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平和を生んだ王様
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とある平和な国に、それはとてもとても地味で、しかしとてもとても強い、そんな国王がいました。
その強さは家来全員が認めるほどです。そんな強い王様ですが、国民には全くその強さが知られていません。家来も歯痒く思い、王様はその自分の強さが分かってもらえることをしようと考えました。
王様が休みの買い物をしている日に不意に暴漢がやってきて国民を襲い、それを王様が助ける。それで少しでも自分の強さを見せることにしました。
そこで、暴漢と国民それぞれに扮した家来と打ち合わせをし、実行することにしました。
王様は買い物しているといつもみんなに挨拶をします。そこに、「やめて!」という悲鳴に似た叫びが聞こえてきました。暴漢です。よくわからない咆哮をあげ、国民に襲いかかります。王様は計画通りに止めに入ります。激しく抵抗しましたが強い王様に全く歯が立つわけもなくあっさりと暴漢は降伏させられてしまいました。
さて、国民の前で強さを見せた王様でしたが、実際の国民の印象は、それよりも街に暴漢が出たことによる恐怖のほうが強かったのでした。王様の強さを印象づけさせることに失敗してしまいました。そこでこの「みせしめ」を不定期にすることにしました。
面白いようにその「みせしめ」は効果があり、次第に強い王様としての知名度も上がってきました。本物の暴漢や悪党も捕まえたこともありました。そうこうして月日が経つごとに家来は感情を複雑にしていきました。そしてその一人がついに重い腰を上げ、王様にうかがいました。
「王様。王様の最近のご活躍はよく耳にするようになりました。頼もしい、何かあったとしても安心できるなどの声もよく届きます。」
「皆さんのおかげです。ありがとうございます。」
「……。実は最近、犯罪が増えているのです。」
「……。確かに増えている。考えてみれば本物の暴漢を捕まえることも増えた。なぜ今まで私は危機感を抱かなかったんだ。」
「………。」
家来らは言葉が出ませんでした。王様も無言になりました。王様は実はその理由がわかっていました。この強い力が認められはじめたのが、とても喜ばしく思ったからです。平和を望んでいるはずなのに、平和に飽きてしまっていたのです。そして一番は、平和に見せたかった。強さを認められ、それをとても感じることができた。平和を見せている今のほうが充足していました。王様は罪悪感でたまらなくなり、ついに王様を辞めることを決めました。
国民は黙ってはいませんでした。地味かもしれないがとても強い、縁の下の力持ちの頼れる王様は何故やめたのか、と。それは暴動が起きるまでに発展しました。この国の歴史に残る未曾有の大規模です。ただし、それは一瞬の出来事でした。元王様が鎮めたからです。
王様が王様でなくなって平和がまた訪れたのも、一瞬の出来事でした。
その強さは家来全員が認めるほどです。そんな強い王様ですが、国民には全くその強さが知られていません。家来も歯痒く思い、王様はその自分の強さが分かってもらえることをしようと考えました。
王様が休みの買い物をしている日に不意に暴漢がやってきて国民を襲い、それを王様が助ける。それで少しでも自分の強さを見せることにしました。
そこで、暴漢と国民それぞれに扮した家来と打ち合わせをし、実行することにしました。
王様は買い物しているといつもみんなに挨拶をします。そこに、「やめて!」という悲鳴に似た叫びが聞こえてきました。暴漢です。よくわからない咆哮をあげ、国民に襲いかかります。王様は計画通りに止めに入ります。激しく抵抗しましたが強い王様に全く歯が立つわけもなくあっさりと暴漢は降伏させられてしまいました。
さて、国民の前で強さを見せた王様でしたが、実際の国民の印象は、それよりも街に暴漢が出たことによる恐怖のほうが強かったのでした。王様の強さを印象づけさせることに失敗してしまいました。そこでこの「みせしめ」を不定期にすることにしました。
面白いようにその「みせしめ」は効果があり、次第に強い王様としての知名度も上がってきました。本物の暴漢や悪党も捕まえたこともありました。そうこうして月日が経つごとに家来は感情を複雑にしていきました。そしてその一人がついに重い腰を上げ、王様にうかがいました。
「王様。王様の最近のご活躍はよく耳にするようになりました。頼もしい、何かあったとしても安心できるなどの声もよく届きます。」
「皆さんのおかげです。ありがとうございます。」
「……。実は最近、犯罪が増えているのです。」
「……。確かに増えている。考えてみれば本物の暴漢を捕まえることも増えた。なぜ今まで私は危機感を抱かなかったんだ。」
「………。」
家来らは言葉が出ませんでした。王様も無言になりました。王様は実はその理由がわかっていました。この強い力が認められはじめたのが、とても喜ばしく思ったからです。平和を望んでいるはずなのに、平和に飽きてしまっていたのです。そして一番は、平和に見せたかった。強さを認められ、それをとても感じることができた。平和を見せている今のほうが充足していました。王様は罪悪感でたまらなくなり、ついに王様を辞めることを決めました。
国民は黙ってはいませんでした。地味かもしれないがとても強い、縁の下の力持ちの頼れる王様は何故やめたのか、と。それは暴動が起きるまでに発展しました。この国の歴史に残る未曾有の大規模です。ただし、それは一瞬の出来事でした。元王様が鎮めたからです。
王様が王様でなくなって平和がまた訪れたのも、一瞬の出来事でした。
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