上 下
607 / 812
日ノ本未だ一統ならず-北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。-

第607話 連合艦隊司令長官 深沢勝行(1574/8/18)

しおりを挟む
 天正三年八月二日(1574/8/18)小佐々城

 新たに編成された第四、第五艦隊の陣容は以下のとおりである。

 ■第4艦隊(呉) 連合艦隊司令長官 深沢勝行大将 第4艦隊司令長官 佐々清左衛門加雲中将

 第41戦列戦隊(41bd) 74門戦列艦 富士(旗艦)・白根・大山・恵那
                 
 第42巡洋戦隊(42cd) 重巡洋艦(旧戦艦級) 霧島 (24lbポンド・11kg砲18門)・重巡足柄・羽黒(同16門)

 第43軽巡戦隊(43lcd) 軽巡阿武隈・川内・神通(同14門)

 第44水雷戦隊(魚雷は存在しないが、くくりとして)戦隊(44sd) 軽巡那珂・駆逐艦潮風・白露・夕なぎ・初春

 第45水雷戦隊(魚雷は存在しないが、くくりとして)戦隊(45sd) 軽巡夕張・駆逐艦秋風・夕風・太刀風・帆風

 合計20隻他補給艦等多数。

 重巡足柄以下は船首・船尾楼、後甲板に砲門なし。

 艦載砲はすべて陸上砲と統一され、一貫斎方式で9lbポンド一貫砲・12lb一貫半砲・18lb二貫砲・24.8lb三貫砲・33lb四貫砲に分類された。

 また、戦列艦(戦艦)・重巡洋艦(38門・1,000t)・軽巡洋艦(24門・500t)・駆逐艦(~18門・~400t)として規格化して建造・就役している。

 ■第5艦隊(呉) 司令長官 赤崎伊予守中将

 既存の第5艦隊の艦艇を第4艦隊所属としたために、新鋭艦のみで編成された。

 第51戦列戦隊(51bd) 74門戦列艦 八島(旗艦)・三笠・朝日・初瀬
                 
 第52巡洋戦隊(52cd) 重巡洋艦 高雄(38門)・愛宕・摩耶(同38門)

 第53軽巡戦隊(53lcd) 軽巡洋艦 阿賀野(34門)能代・矢作(同24門)

