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一年目 春

GW⑤ 【S & M①】

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幸志郎は、そのホテルの最上階の部屋を取りました。

その部屋が、このラブホテルで最もお値段の高い部屋です。

私は人生二回目のラブホテルで、そんな私にもお高い部屋だと分かりました。

他にも空いてる部屋はあったのですが……これには理由が有ったのです。

部屋に入るなり、部屋の内部を見る暇も無く、私は彼に抱きしめられて……そして、激しいキスを交わしました。

【求められてる♡】

って、彼の激しい情熱を感じました。

そのまま、ゆっくりと彼に押されるままに後ずさると、何かに背中が突き当たりました。

彼はキスを止めると、私の右腕を取って斜め上に持ち上げ

(カチャカチャ)

って、何か金属音がして、見上げると……!!!

黒くて太いベルトが手首に付けられて、そのベルトから伸びた鎖が赤色の革張りの板に繋がれていました。

そうです、右腕が拘束されました。

次に左腕も同じように拘束されて、その後は、両脚を肩幅よりも少し広く開いた状態で拘束されて……手枷足枷でバンザイ状態です。

でも私、この間、まったく抵抗すること無く、彼にされるがまま受け入れていました。

周りに眼をやると、部屋はかなり大きくて、片方は白を基調にした清潔感のあるデザインで統一してあって、真っ白なキングサイズのベッドに、真っ白で小さなフロアテーブルと、白い二人がけのソファー、そしてその前の壁には、大きなテレビがあって、小さなキッチンに小さな冷蔵庫、そして、もう一つの壁には、何処かの風に吹かれてソヨソヨと揺れる金色の麦畑を描いた大きな絵画が飾られていて、高級感と癒しの両方をバランスさせたインテリアになっています。

でも、その反対側は……黒と赤を基調にしたインテリアで、真ん中には無骨なデザインの真っ赤な椅子があって、それには両手と両脚を固定出来るように黒いペルトが取り付けてありました。

その横に、今、私が拘束されようとしている、赤い革張りの大きなエックス型の器具が突っ立っていて、その正面の壁は鏡張りになっています。

横の棚には色々な器具が並べて置いてあり、男性器そのものの形の物や、何に使うのか分からない程、大きな物もありました。

部屋の隅には一段低くなって、シャワーと……何故か和式のトイレが、まったく遮るものが無い状態で設置してあり、片方の壁には、何種類かのムチ?が掛けてあり、もう片方の壁には仮面のようなマスクが飾られて?います。

そうです、ここはSMプレイの為の部屋なんです。

プレイルームって言うらしい?です。

私は、この部屋の状態を理解すると同時に、幸志郎のしようとしている事も理解しました。

そして、彼を見詰めて

「コウ……これって……?」

「こういうの……嫌?」

耳元で囁くように言う彼の声は、でも、何かを恐れているのか、震えているように聞こえました。

「こういうの、好きなの?」

と、私が聞くと、彼はすぐには答えず、何かを考えてから答えました。

「実は……黙ってた事がある。

凄く悩んだんだけど、君には……隠し通していく自信が無い。

実は、こういうのにハマってた時期があって……でも、当時は彼女がドMで、求められたからしてただけで、自分から女性をこうしたいなんて思った事は無かったんだ。

だから、自分では自分をSだと思ってなかった。

けど、君を前にすると……もう、こういう妄想が出てきてしまって、我慢してたけど、それがドンドンと強くなって……もう、今日なんて、ずっと君をメチャクチャに犯したいって思ってて……拒否られたら結婚相手を失うかもしれないと思うと、もの凄く怖いんだけど……でも、結婚してから我慢出来なくなって、君が受け入れられなくて、関係が壊れるよりは……まだ、今の方がお互いにダメージ少なくて済むだろ?

だから、今、打ち明けるべきだと判断したんだ」

「私を前にするとって?……私って、見るからにMみたいなの?」

「違う、そういう意味じゃない。

君と再会して、君と付き合えるようになって、君への想いがドンドンと強くなって……もう好きとかを通り越して、愛おしくてたまらなくなって……これは今までにも言って来たけど、そうなると俺の中で、君を俺の物にしたい、俺の女にしてやりたいって強い想いが産まれて……君は、その想いを自分から進んで受け入れてくれたけど……実は…………それ以上に、俺の傍に置いておきたい、俺に縛り付けておきたい、好きなように嬲って、弄んで、感じさせて、俺の虜にして、離れられないようにしてやりたい!って想いがフツフツと湧き上がって来るんだ。

このエゴの塊みたいな感情を抑えられない……これをずっと抑えるのは……無理だ……と思う」

彼は話しながら、段々と声が小さくなって、私から離れ、項垂れるようにして、背を向けてしまいました。

その彼に、私は問いました。

「以前、彼女の事を、俺の物とか俺の女って言うのは、男のエゴで好きじゃないって、言って無かった?

今は、それ以上の感情って事よね?」

「そうだよ、表面ではそう言ってたけど……本当の俺は……エゴの塊……なんだよ。

でも、あの時は、自分の都合の良いように女を扱って、守りも支えもしない無責任なヤツの事を言ったんだ。

俺は、君と一生を共にする覚悟だし、当然、護って行くし、支えて行く。

一生、責任もって愛して行く。

だから……」

「だから?」

「受け入れて……欲しいんだ」

彼は、そう言うと、私の前で座り込んでしまいました。

私は、その言葉を聞いて、暫く返事を返す事が出来ませんでした。

そうです、私の中では、もう私の総てを彼に捧げていたつもりだったのです。

だから、これ以上、どう言えば良いのか、セリフを考えていたのです。

でも彼は、私の沈黙を拒否と受け取ったみたいで

「ごめん、やっぱり無理だよな。

こんな変態、嫌で当然だよ。

ごめん、忘れて」

と言うと、サッと立ち上がって、私の腕の拘束を解こうとしました。

私は、そうじゃ無かったし、私にも感じてた事があったし、彼を失うくらいなら、こんな事なんて今となっては大した問題じゃなくて、彼の総てを受け入れるって決めてて、覚悟も出来てたので、とても恥ずかしかったけど、私の想いを込めて彼に告げました。

「御主人様、それ程までに私を求めて頂けて、私は幸せ者です。

私の総てを捧げますので、どうぞ、御主人様のお好きなようにして頂いて構いません」

と。

(つづく)
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