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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-
Re:永禄遣欧使節団
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永禄十一年 七月 横瀬浦港 小佐々純正
永禄五年、今から六年前にポルトガルに送った使節団(留学生)が帰ってきた。
数学・物理学・天文学・地理学・科学・化学・建築学・工学・農学・医学・薬学・造船学・弾道学・土木工学・語学(ポルトガル語・スペイン語・英語・オランダ語・フランス語)などなど。
実学を主に学んでくる様に言っていたんだが、大学は宗教色が強すぎて話にならなかったらしい。研究といった部分で言えばむしろ大学の外にあるアカデミーの存在が大きかったようだ。
特殊な技能や知識などは、ある意味職人に分類されていた。いや、俺にしてみれば別にどうでもいいんだよね。船や大砲や鉄砲、農業や林業や漁業、その他富国強兵に役立つならなんでもいい。そして大学に早速学部を作った。
すべての学部を作り、すべてに研究室を設立した。教育に関しては文部省だが、研究に関しては工部省の管轄とした。そして全員に持ち回りで中学校の教師をさせた。これで中学校の教育の基礎ができた。小学校は領内の三分の二が完成している。
中学校の校舎は手つかずだが、これで建造に拍車がかかるだろう。もともと校舎はあっても教える人材がいなかった。
今回の留学から得るものは大きい。今後も引き続き一年ごとに派遣しよう。留学生達には帰港初日はしっかり休んでもらった。街にでかけて遊ぶ者もいたが、こちらが用意した宿舎で休んだ者が多かった。
本当は一ヶ月ほど休暇をとらせて、ゆっくりさせてやりたいのだが、そうもいかない。彼らの力が必要なのだ。さすがに農家出身者はいかなったが、今後学校教育が進み、教育レベルに差がなくなれば増えてくるだろう。
しかしその際に、タダでさえ少ない日本人だ。外国でも仲良くしてほしいが、武家と商家、それから農民の子供達が身分の差を越えて仲良くできるだろうか。これは簡単な問題ではない。節度は必要だが、いじめや見下す様な事があってはならない。
人材が育って、指導者や引率をする人間の中に、平民出身が出てくれば多少は変わるだろう。もう少し時が必要だ。時間をかけてゆっくり変えていこう。
そして、今回彼らがもたらした物で最も目をひくのは、何といっても活字印刷機だ。これで様々な文書を印刷できる。
その他に農作物として、ジャガイモやトウモロコシ、サツマイモにトマト、トウガラシやカボチャ、落花生などがもたらされた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日 小佐々城 小佐々弾正大弼純正
「皆の者、長旅本当にご苦労であった。誰一人欠ける事なく、五体満足、息災にて再び帰ってこれた事を、本当に嬉しく思う」。
俺は留学生を城に呼びねぎらった。もちろん祝賀パーティーも準備している。家族も呼んだ。今後小佐々の根幹を支えていく若者たちだ。もし希望者がいれば、家族全員田舎から引っ越しして、城下に住む許可を出そう。費用も負担する。
今のところは武家の息子が多いのでそれはないが、ゆくゆくは、と考えた。
「それから、久しいな。九十郎に源五郎」。
利三郎叔父上と忠右衛門叔父上の次男で、二人とも俺より一つ下だ。
「海の向こうにいってみたい、と言った時は本当に驚いた。しかもいとこで二人だ」。思わず笑みが溢れる。本当に、無事で良かった。
「平九郎様、いえ、弾正大弼様におかれましては、ご健勝の事お慶び申し上げます。われらに対し、過分のおもてなしかたじけのうございます」。
まだ俺が家督を継ぐ前、転生してすぐに蛎浦の海戦があった。それまでのほんの数日間だったけど、同じ年頃のいとこ同士で遊んだのを覚えている。派遣する時はもう家督を継いで、沢森の当主だったからな。
もう、あれから六年か。早いな。九十郎は天文学、源五郎は工学を学んだ。源五郎はおそらく工部省の一貫斎のお気に入りになるであろう。この時代の工学は、軍事兵器の開発者を意味している事が多い。
天文学は・・・今太陰暦だから、太陽暦と関係あるのかな?
