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番外編
5(完)
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再びぐるんと仰向けに戻され、結城にキスをされた。それに応えることができないくらいに花月は快感に酔っていた。クチュと微かに音がして、体内から結城の指が出ていった途端にグッと押し付けられた質量、熱。そして、痛み。思わず花月は顔を顰めた。
「痛いか?」
「……ぜ、んぜん。よゆー……!」
「お前のそういうとこ、まじで可愛いな。痛いくせに。力抜けるか?」
自分を本当に愛おしそうに見ている結城の目が優しくて、何故だか泣きそうになる。泣かないように眉間に力を入れたせいで、結城は痛みに耐えているんだと思ったようだ。
また花月が快感に酔えるくらいに濃厚なキスをして、痛みで縮こまった性器を扱いた。そうやって愛撫をしながら少しずつ少しずつ腰を進めていく。一気に貫いてしまいたいという欲望を抑えながらの作業は結城にとっても辛かった。
「……入ったぞ」
「はっ……ぁ、ぜんぶ?」
「おう」
いつもキリッとした結城の眉が、少しだけハの字に垂れ下がっている。じんわりと浮かんでいる汗や、上がった呼吸で、結城が自分の中で感じてくれているんだと実感する。
「結城、気持ちいい?」
「ああ……死ぬほど。キツいし、熱いし、今すぐ動きたい」
「いいよ。動いても」
「いや、たぶん今動いたらお前は痛いだけだし、とりあえず、今はキスさせろ」
激しいキスをした。たまにお互いの歯が当たってしまうくらい、呼吸も許されないほどに夢中になってキスをした。
そうしている間にゆるゆると花月の腰が僅かに揺れだした。繋がっている結城がその変化に気付かない訳がない。そろそろいいかとおもむろに花月の腰を抱いた。
「ぅあっ、あ、あっ!」
中で擦れながらズズッと抜けていく感覚が何とも言えないもので、自然と大きな声が出た。と思ったら今度はグッと入ってくる。その度に自分でも信じられないような甘ったるい声が口なんだか鼻なんだか分からないその辺りからひっきりなしに漏れる。
「んぁ、あ、あっ、は……ぁ!」
「ハッ……やべぇな。止まんねぇ」
「やぁ! そこっ、あ、だめ……んっ」
「ここか? ここがいいのか?」
「あっ! あっ、んん……は、あっ」
「花月、自分でも腰動かしてんの分かるか? めちゃくちゃエロいぞ」
「う、るさ……も、むり」
「イキたいか?」
「ぅんっ、イキたい……っ」
花月の性器に触れる。ちゃんと尻で感じていることが分かるくらいに濡れていた。少しだけ強く握り込んで、腰の律動に合わせて扱く。
「あっんぁ、あっ、ああ」
「お前……エロすぎだろ」
「あ、んっ、んんーっ!」
「……うっ」
ビクンと身体を反らせて、花月は達した。その瞬間に結城の性器も締め付けられて刺激され、小さく呻いて達したのだった。
「……くそ、ガキか俺は」
果てても萎えない性器をずるりと引き抜きながら漏らした言葉は、自身が思っていたより呆気なく射精してしまったことに対するものだった。
気を取り直して精液の注ぎ込まれたコンドームを捨てる。手早く下着とスラックスを正すと、脱力したままの花月を抱いて、風呂場に向かったのだった。
シャワーを浴びながら第2ラウンド……というわけではもちろんなく、これ以上ないほど甲斐甲斐しく花月の身体を洗い、二人仲良く湯船に浸かって温まった。ただそれだけ。
だが思いの外、花月の風呂の世話が楽しかったので、今後も一緒に風呂に入るのはありだな、と結城は思った。
もう我慢する必要はないのだし。
end.
「痛いか?」
「……ぜ、んぜん。よゆー……!」
「お前のそういうとこ、まじで可愛いな。痛いくせに。力抜けるか?」
自分を本当に愛おしそうに見ている結城の目が優しくて、何故だか泣きそうになる。泣かないように眉間に力を入れたせいで、結城は痛みに耐えているんだと思ったようだ。
また花月が快感に酔えるくらいに濃厚なキスをして、痛みで縮こまった性器を扱いた。そうやって愛撫をしながら少しずつ少しずつ腰を進めていく。一気に貫いてしまいたいという欲望を抑えながらの作業は結城にとっても辛かった。
「……入ったぞ」
「はっ……ぁ、ぜんぶ?」
「おう」
いつもキリッとした結城の眉が、少しだけハの字に垂れ下がっている。じんわりと浮かんでいる汗や、上がった呼吸で、結城が自分の中で感じてくれているんだと実感する。
「結城、気持ちいい?」
「ああ……死ぬほど。キツいし、熱いし、今すぐ動きたい」
「いいよ。動いても」
「いや、たぶん今動いたらお前は痛いだけだし、とりあえず、今はキスさせろ」
激しいキスをした。たまにお互いの歯が当たってしまうくらい、呼吸も許されないほどに夢中になってキスをした。
そうしている間にゆるゆると花月の腰が僅かに揺れだした。繋がっている結城がその変化に気付かない訳がない。そろそろいいかとおもむろに花月の腰を抱いた。
「ぅあっ、あ、あっ!」
中で擦れながらズズッと抜けていく感覚が何とも言えないもので、自然と大きな声が出た。と思ったら今度はグッと入ってくる。その度に自分でも信じられないような甘ったるい声が口なんだか鼻なんだか分からないその辺りからひっきりなしに漏れる。
「んぁ、あ、あっ、は……ぁ!」
「ハッ……やべぇな。止まんねぇ」
「やぁ! そこっ、あ、だめ……んっ」
「ここか? ここがいいのか?」
「あっ! あっ、んん……は、あっ」
「花月、自分でも腰動かしてんの分かるか? めちゃくちゃエロいぞ」
「う、るさ……も、むり」
「イキたいか?」
「ぅんっ、イキたい……っ」
花月の性器に触れる。ちゃんと尻で感じていることが分かるくらいに濡れていた。少しだけ強く握り込んで、腰の律動に合わせて扱く。
「あっんぁ、あっ、ああ」
「お前……エロすぎだろ」
「あ、んっ、んんーっ!」
「……うっ」
ビクンと身体を反らせて、花月は達した。その瞬間に結城の性器も締め付けられて刺激され、小さく呻いて達したのだった。
「……くそ、ガキか俺は」
果てても萎えない性器をずるりと引き抜きながら漏らした言葉は、自身が思っていたより呆気なく射精してしまったことに対するものだった。
気を取り直して精液の注ぎ込まれたコンドームを捨てる。手早く下着とスラックスを正すと、脱力したままの花月を抱いて、風呂場に向かったのだった。
シャワーを浴びながら第2ラウンド……というわけではもちろんなく、これ以上ないほど甲斐甲斐しく花月の身体を洗い、二人仲良く湯船に浸かって温まった。ただそれだけ。
だが思いの外、花月の風呂の世話が楽しかったので、今後も一緒に風呂に入るのはありだな、と結城は思った。
もう我慢する必要はないのだし。
end.
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