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本編
学園生活、始まります! 07
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「いや~カッコ悪いところを見せてしまったな。ンンっ、では改めて。アスカード家へようこそ、メル。ここはもう君の家だ。楽に寛いでくれ」
「ありがとうございます、伯爵様。今後お世話になります。早く馴染むよう、精一杯頑張ります」
お辞儀と共に挨拶をしたら少し困った顔をされた。………どこか変だった…?
そう考えていると、
「直ぐには難しいかもしれんが堅苦しいのはやめてくれよ。俺達はもう家族だからな。本当の父親みたいに思ってくれて構わんぞ?なんなら呼び方から練習するか。ほれ、ちと"父上"と呼んでみてくれ」
と言われた。
かなりフランクな伯爵様である。
「ち、父上」
「うんうん。なかなかに良いもんだな。その調子で引き続き頑張ってくれ!ハッハッハ」
父上呼びに抵抗感はあまりない。
というのも、前世も今世も"父上"などと畏まった言い方は一度もしたことがないからだ。本当の父親は"父さん"呼びで定着していて、父上と父さんは別物だと考えているから。
呼び方にこだわりもないので、喜んでくれるなら進んで父上と呼ぼう。
ーーーーーー
それからアスカード家では様々な事を学んだ。貴族に関する知識やマナー等は勿論のこと、本国や近隣諸国のこと、バース性や魔術のことも一から学んだ。魔物との戦い方は両親から習っていた為、新たに習ったのは魔物に関する知識や戦術だった。俺の戦い方は所謂暗殺に近いのだと教えられた。戦闘関連について教えてくれた先生は、俺の戦い方を否定せずに短所を補い、長所を伸ばす方針をとってくれた。
両親から受け継いだ技術を反対されなかったことは、両親のことを受け入れてくれた気がしてとても嬉しかった。
アスカード家に来る直前から思っていた疑問については、僕がここに来た日の夜に父上が教えてくれた。
「入りなさい」
「失礼します。お話があると伺いましたが……」
「メルも気になっていただろう。君の母親……メファニスの事だ」
「………っ!教えてくださるのですか。なぜ母が今、平民に下りて冒険者をやっているのかを……」
「あぁ。…………話すが、この事は他言無用だ。決して誰にも言うな。そして…メル。君は…………光属性を持っているな」
属性を当てられ、酷く動揺する。
だが顔には出ていないはず。出すな、答えを相手に教えるなと両親から教えられたのだから。
「いえ、僕の属性は風です」
ここで「瞳を見ればわかることでしょう?」などと言えば、口数が多くなり何かを隠そうとしていることが相手に伝わる。
だから敢えて、事実だけを伝えた。
「………合格だ。さすがメファニスとルーカスの子だな。アイツらの特訓は地獄だからなぁ。身につく分、耐えるのが難しい。それを耐えたメルは立派だ」
「あ、ありがとうございます……。父上は父親のことも知っているのですね」
「あぁ。昔にルーカスから剣の扱いを教えてもらったことがあってな。その時に知り合ったんだ。予想はついてるだろうが、ルーカスは今から話す内容に関わっている」
「はい、分かっています」
僕は生唾をゴクリと飲み込んだ。
両親と接してきて感じた疑問、違和感。
それらが明かされるのだと思うと、緊張で足が震えた。
「ありがとうございます、伯爵様。今後お世話になります。早く馴染むよう、精一杯頑張ります」
お辞儀と共に挨拶をしたら少し困った顔をされた。………どこか変だった…?
そう考えていると、
「直ぐには難しいかもしれんが堅苦しいのはやめてくれよ。俺達はもう家族だからな。本当の父親みたいに思ってくれて構わんぞ?なんなら呼び方から練習するか。ほれ、ちと"父上"と呼んでみてくれ」
と言われた。
かなりフランクな伯爵様である。
「ち、父上」
「うんうん。なかなかに良いもんだな。その調子で引き続き頑張ってくれ!ハッハッハ」
父上呼びに抵抗感はあまりない。
というのも、前世も今世も"父上"などと畏まった言い方は一度もしたことがないからだ。本当の父親は"父さん"呼びで定着していて、父上と父さんは別物だと考えているから。
呼び方にこだわりもないので、喜んでくれるなら進んで父上と呼ぼう。
ーーーーーー
それからアスカード家では様々な事を学んだ。貴族に関する知識やマナー等は勿論のこと、本国や近隣諸国のこと、バース性や魔術のことも一から学んだ。魔物との戦い方は両親から習っていた為、新たに習ったのは魔物に関する知識や戦術だった。俺の戦い方は所謂暗殺に近いのだと教えられた。戦闘関連について教えてくれた先生は、俺の戦い方を否定せずに短所を補い、長所を伸ばす方針をとってくれた。
両親から受け継いだ技術を反対されなかったことは、両親のことを受け入れてくれた気がしてとても嬉しかった。
アスカード家に来る直前から思っていた疑問については、僕がここに来た日の夜に父上が教えてくれた。
「入りなさい」
「失礼します。お話があると伺いましたが……」
「メルも気になっていただろう。君の母親……メファニスの事だ」
「………っ!教えてくださるのですか。なぜ母が今、平民に下りて冒険者をやっているのかを……」
「あぁ。…………話すが、この事は他言無用だ。決して誰にも言うな。そして…メル。君は…………光属性を持っているな」
属性を当てられ、酷く動揺する。
だが顔には出ていないはず。出すな、答えを相手に教えるなと両親から教えられたのだから。
「いえ、僕の属性は風です」
ここで「瞳を見ればわかることでしょう?」などと言えば、口数が多くなり何かを隠そうとしていることが相手に伝わる。
だから敢えて、事実だけを伝えた。
「………合格だ。さすがメファニスとルーカスの子だな。アイツらの特訓は地獄だからなぁ。身につく分、耐えるのが難しい。それを耐えたメルは立派だ」
「あ、ありがとうございます……。父上は父親のことも知っているのですね」
「あぁ。昔にルーカスから剣の扱いを教えてもらったことがあってな。その時に知り合ったんだ。予想はついてるだろうが、ルーカスは今から話す内容に関わっている」
「はい、分かっています」
僕は生唾をゴクリと飲み込んだ。
両親と接してきて感じた疑問、違和感。
それらが明かされるのだと思うと、緊張で足が震えた。
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