上 下
222 / 812
九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-

赤星統家の服属

しおりを挟む
九月四日 丑の二つ刻(01:30) 小佐々城 小佐々純正

北肥後、菊池城の赤星統家が服属を申し出てきた。

「よし!一角が崩れた!」
思わず口に出ていたようだ。戦略会議室のメンバーが俺の方を向く。

「との、どうされました?」
直茂が聞いてくる。

「ふふふ、北肥後の赤星がわれらに服属すると申し出てきた。通商のたびに大友の不義と、われらの正義を吹聴し続けた甲斐があったと言うもの。赤星が服属するとなれば、その盟友である合志も同じく服属するであろう」。

「そうなれば※隈部の北肥後連合など瓦解しているも同然。無人の野を行くが如く豊後へ進めようぞ。押さえは南筑後の国衆のみでよかろう。隈部らが筒ヶ岳城に到着したら降伏か死を選ばせよ。そして降伏するならば、隈部のみ残して他は糾合し豊後へ進ませる。どうだ?」

俺は興奮を抑えきれない。心配なのは豊前だけだ。

「まずは重畳にございます。しからばそれを各軍、そして赤星と阿蘇にも送りましょう。平文でよろしいかと」。
直茂も嬉しそうだ。にこにこしながら返事をする。

「よし!それでは早速文書作成にかかる」。
これ、結構難しいというか面倒なんだよな。用件を短く的確に書かないといけないから、かなりストレス。前世から『話長い!』とか『で、結局は?』なんて言われていたから、要約するのは苦手なのだ。

しかし、こればかりは任せるわけにはいかない。原文を書いて推敲してもらおう。

まずは第五軍宛だ。
『発 総軍司令部 宛 第五軍司令部 メ アカボシ アソ フクゾクス クマベ キタルトキ カウスレバ メツシ フクスレバ トドマラセ グンシレイハ ミヨウダイトシテ ゼングンヲ ヒキヰテ ブンゴニ シンカウ セヨ メ』

第五軍と小代、内古閑、赤星、阿蘇、他隈部のぞく北肥後連合にて豊後に進ませる。内牧城あたりが良いだろうが、そのあたりは現場に任せよう。

『発 総軍司令部 宛 赤星統家殿 メ フクゾクノマウシデ カンゲイイタス アソドノモ フクゾクサレタユヱ ワガダイゴグンキカトナリ チカラヲアワセ ブンゴニ シンカウ サレタシ キヨウリヨク オネガイ イタス メ』

『発 総軍司令部 宛 阿蘇惟将殿 メ フクゾクノマウシデ カンゲイイタス アカボシドノモ フクゾクサレタユヱ アソドノニオカレテハ ワガダイゴグンキカトナリ ブンゴニ シンカウサレタシ キヨウリヨク オネガイ イタス メ』

これでいいだろう。赤星殿にも阿蘇殿にもという形で決して強制はしない。しかし、応じるだろう。応じなければ服属したとは言えぬからな。しかしこれで、南肥後の相良は別だが、ほぼ肥後の鉱山資源を自由にする事ができるようになる。

相良は今回の戦はもちろん、しばらく放置でいいだろう。ただし、貴久の死で伊東や肝付が鼻息が荒くなっているから、乗せられて攻め込むような事がないように、もう一度釘をさしておかなければならぬな。

ああ、眠い。コーヒーのみたい。

こちらで加工しています。

出典:国土地理院ウェブサイト (https://maps.gsi.go.jp/#10/32.883624/129.865265/&base=blank&ls=blank&disp=1&lcd=blank&vs=c0g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1) 






しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ! 人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。 学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。 しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。 で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。 なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...