ちっちゃい悪役令息は婚約者から逃げられない

めっちゃ抹茶

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扉を開けた先には……

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「はい、どちら様?」

鍵を解除し、扉を開ける。



「久しぶりだね、リュカ」



「っぇ…」


頭を動かす度にさらりと音がしそうなほど
サラサラとしたブルーの髪。
切れ長の黄金色の瞳に視線が吸い込まれ、心の奥まで覗かれそうになる。

ハリのある、心地よい低音の声。
何度聞いたかわからない。
何度見たかわからない。



リュカが渇望してた相手が、

俺がずっと画面越しから見ていた相手が、



腕を伸ばせばすぐに触れ合ってしまう、手の届くところに居て、
体温がある生身の体で、生きている。



「っ……!」


必死に抑えていたこの気持ちが瞬く間に溢れ出る。
朧げな記憶が色彩を放ち、鮮明になる。

リュカと俺の……
いや、どちらも俺の気持ち。
俺はリュカの後ろに隠れてただけ。
怖くて震えてた俺をリュカがずっと守ってくれてた。
       
だけどもう、大丈夫。俺はもう、逃げないから。


リュカ、
俺をずっと守ってくれてありがとう。

今度は俺が、
おまえを守るよ。



コップの外に溢れてしまった気持ちは涙となって俺の頬を汚す。

「くっ…ぅぅ………」
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