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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-
第五軍の出発、朝日嶽城への攻撃計画
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九月十一日 戌三つ刻(2000)入田神原城 第五軍 神代貴茂准将
急を要する進軍なので、内牧城からまず陸軍の四千のみが進軍し、残りの一万強は昼のみの行軍にて後発してもらう事にした。内牧城を出発する旨、十日の巳の四つ刻(1030)から陣触れを出し、進発したのは未の三つ刻(1400)である。
神原城に着くまでに殿から通信が入っている。高森城までは通信だが、そこから先は伝馬と飛脚だ。
『ハツ ソウシ アテ ゴシ ヒメ セウサヒシラセ ムホン シズメタリトモ オオトモノ エングン キタリナバ セメラルルニ アラザレバ セムルナ ヒメ ヒトマル サルサン(1600)』
詳細を知らせよ。謀反を鎮圧しても、大友の援軍から攻撃されなければ攻撃はするな、との事だ。なかなか難しい注文だな。詳細は服属は間違いないが息子と他の家臣が反旗を翻したと送ろう。そしてもし間に合わなかった場合はどうするか。
『ハツ ゴシ アテ ソウシ ヒメ リヨウケ フクゾク マチガイナシ シカレドモ イチブノ ハンタイシヤト ソレニ カツギラレタ チヤクシノ ムホンナリ クワエテ マニアワザレバ ムホンガジヨウジユシテ ラクジヨウ センナラバ ナニヲ ナサンカ ヒメ ヒトマル ヰノヒト(2100)』
『ハツ ゴシ アテ ソウシ ヒメ テヰセヰ ヲカジヨウ ケヰユ ダウテヰ サヒタンニテ コレヲセントス ヒメ ヒトマル ヰノヒト(2100)』
そこまで報告しなくても、と思ったが、岡城下を経由する事も追加した。参道は険しく神原城からは岡城下を通るのが最短なのだ。これに対する返信は
『ハツ ソウシ アテ ゴシ ヒメ テヰセヰ リヨウカヰ ワレニ フクゾク センモノノ キユウヱント テキノ センメツヲ ヲコナヱ ヒメ ヒトヒト ウノヒト(0500)』
である。簡潔でわかりやすい。殿らしいと言えば殿らしい。要するに味方の救助と敵の殲滅を行えという事ですね。承知しました! と貴茂は思った。敵はおそらく臼杵城にも救援を願う使者を出しているだろう。
宗麟が援軍を出したかどうかはわからぬが、早いに越した事はない。今まさに攻撃を受けているのだ。一刻も早く到着して味方を救援しなければならない。そのために 阿蘇殿にお願いをして、夜間行軍しやすいように松明やカガリ火なども街道に急ぎ手配してもらったのだ。
これで夜間行軍できたとはいえ、それでも進めるのは一刻に一里ほどだった。兵たちには無理をさせる。戦が終わったら長い暇を乞おう。暇など、小佐々の殿に仕えるまでは、悪い意味でしか捉えてなかったのだが。
なんと言うか殿は、今までの常識を覆すような事ばかりおっしゃるし、そう行動なさる。暇の件もそうだ。晦日や正月の休みならまだしも、日にちを七日ごとに分けて、曜日というものを使うよう指示された。月火水木金土日の七日だ。
例えばその月が火曜で終われば次の月は水曜から始まる。そして毎週土曜日と日曜日は休みがある。もちろん、全員ではない。月に一度程度交替で土日が休みでない時があるが、そもそも休みという考えがないから、私も最初は困惑した。
なにせやる事がないのだ。殿いわく、趣味の時間や家族と一緒に過ごす時間とおっしゃっていた。そういう殿は休んでいるんだろうか。ともあれ、最初はとまどったものの、自分の時間ができるという事はいい事だ。
夜通し進んで神原城に到着したのは十一日の戌三つ刻(2000)である。これからは夜間行軍は出来ない。明日十二日の卯の一つ刻(0500)には出発するので、兵にしっかり休息と食事をとらせる。酒も少量なら許す。
なにせ第五軍として初めての戦になるかもしれないのだ。厳しい軍規は必要だが、時にはこういう事も必要だ。戦闘が始まれば酒など飲めぬのだから。それから戦が終わったら殿に言上しなければならぬな。
通信は最適な手段を使って行っている。しかし服属している領地と本国との通信網を比べると、整備の度合いが違うので、早急に拡充させねばならない。現在も行っているのだが、どうしても戦の事が優先されて人員が割かれてしまう。
しかし通信こそ、情報こそ勝敗を分ける鍵なのだ。昼間の視界が悪い時はなるべく馬が使えるように伝馬制も整備せねばならぬ。正確な情報を迅速に集め、多方面から分析して最適な方法を見出す、それが近代戦(?)だと殿もおっしゃっていた。
■翌九月十二日 卯の一つ刻(0500)
第五軍は朝日嶽城へ向けて出発した。騎兵を先行させる。攻められている城兵を助けるのならば野戦となる。先行して厳しい状況ならそのまま戦闘に入って敵を駆逐する。岡城を経由して朝日嶽城までは約十六里(62.8km)だ。
騎兵先行ならば今日の戌一つ刻(1900)までには付近に着く。そこで斥候を出して状況をみて、翌朝攻撃をしかけられる。
砲兵が到着するのは明後日十四日の夕刻になるが、歩兵をそれまでに鎮圧しておき、敵と同数の兵を残しておけば問題ないだろう。時間はかけられない。栂牟礼城にも向かわなくてはならないのだ。
