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番外編
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「かづっちゃーん! こっちこっち!」
「鈴音さん! おはようございます!」
「おーっす。じゃあ駐車場までちょっと歩くぞ。今から車で俺ん家行くからさ」
新幹線を降りて、地下鉄に乗り換えて指定された駅の改札で、鈴音さんと合流できた。
それから鈴音さんが乗れと言う車に乗ったけれど……2年前くらいに乗せてもらったのと違うような?
「鈴音さん、車買い替えたんですか? 前は確か、水色の軽自動車だった気が」
「ん? かづっちゃんのお母さん家まで送った時の車のこと言ってる?」
「そうです」
「あれは今も乗ってるよ。可愛くて好きなんだよな、あの車。これはこっち来た時に乗る用の車だよん」
「こっち来た時?」
関西と関東にそれぞれ車があるってこと?
「なんかさぁ、タロも最近は野田の本家にいることが増えて、なんだかんだと俺もこっちに来ることが多くなったんだよな。そうすっとわざわざ長時間運転してんのも疲れるし、移動は新幹線使った方が楽だと思って。こっちにも家と車あると便利だし。前までは本家に泊まらせてもらってたけど、もはや住む勢いで関西いる時もあるし、自分の部屋借りちゃおと思ったんだよね」
「え、野田の本家に泊まってたんですか!?」
「いやもう俺10年くらい出入りしてるから普通だよ。野田のじっちゃんも好きだし。それにあそこの風呂すげーし。あ、今日泊まる?」
「いやいやいや無理無理無理」
「巽さんの部屋使えばいいじゃん。俺はタロの部屋使うし。ぶっちゃけた話、巽さんの恋人なんだから誰にも何もされるわけないから平気だぞ? 俺も一緒だし」
「いや! まじで無理っす!」
そんな話をしていると、鈴音さんの部屋があるマンションに到着したらしい。
想像以上に高そうなマンション……ドアマンみたいのいるんだけど? え、こんないいとこでわざわざ借りてんの……? とか思っちゃう庶民派の俺。
「やっぱさ、セキュリティしっかりしてないとタロが滞在すんのに良くないらしくて。別に来なくていいのに来るから、あのバカ犬は」
なるほど……?
鈴音さんの部屋に入ると、玄関にとても大きいサイズの靴があって、つまりこれは今も狼さんがいるということで。
正直、……まだあの人のこと恐いんだよな。鈴音さんとの絡みはもう慣れたけど、あんま直接喋ったことないし。
ちょっとびくつきながら廊下を歩く。少し準備があるからとリビングスペースに続くドアを開けながら俺だけ入るよう促される。『寛いでなー』と言われても、この先に狼さんがいて二人きりになると思ったら顔が引き攣るのを止められない。
「おう、チビ。よく来たな」
「こ、んにちは」
「巽に見合い話がいっちまったの、悪かったな。まぁ今日は俺より巽の方が適任といやぁそうなんだが、お前はいい気分じゃねぇよな」
「そうですね……」
「鈴音がお前と女装して乗り込むっつってたぞ。盗聴器も手配済みだしな」
「えっ、女装とか盗聴とか、なんかちょっと俺が思ってたのと違うっていうか」
「なーに言ってんだよ、顔隠すような変装して入れるグレードのホテルじゃねぇし、性別偽るくらいじゃねぇと巽さんがかづっちゃんに気付いちまうよ」
がっつり女性が着るような服と、長髪のウィッグと何やら大きな鞄のようなものを持った鈴音さんが来てそう言った。
待って待って! 女装ってそこまでがっつりやんのかよ!?
「鈴音さん! おはようございます!」
「おーっす。じゃあ駐車場までちょっと歩くぞ。今から車で俺ん家行くからさ」
新幹線を降りて、地下鉄に乗り換えて指定された駅の改札で、鈴音さんと合流できた。
それから鈴音さんが乗れと言う車に乗ったけれど……2年前くらいに乗せてもらったのと違うような?
「鈴音さん、車買い替えたんですか? 前は確か、水色の軽自動車だった気が」
「ん? かづっちゃんのお母さん家まで送った時の車のこと言ってる?」
「そうです」
「あれは今も乗ってるよ。可愛くて好きなんだよな、あの車。これはこっち来た時に乗る用の車だよん」
「こっち来た時?」
関西と関東にそれぞれ車があるってこと?
「なんかさぁ、タロも最近は野田の本家にいることが増えて、なんだかんだと俺もこっちに来ることが多くなったんだよな。そうすっとわざわざ長時間運転してんのも疲れるし、移動は新幹線使った方が楽だと思って。こっちにも家と車あると便利だし。前までは本家に泊まらせてもらってたけど、もはや住む勢いで関西いる時もあるし、自分の部屋借りちゃおと思ったんだよね」
「え、野田の本家に泊まってたんですか!?」
「いやもう俺10年くらい出入りしてるから普通だよ。野田のじっちゃんも好きだし。それにあそこの風呂すげーし。あ、今日泊まる?」
「いやいやいや無理無理無理」
「巽さんの部屋使えばいいじゃん。俺はタロの部屋使うし。ぶっちゃけた話、巽さんの恋人なんだから誰にも何もされるわけないから平気だぞ? 俺も一緒だし」
「いや! まじで無理っす!」
そんな話をしていると、鈴音さんの部屋があるマンションに到着したらしい。
想像以上に高そうなマンション……ドアマンみたいのいるんだけど? え、こんないいとこでわざわざ借りてんの……? とか思っちゃう庶民派の俺。
「やっぱさ、セキュリティしっかりしてないとタロが滞在すんのに良くないらしくて。別に来なくていいのに来るから、あのバカ犬は」
なるほど……?
鈴音さんの部屋に入ると、玄関にとても大きいサイズの靴があって、つまりこれは今も狼さんがいるということで。
正直、……まだあの人のこと恐いんだよな。鈴音さんとの絡みはもう慣れたけど、あんま直接喋ったことないし。
ちょっとびくつきながら廊下を歩く。少し準備があるからとリビングスペースに続くドアを開けながら俺だけ入るよう促される。『寛いでなー』と言われても、この先に狼さんがいて二人きりになると思ったら顔が引き攣るのを止められない。
「おう、チビ。よく来たな」
「こ、んにちは」
「巽に見合い話がいっちまったの、悪かったな。まぁ今日は俺より巽の方が適任といやぁそうなんだが、お前はいい気分じゃねぇよな」
「そうですね……」
「鈴音がお前と女装して乗り込むっつってたぞ。盗聴器も手配済みだしな」
「えっ、女装とか盗聴とか、なんかちょっと俺が思ってたのと違うっていうか」
「なーに言ってんだよ、顔隠すような変装して入れるグレードのホテルじゃねぇし、性別偽るくらいじゃねぇと巽さんがかづっちゃんに気付いちまうよ」
がっつり女性が着るような服と、長髪のウィッグと何やら大きな鞄のようなものを持った鈴音さんが来てそう言った。
待って待って! 女装ってそこまでがっつりやんのかよ!?
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