『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁

文字の大きさ
上 下
138 / 828
九州三強と中央への目-肥後の相良と阿蘇、そして北肥後国人衆-

筑前の戦況と毛利の動き

しおりを挟む
永禄九年 六月 小佐々城

政家には利三郎叔父上の長女静姫を嫁入りさせ、名も偏諱にて純家と改めさせた。
もちろん、全く政略結婚的な意味合いがない、とは言わない。むしろ大きい。しかし、顔見せをして、多少はお互いを知った上での婚儀だ。

無理やり、と言われればそうかもしれない。でも、できるだけ本人たちには負担をかけたくない。幸い、そう見せているだけかもしれないが、不満はないようだった。

江上には嫡男がいなかったので忠右衛門の次男を養子に送った。

親父も頑張っている(?)が、利三郎と忠右衛門はすごい。二人共嫡男は俺と同じくらいの歳だが、利三郎が六人で忠右衛門は七人だ。この子供たちも全員、親父が出来るだけ現代ケアをさせたようだ。転生してからは俺も手伝ったけどね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「して千方、筑前は今どの様な感じだ?」

「は、立花鑑載につづき、宝満城の高橋鑑種、古処山城の秋月種実も蜂起いたしております。」

「なるほど。予想通りだな。」

「さらに、宗像氏貞、筑紫惟門、筑紫鎮恒、原田隆種、原田親種も兵を挙げた由にございます。」

「そうか、それは大友もたまらぬであろう。動きはあるか?」

「は、まずは吉弘鑑理と戸次鑑連、由布惟信らを立花山城に攻略に向かわせておりました。しかし高橋、秋月もほどなく蜂起したので、『挟撃の恐れ有り』と、いったん豊後に戻っております。」

「なるほど。その後はどうだ?」

「はい。まずは筑後の国衆に、久留米城の安武鎮政らとともに東肥前の勝尾城主・筑紫惟門を討伐するよう指示を出しております。」

「勝尾城の筑紫か。あそこは龍造寺と半同盟の様な形であったな。いずれにしても高橋か秋月の援軍がこよう。こちらとしては何も動く必要はないな。」

「はい、勝尾城に関しては取り立てて何も必要がないかと。あわせて、豊前の国衆には毛利に備えさせ、本隊は態勢を立て直した後、秋月の攻略に向かうかと思われます。おおそよ大友が二万、反乱軍が一万五千程度の戦いになろうかと。」

「稲刈りが終わって、十月から十一月頃になろうかと存じます。」

「そうか。三河守、毛利の動きはどうか?」

「は、されば今のところは動きはございません。しかし戦が始まりました後、時期は不明ですが、軍を動かす気配がございます。さすれば豊前・筑前・筑後の国衆の動揺は激しいはず。大友にとっては厳しいいくさになるやもしれませぬ。」

龍造寺が従属したあと、空閑衆も組み込んだ。相応の祿で召し抱えたら、やはり相当驚いていた。忍びを家臣にするのは異常(非常識?)らしい。しかし、情報は戦を左右する。やる前から勝敗は決まるのだ。大事な大事な家臣である。

千方とはいい意味で競い合って欲しい。

「よし、それでは三河守は引き続き毛利を探ってくれ。あわせて尼子もな。」
「尼子、でございますか?」
「そうだ、戦は一箇所で起こるものではない。それに連なる動きがかならず周りにあるのだ。毛利と尼子の動き、頼んだぞ。」

「ははあ」
三河守はチラリと千方を見た後、去っていった。千方は無表情を装っていたが、心中複雑なはずだ。今まで小佐々の諜報部門を一手に引き受けてきたのだから、仕事を奪われないか気になるのだろうか?

「気になるか?」
「いえ、その様な事は。」

「案ずるな、他意はない。小佐々も、皆のおかげで大きくなった。大きくなれば、当然扱う情報の量も多くなり、目的も、使い方も幅広くなる。だからといって質が落ちれば死活問題だ。石宗衆がダメだ、という訳では無いぞ。それぞれの得意分野や、例えば九州は石宗衆、中国は空閑衆と役割分担が必要だ。もちろん総元締めは千方で変わらん。信頼しておるからな。よいか。」

「ははあ」
「では、引き続き筑前・筑後衆と大友の動きを頼む。それから肥後の状況もみてきてくれ。」

「肥後、でございますか?」

「そうだ。北肥後は大友に従属はしておらぬが、好意的だ。戦となれば肥後守護の探題様の味方になろう。南九州は日向の伊東、肥後岩尾城の阿蘇、肥後古麓城の相良、島津や肝付が乱立しておる。俺の予想では島津が頭一つ抜きん出ている気がするが、まだ我らに直接影響はない。状況だけ把握するにとどめておく。よいな。頼むぞ。」

「ははあ」

千方は満足気に帰っていった。

やっぱり気にしてたんじゃん。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ! 人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。 学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。 しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。 で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。 なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

姜維信繁
恋愛
未来知識で人生をやり直せば、強制的にモテ期は作れるのか? もしも40年近い未来から昭和59年に転生したら、あなたは何を変える? ラノベやアニメ、様々な媒体で描かれた人生リスタートの物語設定。 2024年、51歳のフリーランサー、風間悠真。彼の人生は苦闘の連続だった。AIに仕事を奪われる不安、失敗に終わった結婚。 「あの時代にもっと賢明な選択をしていれば……」という後悔が日々彼を苛む。 ある深夜、パソコンに向かい合う悠真。納期に追われ、コーヒーとエナジードリンクを駆使しての作業。しかし、疲労困憊の体は限界を迎え、彼はそのまま机の上で寝落ちしてしまう。 次に目を覚ますと、信じられないことに1984年、小学校6年生に戻っていた! 約40年の未来知識と、幾多の失敗から学んだ教訓を胸に、悠真は決意する。 「今度こそ、女とやってやってやりまくり、金を稼いで稼ぎまくって時代を制し、理想の人生を一から築き上げてみせる!」 ファミコンが日本を席巻し、円高不況の足音が忍び寄る1985年。悠真には2024年までの歴史が頭に刻まれている。 転生して51歳の知識と経験を持った12歳の少年の前には、初恋の女の子にいじめっ子がいる。 部活動やフラれ続きの小中高を、どう生き抜くか? 40年先の知識は本当に早過ぎる「モテ期」を作り出せるのだろうか? 金・女・地位・名誉……バブルの波を乗りこなし、成功者と呼ばれる事は出来るのか? スマホもインターネットもない時代に、未来を知る少年が挑む。 昭和から平成、そして令和へと。 日本の新たな未来図を描く—再起動人生の幕が上がった。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...