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本編
学園生活、始まります! 09*微
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中庭で昔の記憶に思いを馳せていると、誰かがこちらに向かって歩いてくる音がした。
そしてブワリと吹いた風に乗って、甘い果実のような匂いが僕の身体に纏わりつく。その匂いを嗅いだ瞬間、身体の奥が熱くなった。まるで発情期の様な変化に驚いている間にも足音の主は僕の方へ近付いてくる。
やがて僕が息を切らして「はぁ、はぁ…」と胸を上下にさせていると足音は僕の横でピタリと止まり、声がした。
「久しいな、メル」
聞き覚えのない、優しいテノールの声に思わず顔を上げる。
彼の姿を目にして幼い頃の記憶が蘇った。
「っ……!も、もしかして…あの時、助けてくれた…っ」
「あぁ。俺はクロム。メルの運命の番だ」
「うんめ、いのつがい……クロムが、僕の……?」
「あぁ、そうだ。匂いを感じるか。抗い難い、惹かれる匂いを」
先程から身体に纏わりつく甘い果実の匂い。これが…運命の番の匂い…。
あぁ、もっと嗅ぎたい。近くで…もっと……
僕の身体からブワリとフェロモンが放出されるのを感じる。身体の奥はすでに疼いていて、昼間に飲んだ抑制剤の効果は全く効いていなかった。
誘われるがままに僕はクロムに手を伸ばす。
「クロムっ…!」
「メルっ…!」
僕とクロムはぴたりと身体をくっつけて抱き合い、どちらからもとなくキスをした。
「ん、ふぅ…」
全てを貪る様な、そんなキス。
やり方なんて知らない。なのに、初めから全て知っていたかの様に躊躇なく舌を伸ばし、絡ませ、啜る。分厚い舌は僕の感じる場所を的確に探し出して擦っていく。
「あ、ん、んぅ…」
触れ合う場所全てが熱くて蕩ける。身体の熱はもう既に収まり切らないところまで来ている。暑いのに、もっと隙間なく肌を合わせたい。邪魔な物は取っ払って、熱を直接感じたい。奥に欲しい。
僕は欲に支配された頭で強請る。
「くろむぅ、これ、僕に……ちょーだい」
既に張り詰めてギチギチに硬くなったそこに指を這わせる。
初めてなのに怖いなんて微塵も感じない。ただ僕の中に突き入れて擦って奥に飛沫を飛ばして欲しい。
そんなはしたないことしか考えられない程、理性は溶けて消えている。目の前の運命の番とその匂いに抗うことなど出来ないのだと、片隅で理解する。
ならばもう、あとは呑まれるだけだ。
ゴクリ。クロムが荒い息を吐きながら唾を大きく飲み込んだ。瞳には理性の欠片が僅かに見える。僕はそれすらも邪魔に思えて、わざとらしく更に煽る。
首元に背伸びをして両腕を回し、僕の元にグッと引き寄せて耳元で囁いた。
「はぁ、はぁ。くろむのお部屋、いかせて?そこで、いっぱい、シよ?」
その瞬間、何かがプツリと切れる音がした。同時に僕の身体が宙に浮く。思わずクロムの首元に強くしがみつく。
「ふーっ、煽った責任は取ってもらう。覚悟するんだな」
腹の奥に響く低音でハリのある声が耳元で聞こえた。脳まで痺れるその声と理性の色が消え、獣に成り果てたクロムの瞳に、僕の身体は歓喜に満ちた。
そしてブワリと吹いた風に乗って、甘い果実のような匂いが僕の身体に纏わりつく。その匂いを嗅いだ瞬間、身体の奥が熱くなった。まるで発情期の様な変化に驚いている間にも足音の主は僕の方へ近付いてくる。
やがて僕が息を切らして「はぁ、はぁ…」と胸を上下にさせていると足音は僕の横でピタリと止まり、声がした。
「久しいな、メル」
聞き覚えのない、優しいテノールの声に思わず顔を上げる。
彼の姿を目にして幼い頃の記憶が蘇った。
「っ……!も、もしかして…あの時、助けてくれた…っ」
「あぁ。俺はクロム。メルの運命の番だ」
「うんめ、いのつがい……クロムが、僕の……?」
「あぁ、そうだ。匂いを感じるか。抗い難い、惹かれる匂いを」
先程から身体に纏わりつく甘い果実の匂い。これが…運命の番の匂い…。
あぁ、もっと嗅ぎたい。近くで…もっと……
僕の身体からブワリとフェロモンが放出されるのを感じる。身体の奥はすでに疼いていて、昼間に飲んだ抑制剤の効果は全く効いていなかった。
誘われるがままに僕はクロムに手を伸ばす。
「クロムっ…!」
「メルっ…!」
僕とクロムはぴたりと身体をくっつけて抱き合い、どちらからもとなくキスをした。
「ん、ふぅ…」
全てを貪る様な、そんなキス。
やり方なんて知らない。なのに、初めから全て知っていたかの様に躊躇なく舌を伸ばし、絡ませ、啜る。分厚い舌は僕の感じる場所を的確に探し出して擦っていく。
「あ、ん、んぅ…」
触れ合う場所全てが熱くて蕩ける。身体の熱はもう既に収まり切らないところまで来ている。暑いのに、もっと隙間なく肌を合わせたい。邪魔な物は取っ払って、熱を直接感じたい。奥に欲しい。
僕は欲に支配された頭で強請る。
「くろむぅ、これ、僕に……ちょーだい」
既に張り詰めてギチギチに硬くなったそこに指を這わせる。
初めてなのに怖いなんて微塵も感じない。ただ僕の中に突き入れて擦って奥に飛沫を飛ばして欲しい。
そんなはしたないことしか考えられない程、理性は溶けて消えている。目の前の運命の番とその匂いに抗うことなど出来ないのだと、片隅で理解する。
ならばもう、あとは呑まれるだけだ。
ゴクリ。クロムが荒い息を吐きながら唾を大きく飲み込んだ。瞳には理性の欠片が僅かに見える。僕はそれすらも邪魔に思えて、わざとらしく更に煽る。
首元に背伸びをして両腕を回し、僕の元にグッと引き寄せて耳元で囁いた。
「はぁ、はぁ。くろむのお部屋、いかせて?そこで、いっぱい、シよ?」
その瞬間、何かがプツリと切れる音がした。同時に僕の身体が宙に浮く。思わずクロムの首元に強くしがみつく。
「ふーっ、煽った責任は取ってもらう。覚悟するんだな」
腹の奥に響く低音でハリのある声が耳元で聞こえた。脳まで痺れるその声と理性の色が消え、獣に成り果てたクロムの瞳に、僕の身体は歓喜に満ちた。
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