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トラック2:学校の中の自分と家の中の自分は、性格が全く違うことがある
地域住民に愛されるローカル喫茶チェーン
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家電量販店の手前にあるラーメン街で食事を済ませ、俺達は勉強できるためのスペースを探す。
「さ、ご飯も食べたし、何処で勉強する?」
香奈美がそう俺達に、聞いてくる。
高校生が談笑するような場所といえば、ファミレスやファストフード店、喫茶店のイメージ。喫茶店といえば、スムージーのような甘いドリンクで有名な人魚の店が圧倒的に人気。もちろんその店も良いのだが、俺達が普段利用する喫茶店は違う。
「いつも通り、真下の喫茶店で良いよな?」
「ああ、もちろん」
「え、何処そこ?」
そう俺と玲緒奈だけ息が合っていたのに対し、香奈美はあまりぴんときていないようだ。
今いるラーメン街の真下の階に降り、お土産コーナーが多く立ち並ぶそのエリアの端に、その店はある。
「あ、ここね。いつも素通りしてて気づかなかった」
「ここ、結構美味しいぞ」
コロンビア産のこだわりのコーヒー豆を一から焙煎して提供する正統派な喫茶店、サザコーヒー。
県内を中心に店を構える喫茶チェーンで、東京にも出店している。
正直高校生には渋めのチョイスかもしれないが、ここの名物コーヒーと日替わりのスイーツが美味しく、俺と玲緒奈は喫茶店で勉強するといったら、迷わずここを選ぶ。
奥の店内の様子を凝らして見ると、ビジネスマンや年配の夫婦、若い男女のカップル等様々な年齢層の客がコーヒーを飲みながら一休みしている。
当然ながら、制服を着た学生客なんてぱっと見何処にもいない。
「ちょっと店内の奥見てくる」
そう言い、玲緒奈がテーブル席に空きがないかどうか確かめに行ってくれたが、あっという間に戻ってくる。
「だめだ。奥もテーブル席空いてない」
「え、まじっすか」
そこまで満席になることは、今まであまりなかったので、少し驚いた。
駅構内はサザコーヒー以外にも多くの喫茶店が出店しており、うまい具合に分散できていたので、今まで満席になることはなかった。
思えば最近、テレビで特集されていたような。メディア効果なのだろうか。
「どうする、他行くか?」
そう玲緒奈が俺達に聞くと、
「あ、向こうのテーブルの人たち、立ち上がろうとしているよ」
香奈美が、一組の客が去ろうとする様子に気付いたのか店の奥側を指さした。
「お、ちょうどいいタイミングだな」
「いや、違う違う。あたしらがイートインしようとしているのを察してくれたんだよ」
そう言って、俺達は店からはけてくれた優しい人たちにお礼を言い、店内に荷物を置くことにした。
注文を終え、俺達はテーブル席へ腰かける。
俺達は試験勉強のために、まず自分の勉強したい思い思いの教科書を取り出し、学習に取り組む。
俺は無論、苦手な古典から最初にとりかかっていたが、既に行き詰っていた。
にしても何故、古語なんて学ぶ必要があるのだろうか。
英語ならまだ分かる。
世界の公用語は各国で違うのだから、その分だけ何百通りの言葉がある。
その中で多くの国で話されている言語なのだから、身につけたら確かに自分にとって得になる。
だが古語というのは、学んで何の意味があるのかが全く見出せない。
日本史関係の仕事や学者にならない限り、役に立つ機会なんてない。
その上何故大昔と今で意味が違う単語があるのか。どうもそこが理解できない。
今でも使っている言葉が、大昔では全く別の意味で使われていたとか、そんな面倒くさいことを覚える気力が湧いてこない。
眉間に皺寄せながらうんうん考えているうちに俺達の注文したメニューが運ばれてきた。
俺も玲緒奈も、将軍コーヒーを注文。これが、例の名物コーヒーである。
金色の容器に注がれたコーヒーは、他のメニューとは一線を越えた純度がある。
温度もちょうど良い具合に調整されていて、熱すぎずぬるすぎず、火傷することはまずない。
一口飲むことで、淡くて芳醇なほろ苦さが、意味が分からず悶々としていた気分が少しずつ払拭されていく。
やっぱホットコーヒーは落ち着くな。
そう俺が一呼吸おいていると、
「なんか芳人、さっきえらく古典の教科書とノートに睨めっこしてるように見えたな」
と、玲緒奈が俺の様子を察してきた。
そんな玲緒奈に俺は思わず、
「そうなんだよ。俺古典苦手でさ、教えてくれ。一人じゃ無理だ、頼む」
と、せがんだ。
「あたしからもお願いー。レオ兄、教えてー」
香奈美も俺に便乗する形で、おねだりする。
「全く、仕方ないね。君たちは」
玲緒奈は、やれやれと肩を竦めた。
「で、何処? わかんないところは」
「「全部」」
「はぁ?」俺と香奈美が口を揃えてそう答えたので、さすがに玲緒奈は辟易した様子を全面に見せつけた。「もし野球部だったら、既に顧問に怒鳴られてるよ」
「まず、教科書を見せてくれ。範囲の中から、まずは頻出の古語を教えるよ。単語カードは持ってるよな」
「イエス」
「イエッサー」
