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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-
筑前岳山城 陥落??!!
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九月五日 巳の一つ刻(0900)
※雷神道雪が岳山城下に到着した。守る城兵は五百たらずである。
「ふむ。さすが宗像の岳山城よ。一見しただけで良い縄張りだとわかるわ」。
道雪はつぶやく。
岳山城は三町半(369.3m)はあろうかという城山の頂きにあり、宗像郡石丸村(宗像市石丸)と遠賀郡上畑村(遠賀郡岡垣町)の境に築かれている。城は山頂から東西の尾根を中心とした曲輪群と、北東の曲輪群がある。
曲輪に土塁はない。しかし切岸が尾根に沿って階段状に二重三重に連なっている。しかも深い。そして多数の畝状竪堀群が存在し、その大部分は東側の斜面に作られているが、北東の曲輪群は防衛のために北側の斜面にも設けられている。
普通は尾根ぞいの堀は緩やかな斜面に設けられる事が多いが、岳山城は急峻な斜面にまで竪堀が施されていた。
「やっかいな城じゃ」。
道雪はさらに吐き捨てる様に言う。味方の城ならどれだけ安心できるだろうか。そう思ったのだろう。
「皆を呼べ。軍議を開く」。
到着早々諸将を集め軍議を開く。
「皆の者、見ての通り、岳山城は堅城じゃ。この北九州においても屈指であろう。そこで、どう攻めるかだが、われらには時間がない。おそらくはこうしている間も小佐々は由布院山城から府内を伺う勢いじゃ」。
「無論、敵も補給の事があるであろうから、そう急ぐ事は出来ぬかもしれぬ。しかし、われらに時間がない事は確かだ。豊前は平定した。残るは筑前の国衆を降してわれらの元に集め、戦局を優位に持っていかねばならぬ」。
諸将が顔を見合わあせつつ、うなずき、同意した。※臼杵鑑速も同じだ。
「道雪どの。もうお考えは決まっているのではありませぬか?」
鑑速が言う。
「ふははは。鑑速殿には隠せませぬな。なに、大した策ではござらぬ」。
そう言って道雪は話し始める。
「まず、北東の尾根の曲輪、小城とでも言おうか。これは無視しよう。それよりも、東西に尾根状につらなる曲輪群が主郭に続いておる。大軍に兵法なし。城兵の十四倍もの兵をもってこれを攻める」。
「南の堀切から一隊、西の通路より三隊、北の畝状竪堀より一隊、東の三重堀切と畝状竪堀に各一隊。一万五千の兵を七千と八千に分け、七千の兵は千ずつ七箇所にわかれ、残りの八千は北東側の小城からの援軍を殲滅するために麓に待機させる」。
「昼も夜も関係ない。全て配置が終わったら一気呵成に攻め上るのだ」。
道雪は考えた。
要害堅固な山城、普通に攻めれば落とせはするだろうが難しい。そのため兵をわけ、一斉に攻めるのだろう。しかし問題点もある。広範囲に渡って兵をわける事で、各部隊が迅速かつ緊密に連絡を取り合えない事だ。
ただしそれは、何もこの岳山城に限った事ではない。どの様な戦でも起こり得る事だ。だから馬廻りや使い番がいる。
仮に勾配がきつく馬が難しくても、徒士がいる。南の攻め口から、攻め口ごとに交替すれば、北の攻め口まで四半刻もかかるまい。十分じゃ。そのくらいの誤差がでたとしても、わが軍の将なれば十分対応できる。
そう考えたのだ。至極冷静な判断である。
「それから鉄砲であるが、門司城攻めでも使ったが、竹束を改良したものがある」。
「ちと重いが、これであれば半丁以内に近づいても貫通せぬ。敵も味方も恐怖心は同じであろう。しかし攻め手は来るであろう攻撃はある程度予測ができるが、守り手は予想していた鉄砲が効かぬとなれば、その恐怖いかばかりか。しかも鉄砲も城兵五百全部に行き渡っている訳ではあるまい。せいぜい百か二百か」。
諸将が、安堵の表情をみせる。
「臼杵どの、いかがか?」
臼杵鑑速は笑顔を絶やさず、じっくりと道雪の話を聞いていた。
「問題ござらぬ。むしろ早急に城を落とすとなれば、それしがござりますまい」。
道雪は、よし、と確信を深めたようである。
「しかしながら、相手はあの小佐々にござる。ゆめゆめご油断めさらぬよう。鉄砲の数しかり、大砲しかり。前線であるこの城に配備していないとも限りませぬ」。
場をぴりりと締める一言であった。
「わかり申した。それでは皆の衆よろしいか?城攻めの軍はわが軍から出すゆえ、七隊に分かれ行軍を始める。一番遠い北の攻め口の到着を待って攻撃を開始する。残りの三千は臼杵どの配下となる。小城の攻撃に対応できるよう準備いたせ」。