出来れば朝日嶽城での戦闘は一日で終わらせ向かいたい。そうすれば十四日の朝に出発して、早ければ巳の一つ刻(0900)につき、遅くとも未三つ刻(1400)に到着する。強行軍で兵には無理をさせるが、勝利のためだ。
急を要する進軍なので、内牧城からまず陸軍の四千のみが進軍し、残りの一万強は昼のみの行軍にて後発してもらう事にした。内牧城を出発する旨、十日の巳の四つ刻(1030)から陣触れを出し、進発したのは未の三つ刻(1400)である。
神原城に着くまでに殿から通信が入っている。高森城までは通信だが、そこから先は伝馬と飛脚だ。
『ハツ ソウシ アテ ゴシ ヒメ セウサヒシラセ ムホン シズメタリトモ オオトモノ エングン キタリナバ セメラルルニ アラザレバ セムルナ ヒメ ヒトマル サルサン(1600)』
詳細を知らせよ。謀反を鎮圧しても、大友の援軍から攻撃されなければ攻撃はするな、との事だ。なかなか難しい注文だな。詳細は服属は間違いないが息子と他の家臣が反旗を翻したと送ろう。そしてもし間に合わなかった場合はどうするか。
『ハツ ゴシ アテ ソウシ ヒメ リヨウケ フクゾク マチガイナシ シカレドモ イチブノ ハンタイシヤト ソレニ カツギラレタ チヤクシノ ムホンナリ クワエテ マニアワザレバ ムホンガジヨウジユシテ ラクジヨウ センナラバ ナニヲ ナサンカ ヒメ ヒトマル ヰノヒト(2100)』
『ハツ ゴシ アテ ソウシ ヒメ テヰセヰ ヲカジヨウ ケヰユ ダウテヰ サヒタンニテ コレヲセントス ヒメ ヒトマル ヰノヒト(2100)』
そこまで報告しなくても、と思ったが、岡城下を経由する事も追加した。参道は険しく神原城からは岡城下を通るのが最短なのだ。これに対する返信は
『ハツ ソウシ アテ ゴシ ヒメ テヰセヰ リヨウカヰ ワレニ フクゾク センモノノ キユウヱント テキノ センメツヲ ヲコナヱ ヒメ ヒトヒト ウノヒト(0500)』
である。簡潔でわかりやすい。殿らしいと言えば殿らしい。要するに味方の救助と敵の殲滅を行えという事ですね。承知しました! と貴茂は思った。敵はおそらく臼杵城にも救援を願う使者を出しているだろう。
宗麟が援軍を出したかどうかはわからぬが、早いに越した事はない。今まさに攻撃を受けているのだ。一刻も早く到着して味方を救援しなければならない。そのために 阿蘇殿にお願いをして、夜間行軍しやすいように松明やカガリ火なども街道に急ぎ手配してもらったのだ。
これで夜間行軍できたとはいえ、それでも進めるのは一刻に一里ほどだった。兵たちには無理をさせる。戦が終わったら長い暇を乞おう。暇など、小佐々の殿に仕えるまでは、悪い意味でしか捉えてなかったのだが。
なんと言うか殿は、今までの常識を覆すような事ばかりおっしゃるし、そう行動なさる。暇の件もそうだ。晦日や正月の休みならまだしも、日にちを七日ごとに分けて、曜日というものを使うよう指示された。月火水木金土日の七日だ。
例えばその月が火曜で終われば次の月は水曜から始まる。そして毎週土曜日と日曜日は休みがある。もちろん、全員ではない。月に一度程度交替で土日が休みでない時があるが、そもそも休みという考えがないから、私も最初は困惑した。
なにせやる事がないのだ。殿いわく、趣味の時間や家族と一緒に過ごす時間とおっしゃっていた。そういう殿は休んでいるんだろうか。ともあれ、最初はとまどったものの、自分の時間ができるという事はいい事だ。
夜通し進んで神原城に到着したのは十一日の戌三つ刻(2000)である。これからは夜間行軍は出来ない。明日十二日の卯の一つ刻(0500)には出発するので、兵にしっかり休息と食事をとらせる。酒も少量なら許す。
なにせ第五軍として初めての戦になるかもしれないのだ。厳しい軍規は必要だが、時にはこういう事も必要だ。戦闘が始まれば酒など飲めぬのだから。それから戦が終わったら殿に言上しなければならぬな。
通信は最適な手段を使って行っている。しかし服属している領地と本国との通信網を比べると、整備の度合いが違うので、早急に拡充させねばならない。現在も行っているのだが、どうしても戦の事が優先されて人員が割かれてしまう。
しかし通信こそ、情報こそ勝敗を分ける鍵なのだ。昼間の視界が悪い時はなるべく馬が使えるように伝馬制も整備せねばならぬ。正確な情報を迅速に集め、多方面から分析して最適な方法を見出す、それが近代戦(?)だと殿もおっしゃっていた。
■翌九月十二日 卯の一つ刻(0500)
第五軍は朝日嶽城へ向けて出発した。騎兵を先行させる。攻められている城兵を助けるのならば野戦となる。先行して厳しい状況ならそのまま戦闘に入って敵を駆逐する。岡城を経由して朝日嶽城までは約十六里(62.8km)だ。
騎兵先行ならば今日の戌一つ刻(1900)までには付近に着く。そこで斥候を出して状況をみて、翌朝攻撃をしかけられる。
砲兵が到着するのは明後日十四日の夕刻になるが、歩兵をそれまでに鎮圧しておき、敵と同数の兵を残しておけば問題ないだろう。時間はかけられない。栂牟礼城にも向かわなくてはならないのだ。
出来れば朝日嶽城での戦闘は一日で終わらせ向かいたい。そうすれば十四日の朝に出発して、早ければ巳の一つ刻(0900)につき、遅くとも未三つ刻(1400)に到着する。強行軍で兵には無理をさせるが、勝利のためだ。
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