上 下
229 / 801
九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-

小佐々連合艦隊出撃ス

しおりを挟む
九月四日 午三つ刻(1200) 小佐々城 小佐々純正

第一艦隊は宗義調殿の対馬水軍と、壱岐郷ノ浦にて合流。第二艦隊はそのまま福江島へ向かい、宇久の五島水軍と合流。第三艦隊は塩田津の湊で後藤軍を乗せ、佐世保に向かい相神浦松浦の兵を乗せる。

伊万里は陸路にて唐津に向かい、波多の軍勢と合流する。その後軍勢を乗せた唐津水軍と第三艦隊は合流。第三艦隊は海路にて津屋崎を目指し上陸作戦を行う。その後波多、伊万里、相神浦松浦、後藤の軍は第一軍と合流、その麾下となり戦闘に参加する。唐津水軍は第三艦隊の麾下となる。

第一、第二、第三艦隊の航海科からはそれぞれ信号員を派遣し、宗、宇久、唐津水軍との連携を密にする。夜間航行に関しては、灯明台の建設を同盟国、領国ともに行っている。しかしまだまだ数が追いついておらぬ。

小佐々領内だけでも大島、蛎浦島、江島、平島、松島、平戸島、生月島に建設できたくらいで完全ではない。五島は福江島と中通島のみ。残りは対馬本島と壱岐くらい。岬や離島、岩礁が多く座礁しやすいところなど、まだまだたくさんある。

高所、または盛り土で屋根付きの小屋をつくり、そこで石炭を燃やす。煙は気になるが昼間の目印になるし、夜はそれが明かりになる。今のところ、薄暮と払暁の半刻から一刻程度は航行が可能であろうが、真夜中の航行は危険だ。

幸いにして新月ではない。さらに数日かけて満月になるので曇や雨でない限りは、注意深く航行すればいいだろう。しかし事故があってはならない。夜間航行の訓練と灯明台の設備、それからより正確な海図の作成が急務だ。

今回の戦がなければ気づかなかったであろう事も多い。陸路の信号伝達の速度は飛躍的に早くなった。他国の追随を許さないであろう。しかし全ては人が行っている事。いずれは真似される。さらなる改善と発明が必要であろう。海路もしかり。

島がないところでは、いや、島があったとて人が住んでいなければ、信号のやり取りは近くともできぬ。結局は船による伝達になる。無人島における信号所の設置と信号員の常駐。そしてやはり燈明台と海図だ。

今回における最も大きな問題は、信号がいかに早く着いたとて、陣触れを出してすぐに軍を動かせるわけではないという事だ。どんなに急いでも半日~二日はかかるであろう。

陸路の信号で波多、伊万里、相神浦松浦、そして武雄の後藤どのには送った。しかし仮に一刻後についたとして、陣触れを出してもすぐに夕刻になる。明日の早朝から準備しても、早くても明日の夕刻になるであろう。そして明後日の朝に出港だ。

遅ければ明明後日以降になる。これはやはり、同盟国の条件としては完全常備軍の設置が急務であるな。無論、従属国人衆も同様だ。しかしそれには金がかかる。

全額こちらが負担するのは筋違いであるが、かといってそれを国衆に負担させるのは、負担が大きすぎる。反乱の元だ。やはり、完全に吸収して中央集権にするべきか?しかし今の段階では無理だ。

時間をかけなくてはならないが、これがいわゆる可及的速やかにということなのか。

しかも今回は稲の刈り入れ時期と重なっている。国人衆には負担をかける。戦が長引けば刈り入れができないし、そうなれば食料の供給が滞るから物価も上がる。一刻も早く終わらせねば。

俺は各艦隊に出撃命令を出し、各同盟相手に文を送った。今回は第一艦隊に座乗して指揮を取ろう。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ! 人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。 学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。 しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。 で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。 なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。 ② 

KZ
ファンタジー
初めましての人は初めまして。プロデューサーこと、主人公の白夜 零斗(はくや れいと)です。 2回目なので、俺については特に何もここで語ることはありません。みんなが知ってるていでやっていきます。 では、今回の内容をざっくりと紹介していく。今回はホワイトデーの話だ。前回のバレンタインに対するホワイトデーであり、悪魔に対するポンこ……天使の話でもある。 前回のバレンタインでは俺がやらかしていたが、今回はポンこ……天使がやらかす。あとは自分で見てくれ。  ※※※  ※小説家になろうにも掲載しております。現在のところ後追いとなっております※

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

処理中です...