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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-

マニラ総督 レガスピ

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盲点だった。氷室、冷える場所、鍾乳洞でしか出来ないと思っていたら、各地にあるらしい。さっそく研究してつくらせた。ひとまずビールは・・・??ないな。

あれどうやって作るんだっけ?ホップ?麦芽?確か・・・どんぐりみたいな木の実があったような(イメージ)・・・探させよう。食の充実は、何事にも影響を及ぼすのだ。ちなみに、九十郎には酒の席での幻聴だろうと誤魔化している。

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永禄十一年 八月 フィリピン マニラ 籠手田安経

『イスパニアをなんとかポルトガルの牽制に使えないだろうか?』と殿は言っておられた。イスパニアは南蛮の二つ目の国。わしにはどう違うのかわからない。言葉は多少違うようだ。

政治的な駆け引きはわしは苦手だが、それでも殿がやろうとしている事はわかる。

両者をいい意味で競争させて、われらに有利に事が運ぶ様にしようとお考えになっていらっしゃるのだろう。わしはそう考えながら、次の寄港地であるマニラへ上陸した。

カンボジアやシャム、バンテン王国でも”南蛮船に乗ってきた”われらがやはり珍しかったらしく、特に敵意もなく交渉が進んだ。もっとも、ポルトガルが日本に持ち込んでくる品物には手はださない。少量の香辛料だけだ。”交易には”使わない。

残すは台湾の基隆と琉球だけだ。

しかし、レガスピ宛に親書を送ったはずなのだが、どうも様子がおかしい。昨年、訪問した際は要塞があり、イスパニア人しかいなかった。間違いなく城があり、いや砦といったほうがふさわしいかもしれない。

城下町もあったのだ。『さんぺどろ』と彼らが呼んでいたその砦は、三角形をしていた。日の本では見た事がない形だ。東と南、二方向が海に面する岬にあり、海に面する面には十四門の大砲とそれを保護する木製の柵があった。

防壁は高さが三間(一間は約1.8m)、厚さが一間と二尺(一尺は約33cm)ほどある。そして四間半ほどの櫓があり、広さは二反ほどである。しかし、どうやら今回は前回と全く違う場所に来たようだ。イスパニア人が一人もいないのだ。いるのは明人と現地人だけである。

大砲はもちろん、防壁もない。防御設備がないわけではないが、どうみても前回の物と同じではない。

どういう事だ?場所を間違ったのか?それは充分に考えられる。もともと前回も含めてこの航海は、練習航海そして探検、あわせて外交という三つの目的を持った航海である。

マカオ、安南、シャム、マラッカ、そしてバンテン王国まではポルトガル人の知るところであった。呂宋は知られていなかったのだろうか?そして前回乗っていたポルトガル人も、今回はいない。

彼らと彼らの主君であるレガスピが、嘘をついているのならわかる。が、そうは見えなかった。考えられるのは、占領して領有も宣言をしているが、全部ではない。彼らの知らない土地、つまり影響の及ばない土地があるのだ。

それが今わしの眼前に広がる、豊かで華やかな湊町である。新しい湊を発見したのだ。これは相当栄えている。いずれにしても、ここは慎重に事を運ばなければならない。殿は、もちろん現地住民とのいさかいは絶対に駄目だとおっしゃっていた。

しかし、イスパニア人から見ればどうであろうか?いや、殿と出会う前のわしらも同じだ。目の前にうまそうな物がある。欲しければ交渉するが、もっと欲しければ、あるいは自分の意にそぐわなければ、奪う。そういう結論と行動を今まで行ってきたではないか。

イスパニア人と明人・現地人との戦がいずれ起きるか?その際われらはどうする?わしは一抹の不安を覚えながら、その湊町の責任者と思しき人間に進物を渡し、貿易の意図を伝え、再訪する旨を伝えてマニラを後にした。
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