道雪は七家老の残りと次席に指示をだし、臼杵鑑速には三千を足した守備軍の指揮を依頼した。城攻めの部隊が配置につけば、いよいよ攻城戦の始まりである。
午の一つ刻(1100)の事であった。
※雷神道雪が岳山城下に到着した。守る城兵は五百たらずである。
「ふむ。さすが宗像の岳山城よ。一見しただけで良い縄張りだとわかるわ」。
道雪はつぶやく。
岳山城は三町半(369.3m)はあろうかという城山の頂きにあり、宗像郡石丸村(宗像市石丸)と遠賀郡上畑村(遠賀郡岡垣町)の境に築かれている。城は山頂から東西の尾根を中心とした曲輪群と、北東の曲輪群がある。
曲輪に土塁はない。しかし切岸が尾根に沿って階段状に二重三重に連なっている。しかも深い。そして多数の畝状竪堀群が存在し、その大部分は東側の斜面に作られているが、北東の曲輪群は防衛のために北側の斜面にも設けられている。
普通は尾根ぞいの堀は緩やかな斜面に設けられる事が多いが、岳山城は急峻な斜面にまで竪堀が施されていた。
「やっかいな城じゃ」。
道雪はさらに吐き捨てる様に言う。味方の城ならどれだけ安心できるだろうか。そう思ったのだろう。
「皆を呼べ。軍議を開く」。
到着早々諸将を集め軍議を開く。
「皆の者、見ての通り、岳山城は堅城じゃ。この北九州においても屈指であろう。そこで、どう攻めるかだが、われらには時間がない。おそらくはこうしている間も小佐々は由布院山城から府内を伺う勢いじゃ」。
「無論、敵も補給の事があるであろうから、そう急ぐ事は出来ぬかもしれぬ。しかし、われらに時間がない事は確かだ。豊前は平定した。残るは筑前の国衆を降してわれらの元に集め、戦局を優位に持っていかねばならぬ」。
諸将が顔を見合わあせつつ、うなずき、同意した。※臼杵鑑速も同じだ。
「道雪どの。もうお考えは決まっているのではありませぬか?」
鑑速が言う。
「ふははは。鑑速殿には隠せませぬな。なに、大した策ではござらぬ」。
そう言って道雪は話し始める。
「まず、北東の尾根の曲輪、小城とでも言おうか。これは無視しよう。それよりも、東西に尾根状につらなる曲輪群が主郭に続いておる。大軍に兵法なし。城兵の十四倍もの兵をもってこれを攻める」。
「南の堀切から一隊、西の通路より三隊、北の畝状竪堀より一隊、東の三重堀切と畝状竪堀に各一隊。一万五千の兵を七千と八千に分け、七千の兵は千ずつ七箇所にわかれ、残りの八千は北東側の小城からの援軍を殲滅するために麓に待機させる」。
「昼も夜も関係ない。全て配置が終わったら一気呵成に攻め上るのだ」。
道雪は考えた。
要害堅固な山城、普通に攻めれば落とせはするだろうが難しい。そのため兵をわけ、一斉に攻めるのだろう。しかし問題点もある。広範囲に渡って兵をわける事で、各部隊が迅速かつ緊密に連絡を取り合えない事だ。
ただしそれは、何もこの岳山城に限った事ではない。どの様な戦でも起こり得る事だ。だから馬廻りや使い番がいる。
仮に勾配がきつく馬が難しくても、徒士がいる。南の攻め口から、攻め口ごとに交替すれば、北の攻め口まで四半刻もかかるまい。十分じゃ。そのくらいの誤差がでたとしても、わが軍の将なれば十分対応できる。
そう考えたのだ。至極冷静な判断である。
「それから鉄砲であるが、門司城攻めでも使ったが、竹束を改良したものがある」。
「ちと重いが、これであれば半丁以内に近づいても貫通せぬ。敵も味方も恐怖心は同じであろう。しかし攻め手は来るであろう攻撃はある程度予測ができるが、守り手は予想していた鉄砲が効かぬとなれば、その恐怖いかばかりか。しかも鉄砲も城兵五百全部に行き渡っている訳ではあるまい。せいぜい百か二百か」。
諸将が、安堵の表情をみせる。
「臼杵どの、いかがか?」
臼杵鑑速は笑顔を絶やさず、じっくりと道雪の話を聞いていた。
「問題ござらぬ。むしろ早急に城を落とすとなれば、それしがござりますまい」。
道雪は、よし、と確信を深めたようである。
「しかしながら、相手はあの小佐々にござる。ゆめゆめご油断めさらぬよう。鉄砲の数しかり、大砲しかり。前線であるこの城に配備していないとも限りませぬ」。
場をぴりりと締める一言であった。
「わかり申した。それでは皆の衆よろしいか?城攻めの軍はわが軍から出すゆえ、七隊に分かれ行軍を始める。一番遠い北の攻め口の到着を待って攻撃を開始する。残りの三千は臼杵どの配下となる。小城の攻撃に対応できるよう準備いたせ」。
道雪は七家老の残りと次席に指示をだし、臼杵鑑速には三千を足した守備軍の指揮を依頼した。城攻めの部隊が配置につけば、いよいよ攻城戦の始まりである。
午の一つ刻(1100)の事であった。
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