その夜は俺も、みんなと一緒に食べて飲んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二次会?の概念はないから(あったのか?)、俺の部屋で三人で飲み直した。葡萄酒もあるし、キンキンに冷えたビールがあれば文句はないが、冷蔵庫がないから仕方ない。澄酒に二人とも驚いていた。焼きスルメに豆腐にネギとしょうが。醤油をたらしてつまみにして飲んだ。
「ああそうだ!平ちん!(平九郎)知ってた?お天道様が回ってるんじゃなくて、俺たちがいる、この地球って言うんだけど、わかるか?わかる?その地球がまわっているんだぞ」。
だいぶ酔ってるな。俺も楽しく酔えたし、そろそろお開きかな。
「ああうん、知ってる知ってる。コペルニクスの地動説やろ?」
!!!!!!!!!!!!!!!・・・・・・・・・・・・。
永禄五年、今から六年前にポルトガルに送った使節団(留学生)が帰ってきた。
数学・物理学・天文学・地理学・科学・化学・建築学・工学・農学・医学・薬学・造船学・弾道学・土木工学・語学(ポルトガル語・スペイン語・英語・オランダ語・フランス語)などなど。
実学を主に学んでくる様に言っていたんだが、大学は宗教色が強すぎて話にならなかったらしい。研究といった部分で言えばむしろ大学の外にあるアカデミーの存在が大きかったようだ。
特殊な技能や知識などは、ある意味職人に分類されていた。いや、俺にしてみれば別にどうでもいいんだよね。船や大砲や鉄砲、農業や林業や漁業、その他富国強兵に役立つならなんでもいい。そして大学に早速学部を作った。
すべての学部を作り、すべてに研究室を設立した。教育に関しては文部省だが、研究に関しては工部省の管轄とした。そして全員に持ち回りで中学校の教師をさせた。これで中学校の教育の基礎ができた。小学校は領内の三分の二が完成している。
中学校の校舎は手つかずだが、これで建造に拍車がかかるだろう。もともと校舎はあっても教える人材がいなかった。
今回の留学から得るものは大きい。今後も引き続き一年ごとに派遣しよう。留学生達には帰港初日はしっかり休んでもらった。街にでかけて遊ぶ者もいたが、こちらが用意した宿舎で休んだ者が多かった。
本当は一ヶ月ほど休暇をとらせて、ゆっくりさせてやりたいのだが、そうもいかない。彼らの力が必要なのだ。さすがに農家出身者はいかなったが、今後学校教育が進み、教育レベルに差がなくなれば増えてくるだろう。
しかしその際に、タダでさえ少ない日本人だ。外国でも仲良くしてほしいが、武家と商家、それから農民の子供達が身分の差を越えて仲良くできるだろうか。これは簡単な問題ではない。節度は必要だが、いじめや見下す様な事があってはならない。
人材が育って、指導者や引率をする人間の中に、平民出身が出てくれば多少は変わるだろう。もう少し時が必要だ。時間をかけてゆっくり変えていこう。
そして、今回彼らがもたらした物で最も目をひくのは、何といっても活字印刷機だ。これで様々な文書を印刷できる。
その他に農作物として、ジャガイモやトウモロコシ、サツマイモにトマト、トウガラシやカボチャ、落花生などがもたらされた。
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翌日 小佐々城 小佐々弾正大弼純正
「皆の者、長旅本当にご苦労であった。誰一人欠ける事なく、五体満足、息災にて再び帰ってこれた事を、本当に嬉しく思う」。
俺は留学生を城に呼びねぎらった。もちろん祝賀パーティーも準備している。家族も呼んだ。今後小佐々の根幹を支えていく若者たちだ。もし希望者がいれば、家族全員田舎から引っ越しして、城下に住む許可を出そう。費用も負担する。
今のところは武家の息子が多いのでそれはないが、ゆくゆくは、と考えた。
「それから、久しいな。九十郎に源五郎」。
利三郎叔父上と忠右衛門叔父上の次男で、二人とも俺より一つ下だ。
「海の向こうにいってみたい、と言った時は本当に驚いた。しかもいとこで二人だ」。思わず笑みが溢れる。本当に、無事で良かった。
「平九郎様、いえ、弾正大弼様におかれましては、ご健勝の事お慶び申し上げます。われらに対し、過分のおもてなしかたじけのうございます」。
まだ俺が家督を継ぐ前、転生してすぐに蛎浦の海戦があった。それまでのほんの数日間だったけど、同じ年頃のいとこ同士で遊んだのを覚えている。派遣する時はもう家督を継いで、沢森の当主だったからな。
もう、あれから六年か。早いな。九十郎は天文学、源五郎は工学を学んだ。源五郎はおそらく工部省の一貫斎のお気に入りになるであろう。この時代の工学は、軍事兵器の開発者を意味している事が多い。
天文学は・・・今太陰暦だから、太陽暦と関係あるのかな?
その夜は俺も、みんなと一緒に食べて飲んだ。
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二次会?の概念はないから(あったのか?)、俺の部屋で三人で飲み直した。葡萄酒もあるし、キンキンに冷えたビールがあれば文句はないが、冷蔵庫がないから仕方ない。澄酒に二人とも驚いていた。焼きスルメに豆腐にネギとしょうが。醤油をたらしてつまみにして飲んだ。
「ああそうだ!平ちん!(平九郎)知ってた?お天道様が回ってるんじゃなくて、俺たちがいる、この地球って言うんだけど、わかるか?わかる?その地球がまわっているんだぞ」。
だいぶ酔ってるな。俺も楽しく酔えたし、そろそろお開きかな。
「ああうん、知ってる知ってる。コペルニクスの地動説やろ?」
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