71 / 801
肥前五強!non無双でもやるしかない。-横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に-
佐志方杢兵衛、造反す。
しおりを挟む
■龍岩城 佐志方杢兵衛
「殿! ご覧ください!」
眼下には南風崎から上陸した松浦軍が、ウンカの如く小佐々砦を攻めているのがはっきり見える。
「殿! ここに至ってはお家の為に造反も止むなし! 我らも共に小佐々を攻めましょう!」
筆頭家老が進言する。
「何を申すか! そのような事をすれば末代まで恥を残す! 佐志方杢兵衛は裏切り者よ、裏切りの血よ! と、そのようなそしりを受けたいのか?!」
別の家老が反論をする。
「ではどうするのだ! このまま座して負けるのを待つのか? 中立を保ったとして、おそらく平戸は我らを許さぬぞ。針尾の地を我が物にせんと、直接支配に乗り込んでくる。そうなった時はどうするのだ。誰も味方はおらぬぞ!」
「損得だけが戦ではない! 数で劣っていようとも、負けるとは限らん!」
「何を根拠のない悠長な事を……」
家臣二人がお互いの考えをぶつけ合っている。そしてわしは、決めかねている。
……。
小佐々砦が陥落した。
「殿、ここで何もしなければ、どちらからも味方とは思われませぬぞ!」
「何を言うか! そもそも沢森と盟を結んだのであって、小佐々ではない。それにその盟自体も針尾への牽制であり、針尾や松浦を攻撃する事ではない」
このままでは埒が明かない。
わしは決心した。
「よし、小佐々を攻めるぞ! ただし、積極的に攻めるのではなく、攻めるふりをするだけじゃ」
もちろん、こちらが攻撃されれば致し方ないが。やつらはそうせぬよ。わかっておるはずじゃ。うまく誤魔化せよ。
「殿、それでは……」
「わかっておる。わしだってこのような姑息な手は使いとうない。しかし今はこれしかないのだ。選択肢は最後まで残しておいたほうがいい」
わしは城群の全ての兵に招集をかけ、集まり次第小佐々兵を攻撃するよう命をくだした。
■針尾城 針尾伊賀守
「よし! 杢兵衛が寝返ったか! 小佐々兵を攻撃しておるのだな?!」
「は! 間違いございません! 龍岩城に全軍を集結させ、小佐々砦を通過しながら、宮尾城を包囲している大村軍まで攻撃をかける模様!」
「時来たれり! 横瀬浦を奪うぞ! 南蛮の権益を全て奪うのだ!」
「殿! ご覧ください!」
眼下には南風崎から上陸した松浦軍が、ウンカの如く小佐々砦を攻めているのがはっきり見える。
「殿! ここに至ってはお家の為に造反も止むなし! 我らも共に小佐々を攻めましょう!」
筆頭家老が進言する。
「何を申すか! そのような事をすれば末代まで恥を残す! 佐志方杢兵衛は裏切り者よ、裏切りの血よ! と、そのようなそしりを受けたいのか?!」
別の家老が反論をする。
「ではどうするのだ! このまま座して負けるのを待つのか? 中立を保ったとして、おそらく平戸は我らを許さぬぞ。針尾の地を我が物にせんと、直接支配に乗り込んでくる。そうなった時はどうするのだ。誰も味方はおらぬぞ!」
「損得だけが戦ではない! 数で劣っていようとも、負けるとは限らん!」
「何を根拠のない悠長な事を……」
家臣二人がお互いの考えをぶつけ合っている。そしてわしは、決めかねている。
……。
小佐々砦が陥落した。
「殿、ここで何もしなければ、どちらからも味方とは思われませぬぞ!」
「何を言うか! そもそも沢森と盟を結んだのであって、小佐々ではない。それにその盟自体も針尾への牽制であり、針尾や松浦を攻撃する事ではない」
このままでは埒が明かない。
わしは決心した。
「よし、小佐々を攻めるぞ! ただし、積極的に攻めるのではなく、攻めるふりをするだけじゃ」
もちろん、こちらが攻撃されれば致し方ないが。やつらはそうせぬよ。わかっておるはずじゃ。うまく誤魔化せよ。
「殿、それでは……」
「わかっておる。わしだってこのような姑息な手は使いとうない。しかし今はこれしかないのだ。選択肢は最後まで残しておいたほうがいい」
わしは城群の全ての兵に招集をかけ、集まり次第小佐々兵を攻撃するよう命をくだした。
■針尾城 針尾伊賀守
「よし! 杢兵衛が寝返ったか! 小佐々兵を攻撃しておるのだな?!」
「は! 間違いございません! 龍岩城に全軍を集結させ、小佐々砦を通過しながら、宮尾城を包囲している大村軍まで攻撃をかける模様!」
「時来たれり! 横瀬浦を奪うぞ! 南蛮の権益を全て奪うのだ!」
2
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』
姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ!
人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。
学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。
しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。
で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。
なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)
朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】
バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。
それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。
ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。
ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――!
天下無敵の色事師ジャスミン。
新米神官パーム。
傭兵ヒース。
ダリア傭兵団団長シュダ。
銀の死神ゼラ。
復讐者アザレア。
…………
様々な人物が、徐々に絡まり、収束する……
壮大(?)なハイファンタジー!
*表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます!
・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる