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天下一統して大日本国となる。-天下百年の計?-
第704話 『純正の三職推任と第一次港湾整備計画。もう色々と面倒臭いから、全部うちからの借款にして先行投資しまくろうか』
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天正十二年一月十九日(1583/2/11) 肥前国庁舎 <純正>
前々から、えーっと天正元年(1572年・作中では改元が1年早い)からずーっと言われてきた事。やっと受ける事にした。面倒くさい事この上ないが、実質新政府のトップなんだから、期間限定で受けようと。
誰かが首相(仮称)になったら交代しよう、という訳だ。
関白太政大臣源朝臣小佐々平九郎純正。
なげー。
就任祝いとか、なんだかんだでお祝いムードだが、俺の心中は穏やかじゃない。なぜか? 新政府の運営が、正直な所うまくいってないからだ。
極論、俺がやってきたこと、本当にこれで良かったの? と考えるまでになった。肥前国内(小佐々領内)は完全ではないけれど、それでも新政府の他の国よりまともだ。
小佐々領内の大名は服属しているので当然外交権はない。これは新政府の他の国も同じだ。
しかしその他が違う。肥前国の直轄地ほどではないが、純正配下の大名の所領では、技術の導入や殖産を積極的に行い、少しずつ国力を高めてきたのだ。
税金も領民の暮らしを苦しめないように、四公六民でやっている。肥前国地方政府としては、その四公のうちの四割を税として徴収している。
税収のうちの六割で領国の運営をしなければならないので、厳しいように見えるが、補助金などで肥前国の政府が資金を出している。殖産興業を行い、その他の歳入を増やせるように援助しているのだ。
そのため税収以外にも、大名家(小佐々の支配大名)が主体となった(官営)産業による交易の利益が、そのまま収益になっている。
ぶっちゃけその歳入の合計は織田より多いだろう。
当初、俺は新政府の予算、つまり公共事業や殖産興業のための資金を、各国の国力に応じた負担割合で賄おうと考えていた。例えば街道整備に1万貫かかるなら、半分を小佐々が、2割を織田が、1割を武田が……という風にだ。
しかし、先行投資をしたところで、それが税収として返ってくるのは何年も先の話だ。街道に関して言えば、金にはならない。間接的に流通を円滑にして、経済活動を活発化させるだけである。
商品作物を開発して販売し、売上につながって即歳入となるわけではないのだ。
つまり、負担金は出すが、リターンがあるもの、そしてすぐに利益になるものなら良い。こういう事なのだ。さらには負担金を出そうにも、各国の税収やその他の歳入が増えない事には、ない袖はふれない。
今まさにこの状態で、二の足を踏んでいる、というより実際に苦しいのだろう。
新政府の……運営にここまで苦労するなら、織田はともかく武田も北条も上杉も、最初からコテンパンにやっつけて完全に滅ぼした方が良かったのかもしれない。
そうすれば上意下達で問答無用に開発資金を投入できる。いまさら論だが、俺は他の大名に強制ができないのだ。各国の大名も、頭ではわかっているとしても、金がなければ何もできない。
俺が言っている事は正論なんだろうが、今後の予算については、難色を示す度合いが増してくるだろう。
そして現在、かろうじて収益が具体的に見込めるのが塩の生産だ。
流下式塩田の設備を導入して生産量を増やし、その売上が年間29万6千68貫文で人件費が2万3千186貫800文。
初年度の設備導入費は4万8千594貫。
初年度利益22万4千287貫200文⇒4割徴収で8万9千714貫880文。
次年度以降27万2千881貫200文⇒4割徴収で10万9千152貫480文。
これで一応、地方政府にはそれぞれの塩の生産量と販売額にあわせた歳入があり、中央政府にも年間10万貫程度は入って来るが、全く足りない。
肥前国の国家予算の一ヶ月分にも満たないのだ。
……。はあ、体裁がどうのとか、そういうのもういいから、全部借款で済まそうかな。負担金の割合は変えずに肩代わりして、利益が出たら返してもらう。
もうこれで良くねーか?
