ちっちゃい悪役令息は婚約者から逃げられない

めっちゃ抹茶

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その後の話とホントのこと

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1年後、セフィアスと結婚をして俺は妊娠と出産を経て、一児の母になった。

セフィアスと結ばれたあの後、セフィアスと国王陛下と王妃様の希望で王宮住まいが始まった。
いつの間にか学園は退学扱いになっていた。以前から批判の声が多かったあの学園は俺とセフィアスの件がきっかけとなり、来年、取り壊されることが決まったそうだ。


学舎として機能していなかった学園は本来、己で見定めた相手が自分の本当の伴侶かどうかを試す機関だったらしい。
この事実を知るのは王族と令息達の親だけだ。だから本人達は知らぬまま、入学することとなる。

魔力の相性が全てのこの国で、
見極める力があれば幸せに。なければ好きでもない人と身を結ぶことになる。
まぁ、始めは恋愛感情がなくとも相性の良さが全てを補い、不幸せになる人はいないのが唯一の救いか…

相性の良さはなにも体だけではない。
一緒に居れば心地良く、相手の存在全てが安らぎをもたらす。肩を張ることなく、自然体でいられる。
こういうのを波長が合うと、言うんだろう。

恋愛感情として好きかどうかはさておき。



だから批判は当たり前の結果だと思う。

かくいう俺も、学園の存在を知った時、別の人と抱き合わなければいけないのかという不安とセフィアスが俺以外と肌を合わせる場面を考えただけで怒りを通り越しドス黒い感情が渦巻いた結果
ぶっ倒れ、別人格が誕生し、本来の俺は心の奥底に引っ込んでしまった。

そうして誕生したリュカは俺を守るため、セフィアスと出来る限り会わないように過ごしつつ、必要な場面では俺を演じてくれていた。
(セフィアスにはすぐにバレていたみたいだが…)


そして何の因果か、学園入学間近に前世の記憶とともに戻ってきた俺は混乱したままの状態で脱走を試み、見事に失敗したのだった。





今は王宮で愛しの伴侶様と子育てをしながら、自由にのんびり過ごしている。
幸せだ。


夜、湯浴みを終えてセフィアスが居る夫夫の寝室の扉を開ける。

「ん、来たね。今日もお疲れ様。どう?身体は辛くない?」

「あぁ、大丈夫だ。だいぶ安定してきた」

頭を撫でられ、おでこにちゅっ、と唇を押し当てられ、お腹を愛おしそうに撫でられる。
俺の腹には2人目の命が宿っている。
医者によれば安定期に入り、少し激しく動いても良いとお達しが出た。


いつもはセフィアスから誘われるが、
結婚して1年は経つのだからこれくらいなんでもない、と恥ずかしさを我慢してセフィアスの腕を掴み、ベッドに誘う。

心臓が飛び出てしまうほど動悸が激しい。頬はすでに赤くなってるだろう。耳や首まで赤く染まっているかもしれない。



不安と期待の混じった瞳でセフィアスを見つめる。

はふはふ、と浅い呼吸が口から出る。


呼吸を整え数秒の間を置いて、俺は言った。




「セフィアスが欲しい………俺にちょうだい?」


「ふふ、仰せのままに。昔も今も未来も、俺は君のものだから。
だからね、俺の奥さん。今日も…」








君のすべて、俺にちょうだい?
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