってる。だって美形じゃないし女子みたいに身長低いし勉強だって頑張って漸く追いつけるくらい。取り柄があまりにもない。平凡で好かれる要素が見当たらない。それでも、それでも一度でいいから恋をしてみたいって思うんだ。


僕もそう思ってた時期がありました。
でも今はそれどころじゃないんです。
僕には無縁のはずの生徒会室でなぜか、本当になぜなのか、生徒会長のお膝の上であたたか~く見守られながらお菓子を食べているんです。居た堪れません。恥ずかしいです。
役員でもないのに。お膝の上で、しかも生徒会長の。
どうしてこうなった!?
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