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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-
久留米城の降伏
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九月四日 卯の三つ刻(0600) 下高橋城 第四軍幕舎 龍造寺純家
朝食が運ばれてきた。
『ぱおん』と呼ばれる小麦の粉を練って膨らまし、窯で焼いた物。粉の牛の乳を混ぜた湯に、鶏の卵を油で焼いた物。そして塩漬けの猪肉をお湯で戻して油で焼いた物。幸いすぐ近くに筑後川があるので水には苦労しない。もちろん沸かして飲む。
芋を細く切ってこれも油で揚げ、塩をまぶす。肉には醤油を加えて食べる。殿いわく、『こおひい』と『胡椒』が足りない!と言っておったが、これだけでも充分に美味い。飯も良いが、たまにはこういう南蛮の食べ物も良い。
われら士族、士官以上になれば糧食の担当者が運んでくる。兵すべてが同じ物というわけにはいかぬが、基本的には同じ物だ。
わが軍では長期保存の効く物で、現場で調理できる物であれば、日の本の飯に南蛮の飯も供される。意外と私は新しい物好きだったのだろうか。神代殿と平井殿は最初は抵抗があったようだが、もう慣れたようだ。
私預かりとなった吉弘鎮理どのも、三原紹心どのも一緒に食べる。見た事もない食べ物と、嗅いだ事もない匂いに驚いていた。
『発 総軍司令部 宛 第四軍司令部 ヒメ タイセウノシヲイタム ダイヨングンハ クルメジヨウセイアツゴ ブンゴ ヒタジヨウケイユニテ ブゼン シンカウシ ナガイジヨウ キイダニジヨウ ホカ ブゼンシヨジヨウヲ カウリヤクセヨ ミツカ ネノヒトツトキ(23:00) ヒメ ケイユ 西牟田信号所 四日 卯の四ツ刻(0630)』
香春岳城の報告は衝撃だった。第一軍、第二軍の、あの大将二名が討ち死にとは。第三軍の角牟礼城や日出生城の落城は良い知らせだ。しかし自軍の大将が戦死し、またも味方の大将戦死の報を聞けば、心中穏やかではない。
しかし、それほど豊前の大友軍は強力だという事だろう。早期に戦を止めるためには、豊後と豊前南部でわれらの優勢を作り出さなくてはならない。そんな話を平井常治どのと神代長良どのとした。
この期に及んで隠しても意味がないので、二人にも聞こえる様に普通に話す。
そして朝食が終わり、軍は※久留米城へ移動した。距離は三里半(12km)、一刻と四半刻(2時間半)ほどだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
巳の二つ刻(0930) 久留米城
例のごとく降伏の使者を送る。時間は節約しなければならぬ。使者にはこの地の土豪で、筑後川の水運を担っていた高田弾正が赴いた。
高田弾正は一昨年の、われら龍造寺が殿と戦をした後、大友と我ら(龍造寺)の支配から抜け出し、小佐々陣営に参入していたのだ。商人なのか武士なのか、よくわからない男だが、弁はたつ。
久留米城も要害に築かれた城ではない。筑後川が天然の堀となっているものの、多勢に無勢。かなわぬと悟ったのであろう。下高橋城も三原城も落ち、豊後においては日田城から角牟礼、日出生城まで陥落したとあっては、援軍は絶望的だ。
加えて直参として大友の家臣となってはいたものの、外様であり厚遇はされていなかった。九月四日、午二つ刻(1130)、久留米城は降伏開城した。
『発 第四軍司令部 宛総軍司令部ならびに前線各司令部 ヒメ クルメジヨウカンラク ワレラコレヨリ ヒタジヨウヨリ ブゼンニハイリ ブゼンナンブノ セイアツニアタル ヒメ 四日午二つ刻(1130)』
朝食が運ばれてきた。
『ぱおん』と呼ばれる小麦の粉を練って膨らまし、窯で焼いた物。粉の牛の乳を混ぜた湯に、鶏の卵を油で焼いた物。そして塩漬けの猪肉をお湯で戻して油で焼いた物。幸いすぐ近くに筑後川があるので水には苦労しない。もちろん沸かして飲む。
芋を細く切ってこれも油で揚げ、塩をまぶす。肉には醤油を加えて食べる。殿いわく、『こおひい』と『胡椒』が足りない!と言っておったが、これだけでも充分に美味い。飯も良いが、たまにはこういう南蛮の食べ物も良い。
われら士族、士官以上になれば糧食の担当者が運んでくる。兵すべてが同じ物というわけにはいかぬが、基本的には同じ物だ。
わが軍では長期保存の効く物で、現場で調理できる物であれば、日の本の飯に南蛮の飯も供される。意外と私は新しい物好きだったのだろうか。神代殿と平井殿は最初は抵抗があったようだが、もう慣れたようだ。
私預かりとなった吉弘鎮理どのも、三原紹心どのも一緒に食べる。見た事もない食べ物と、嗅いだ事もない匂いに驚いていた。
『発 総軍司令部 宛 第四軍司令部 ヒメ タイセウノシヲイタム ダイヨングンハ クルメジヨウセイアツゴ ブンゴ ヒタジヨウケイユニテ ブゼン シンカウシ ナガイジヨウ キイダニジヨウ ホカ ブゼンシヨジヨウヲ カウリヤクセヨ ミツカ ネノヒトツトキ(23:00) ヒメ ケイユ 西牟田信号所 四日 卯の四ツ刻(0630)』
香春岳城の報告は衝撃だった。第一軍、第二軍の、あの大将二名が討ち死にとは。第三軍の角牟礼城や日出生城の落城は良い知らせだ。しかし自軍の大将が戦死し、またも味方の大将戦死の報を聞けば、心中穏やかではない。
しかし、それほど豊前の大友軍は強力だという事だろう。早期に戦を止めるためには、豊後と豊前南部でわれらの優勢を作り出さなくてはならない。そんな話を平井常治どのと神代長良どのとした。
この期に及んで隠しても意味がないので、二人にも聞こえる様に普通に話す。
そして朝食が終わり、軍は※久留米城へ移動した。距離は三里半(12km)、一刻と四半刻(2時間半)ほどだ。
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巳の二つ刻(0930) 久留米城
例のごとく降伏の使者を送る。時間は節約しなければならぬ。使者にはこの地の土豪で、筑後川の水運を担っていた高田弾正が赴いた。
高田弾正は一昨年の、われら龍造寺が殿と戦をした後、大友と我ら(龍造寺)の支配から抜け出し、小佐々陣営に参入していたのだ。商人なのか武士なのか、よくわからない男だが、弁はたつ。
久留米城も要害に築かれた城ではない。筑後川が天然の堀となっているものの、多勢に無勢。かなわぬと悟ったのであろう。下高橋城も三原城も落ち、豊後においては日田城から角牟礼、日出生城まで陥落したとあっては、援軍は絶望的だ。
加えて直参として大友の家臣となってはいたものの、外様であり厚遇はされていなかった。九月四日、午二つ刻(1130)、久留米城は降伏開城した。
『発 第四軍司令部 宛総軍司令部ならびに前線各司令部 ヒメ クルメジヨウカンラク ワレラコレヨリ ヒタジヨウヨリ ブゼンニハイリ ブゼンナンブノ セイアツニアタル ヒメ 四日午二つ刻(1130)』
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