これなら予算がどうこう関係なく国家事業進められるし、後で返してもらうなら気を遣う必要もない。相手も借りた金、返す金という意識があれば、真剣に取り組むだろう。
全部借款で済ませる……か。確かに、これなら話が早いし、各国も動きやすくなる。
俺は机に向かって新たな計画を書き出し始めた。
一つ、全ての国家事業を借款方式に切り替える。
一つ、負担金の割合はそのままで、肥前国が全額を立て替える。
一つ、利益が出てから返済を開始、返済額は柔軟に設定。
一つ、各国の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて支援を行う。
これで予算の心配をしなくても事業を進められる。各国も借金という意識があれば、真剣に取り組むはずだ。
良し、これで行こう。
……ただ、リスク管理はしとかなくちゃならないな。全額を俺たちが立て替えるんだから。失敗したら大変なことになる。だから対策が必要だ。
・事業計画を厳密に検討。
・定期的な進捗報告の義務付け。
・技術支援や経営指導の提供。
・成功事例の共有と横展開の促進。
これで何とかなるだろう……多分。
あ! 大事な事を忘れていた。
ある意味これが一番大事かもしれない。各大名のプライドだ。施しは受けない、みたいにならないだろうか。さすがにそうなってしまったら、もうお手上げなんだけどね。
新政府や、その前身の大同盟の大義にしたって、本当に心から納得しているのだろうか。いや、どっちにしても、そのために関白太政大臣に就任したのだ。
程度の差はあっても、権威というものは尊く大事にされている。
信長にでも、ぶっちゃけで聞いてみようかな。
次回 第705話 (仮)『越後と残りの奥州』
前々から、えーっと天正元年(1572年・作中では改元が1年早い)からずーっと言われてきた事。やっと受ける事にした。面倒くさい事この上ないが、実質新政府のトップなんだから、期間限定で受けようと。
誰かが首相(仮称)になったら交代しよう、という訳だ。
関白太政大臣源朝臣小佐々平九郎純正。
なげー。
就任祝いとか、なんだかんだでお祝いムードだが、俺の心中は穏やかじゃない。なぜか? 新政府の運営が、正直な所うまくいってないからだ。
極論、俺がやってきたこと、本当にこれで良かったの? と考えるまでになった。肥前国内(小佐々領内)は完全ではないけれど、それでも新政府の他の国よりまともだ。
小佐々領内の大名は服属しているので当然外交権はない。これは新政府の他の国も同じだ。
しかしその他が違う。肥前国の直轄地ほどではないが、純正配下の大名の所領では、技術の導入や殖産を積極的に行い、少しずつ国力を高めてきたのだ。
税金も領民の暮らしを苦しめないように、四公六民でやっている。肥前国地方政府としては、その四公のうちの四割を税として徴収している。
税収のうちの六割で領国の運営をしなければならないので、厳しいように見えるが、補助金などで肥前国の政府が資金を出している。殖産興業を行い、その他の歳入を増やせるように援助しているのだ。
そのため税収以外にも、大名家(小佐々の支配大名)が主体となった(官営)産業による交易の利益が、そのまま収益になっている。
ぶっちゃけその歳入の合計は織田より多いだろう。
当初、俺は新政府の予算、つまり公共事業や殖産興業のための資金を、各国の国力に応じた負担割合で賄おうと考えていた。例えば街道整備に1万貫かかるなら、半分を小佐々が、2割を織田が、1割を武田が……という風にだ。
しかし、先行投資をしたところで、それが税収として返ってくるのは何年も先の話だ。街道に関して言えば、金にはならない。間接的に流通を円滑にして、経済活動を活発化させるだけである。
商品作物を開発して販売し、売上につながって即歳入となるわけではないのだ。
つまり、負担金は出すが、リターンがあるもの、そしてすぐに利益になるものなら良い。こういう事なのだ。さらには負担金を出そうにも、各国の税収やその他の歳入が増えない事には、ない袖はふれない。
今まさにこの状態で、二の足を踏んでいる、というより実際に苦しいのだろう。
新政府の……運営にここまで苦労するなら、織田はともかく武田も北条も上杉も、最初からコテンパンにやっつけて完全に滅ぼした方が良かったのかもしれない。
そうすれば上意下達で問答無用に開発資金を投入できる。いまさら論だが、俺は他の大名に強制ができないのだ。各国の大名も、頭ではわかっているとしても、金がなければ何もできない。
俺が言っている事は正論なんだろうが、今後の予算については、難色を示す度合いが増してくるだろう。
そして現在、かろうじて収益が具体的に見込めるのが塩の生産だ。
流下式塩田の設備を導入して生産量を増やし、その売上が年間29万6千68貫文で人件費が2万3千186貫800文。
初年度の設備導入費は4万8千594貫。
初年度利益22万4千287貫200文⇒4割徴収で8万9千714貫880文。
次年度以降27万2千881貫200文⇒4割徴収で10万9千152貫480文。
これで一応、地方政府にはそれぞれの塩の生産量と販売額にあわせた歳入があり、中央政府にも年間10万貫程度は入って来るが、全く足りない。
肥前国の国家予算の一ヶ月分にも満たないのだ。
……。はあ、体裁がどうのとか、そういうのもういいから、全部借款で済まそうかな。負担金の割合は変えずに肩代わりして、利益が出たら返してもらう。
もうこれで良くねーか?
これなら予算がどうこう関係なく国家事業進められるし、後で返してもらうなら気を遣う必要もない。相手も借りた金、返す金という意識があれば、真剣に取り組むだろう。
全部借款で済ませる……か。確かに、これなら話が早いし、各国も動きやすくなる。
俺は机に向かって新たな計画を書き出し始めた。
一つ、全ての国家事業を借款方式に切り替える。
一つ、負担金の割合はそのままで、肥前国が全額を立て替える。
一つ、利益が出てから返済を開始、返済額は柔軟に設定。
一つ、各国の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて支援を行う。
これで予算の心配をしなくても事業を進められる。各国も借金という意識があれば、真剣に取り組むはずだ。
良し、これで行こう。
……ただ、リスク管理はしとかなくちゃならないな。全額を俺たちが立て替えるんだから。失敗したら大変なことになる。だから対策が必要だ。
・事業計画を厳密に検討。
・定期的な進捗報告の義務付け。
・技術支援や経営指導の提供。
・成功事例の共有と横展開の促進。
これで何とかなるだろう……多分。
あ! 大事な事を忘れていた。
ある意味これが一番大事かもしれない。各大名のプライドだ。施しは受けない、みたいにならないだろうか。さすがにそうなってしまったら、もうお手上げなんだけどね。
新政府や、その前身の大同盟の大義にしたって、本当に心から納得しているのだろうか。いや、どっちにしても、そのために関白太政大臣に就任したのだ。
程度の差はあっても、権威というものは尊く大事にされている。
信長にでも、ぶっちゃけで聞いてみようかな。
次回 第705話 (仮)『越後と残りの奥州』
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