 第54水雷戦隊(魚雷は存在しないが、くくりとして)戦隊(54sd) 軽巡洋艦 酒匂さかわ(34門)・駆逐艦 野風・波風・沼風・神風

 第55水雷戦隊(魚雷は存在しないが、くくりとして)戦隊(55sd) 軽巡洋艦 大淀(34門)・駆逐艦 朝風・春風・松風・旗風

 合計20隻他補給艦等多数。




 観艦式の後、相神浦松浦宗金(義父・じい様)の屋敷にて宴会が開かれた。諫早から久々に戻ってきた純正に対して歓迎の宴の意味もあったのだろう。

 純正はすっかり酔ってしまうまで酒を飲み、楽しんだ。宗金は常ににこやかに笑っており、義理の従兄弟の盛は各所から集まってきた要人との接待をしていた。

 親戚一同が集まったような会合である。
  
 前世での純正はあまり親戚の集まりは好きではなかったが、転生してからは妙に人との付き合いを自然と大事にするようになっている。

 父である政種とは機会があれば話をしている。
  
 諫早に移ってからは少なくなったが、本当の父親という事もあるし、唯一前世の話で盛り上がれる相手との貴重な時間であったのだ。

「壮観であったな」

「ああ」

 翌日小佐々城に戻ってきて、昼過ぎに角力灘すもうなだが見える庭で勝行と話す。

「懐かしいな。お前が蛎浦かきのうらで暴れ回っていたのが昨日のように思える」

「ははは、初陣のお前は小佐々ではなく太田和でもなく、沢森だったからな。確かに懐かしい。確か大将首をあげたろう?」

 純正が言うと、勝行も同じトーンで返す。

「……」

「……」

 天気が良く、キラキラと日の光が海面に反射して輝いているのが見渡せる。

「でかくなったな」

 と勝行。

 純正は、ああ、と短く返す。

「……お前がここに来たって事は、戦が始まるのか?」

「……そうだ」

「イスパニアは、今のところ動きはないという話を南遣艦隊(第1~3艦隊)からは聞いているぞ」

「直接の敵はイスパニアではない。北条だ」

「北条? 何処いずこかに討ち入られたのか?」

「いや、違う」

 純正は日ノ本大同盟の事や里見からの発議、結果として小佐々が里見を支援し、北条との直接の戦もあり得る事をかいつまんで話した。

「そうか。で、海軍が必要、しかも新鋭の艦隊で2個艦隊がいる、と?」

「念のためだ。上杉との戦を経て、小型の船からの攻撃にも対策を講じている。されど念には念を入れねばならぬ。お主の経験が要るのだ、やってくれるか」

「もとより俺は戦しか能のない男だ。行けと言われれば、何処いずこへもいく。それで、つぶさには海軍はいかなる役目なのだ」

 勝行は、日本国内では火力で考えると、小佐々に対抗できる勢力はもう存在しないと考えている。

 もし戦う可能性があるとすれば北条水軍であり、小型艦の対策を施された兵装を搭載している第四第五艦隊では、負ける理由がない。
  
 スペインと対峙たいじしても大砲の性能は明らかに上である。

「まずは駿河の吉原湊から安房まで、兵糧や矢玉の補給を行ってほしい。おそらくは北条水軍の妨げがあると思うが、そこは排除(撃沈)してもらってもいい」

「そうか。油断はもう二度とせぬが、案外、海軍としては易き戦のようだな」

「そう願う。しかし、まずはじめに北条に対しては佐竹や宇都宮との和睦を扱うてみようかと考えている」

 北条氏が奉じていた古河公方はすでに弱体化しており、関東において北条氏の勢力が強まるとともに、奉じる意義を失っていた。
 
 義昭をどのように氏政が使うかは不明だが、純正にとって邪魔なのは確かである。

「無理だとは思うがな」

「俺もそう思う。ただ、やるだけの事はやったのだ、という事実は要るのだ」 

「陸軍は遣わすのか?」

「事の様(状況)によりけりだ。和議に応じなければ、遣わすほかあるまい。その前に海軍には、輸送船の警固と小田原にてその威容を見せ、和議に応じるよう仕向けてほしい」

「うべなるかな(なるほど)。あいわかった」




 次回 第608話 織田海軍と小佐々海軍
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ! 人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。 学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。 しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。 で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。 なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

異世界でホワイトな飲食店経営を

視世陽木
ファンタジー
 定食屋チェーン店で雇われ店長をしていた飯田譲治(イイダ ジョウジ)は、気がついたら真っ白な世界に立っていた。  彼の最後の記憶は、連勤に連勤を重ねてふらふらになりながら帰宅し、赤信号に気づかずに道路に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなったというもの。  彼が置かれた状況を説明するためにスタンバイしていた女神様を思いっきり無視しながら、1人考察を進める譲治。 しまいには女神様を泣かせてしまい、十分な説明もないままに異世界に転移させられてしまった!  ブラック企業で酷使されながら、それでも料理が大好きでいつかは自分の店を開きたいと夢見ていた彼は、はたして異世界でどんな生活を送るのか!?  異世界物のテンプレと超ご都合主義を盛り沢山に、ちょいちょい社会風刺を入れながらお送りする異世界定食屋経営物語。はたしてジョージはホワイトな飲食店を経営できるのか!? ● 異世界テンプレと超ご都合主義で話が進むので、苦手な方や飽きてきた方には合わないかもしれません。 ● かつて作者もブラック飲食店で店長をしていました。 ● 基本的にはおふざけ多め、たまにシリアス。 ● 残酷な描写や性的な描写はほとんどありませんが、後々死者は出ます。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

処理中です...