「じゃあ俺のスピードについてこい。日も無いし、びゅんびゅん飛ばすから、遅れたらそれで終わりだからな」
こうして、玲緒奈による短時間講義が始まった。
「さ、ご飯も食べたし、何処で勉強する?」
香奈美がそう俺達に、聞いてくる。
高校生が談笑するような場所といえば、ファミレスやファストフード店、喫茶店のイメージ。喫茶店といえば、スムージーのような甘いドリンクで有名な人魚の店が圧倒的に人気。もちろんその店も良いのだが、俺達が普段利用する喫茶店は違う。
「いつも通り、真下の喫茶店で良いよな?」
「ああ、もちろん」
「え、何処そこ?」
そう俺と玲緒奈だけ息が合っていたのに対し、香奈美はあまりぴんときていないようだ。
今いるラーメン街の真下の階に降り、お土産コーナーが多く立ち並ぶそのエリアの端に、その店はある。
「あ、ここね。いつも素通りしてて気づかなかった」
「ここ、結構美味しいぞ」
コロンビア産のこだわりのコーヒー豆を一から焙煎して提供する正統派な喫茶店、サザコーヒー。
県内を中心に店を構える喫茶チェーンで、東京にも出店している。
正直高校生には渋めのチョイスかもしれないが、ここの名物コーヒーと日替わりのスイーツが美味しく、俺と玲緒奈は喫茶店で勉強するといったら、迷わずここを選ぶ。
奥の店内の様子を凝らして見ると、ビジネスマンや年配の夫婦、若い男女のカップル等様々な年齢層の客がコーヒーを飲みながら一休みしている。
当然ながら、制服を着た学生客なんてぱっと見何処にもいない。
「ちょっと店内の奥見てくる」
そう言い、玲緒奈がテーブル席に空きがないかどうか確かめに行ってくれたが、あっという間に戻ってくる。
「だめだ。奥もテーブル席空いてない」
「え、まじっすか」
そこまで満席になることは、今まであまりなかったので、少し驚いた。
駅構内はサザコーヒー以外にも多くの喫茶店が出店しており、うまい具合に分散できていたので、今まで満席になることはなかった。
思えば最近、テレビで特集されていたような。メディア効果なのだろうか。
「どうする、他行くか?」
そう玲緒奈が俺達に聞くと、
「あ、向こうのテーブルの人たち、立ち上がろうとしているよ」
香奈美が、一組の客が去ろうとする様子に気付いたのか店の奥側を指さした。
「お、ちょうどいいタイミングだな」
「いや、違う違う。あたしらがイートインしようとしているのを察してくれたんだよ」
そう言って、俺達は店からはけてくれた優しい人たちにお礼を言い、店内に荷物を置くことにした。
注文を終え、俺達はテーブル席へ腰かける。
俺達は試験勉強のために、まず自分の勉強したい思い思いの教科書を取り出し、学習に取り組む。
俺は無論、苦手な古典から最初にとりかかっていたが、既に行き詰っていた。
にしても何故、古語なんて学ぶ必要があるのだろうか。
英語ならまだ分かる。
世界の公用語は各国で違うのだから、その分だけ何百通りの言葉がある。
その中で多くの国で話されている言語なのだから、身につけたら確かに自分にとって得になる。
だが古語というのは、学んで何の意味があるのかが全く見出せない。
日本史関係の仕事や学者にならない限り、役に立つ機会なんてない。
その上何故大昔と今で意味が違う単語があるのか。どうもそこが理解できない。
今でも使っている言葉が、大昔では全く別の意味で使われていたとか、そんな面倒くさいことを覚える気力が湧いてこない。
眉間に皺寄せながらうんうん考えているうちに俺達の注文したメニューが運ばれてきた。
俺も玲緒奈も、将軍コーヒーを注文。これが、例の名物コーヒーである。
金色の容器に注がれたコーヒーは、他のメニューとは一線を越えた純度がある。
温度もちょうど良い具合に調整されていて、熱すぎずぬるすぎず、火傷することはまずない。
一口飲むことで、淡くて芳醇なほろ苦さが、意味が分からず悶々としていた気分が少しずつ払拭されていく。
やっぱホットコーヒーは落ち着くな。
そう俺が一呼吸おいていると、
「なんか芳人、さっきえらく古典の教科書とノートに睨めっこしてるように見えたな」
と、玲緒奈が俺の様子を察してきた。
そんな玲緒奈に俺は思わず、
「そうなんだよ。俺古典苦手でさ、教えてくれ。一人じゃ無理だ、頼む」
と、せがんだ。
「あたしからもお願いー。レオ兄、教えてー」
香奈美も俺に便乗する形で、おねだりする。
「全く、仕方ないね。君たちは」
玲緒奈は、やれやれと肩を竦めた。
「で、何処? わかんないところは」
「「全部」」
「はぁ?」俺と香奈美が口を揃えてそう答えたので、さすがに玲緒奈は辟易した様子を全面に見せつけた。「もし野球部だったら、既に顧問に怒鳴られてるよ」
「まず、教科書を見せてくれ。範囲の中から、まずは頻出の古語を教えるよ。単語カードは持ってるよな」
「イエス」
「イエッサー」
「じゃあ俺のスピードについてこい。日も無いし、びゅんびゅん飛ばすから、遅れたらそれで終わりだからな」
こうして、玲緒奈による短時間講義が始まった。
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