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二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート
永禄四年末評定 十年戦略策定と短期目標
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永禄四年十二月 沢森城 沢森政忠
年末を迎えるにあたって、家臣を一同に集めて評定を行った。
今後は定期的に行おう。
当主 沢森政忠
親族衆
筆頭 沢森政種(父)
親族衆 外向方 沢森政直(次男・政忠の叔父)
親族衆 殖産・技術方 沢森政藤(三男・政忠の叔父)
譜代
軍務方 深作兼続 陸軍統括
水軍方 深沢勝行(本郷城主) 海軍統括
内務・兵糧方 太田七郎左衛門利益(40・小平太の父)総務・兵站全般
外様
諜報方 藤原千方 情報収集・諜報活動全般
勘定方 太田屋弥市 貿易・財務全般
まだまだ、全然少ない。
外様とか譜代とか、あまり別けたくないけど、あえて挙げた。
これからどんどん人材を登用して、強固な家臣団を作っていかなければならない。
そのためには時間も金も惜しまない。
「さて、さっそくだが、これからは定期的に評定を開いていこうと思う。何よりも意思統一が肝心だからな。ではまず、父上から。」
親父は面倒くさそうに心で(えー、やんの?)みたいな光線を俺に送っている。
いや、当主とは言え、俺まだ十二だよ?あなたの一言でみんな締まるんです^^
「では、えー、皆も知っていると思うが、俺は家督を平九郎に譲った。だからしゃしゃり出て言う事もない。たった一つ。」
「和を以て尊しとなす。」
(ん?どっかで聞いた事あるぞ。まあ、いいか)
「沢森はまだまだ小さい。ぐずぐずしていたら周りに飲み込まれてしまう。そうならないために、君臣一体、官民一体、みなが心を一つにする事が肝要。」
「俺はもう以前の様に戦えなくなったが、その代わり中から平九郎を支えて行きたいと思っている。だから、皆で平九郎を、沢森を、この国を盛り上げていってくれ。以上だ。」
「御意に」「はい!」「ははあ!」「心得ました」
みんなが答える。
「ありがとうございます。父上。」
なんだかこそばゆいな。
「では次に殖産方 忠右衛門」
「は、ではまず、米、大根、麦、綿花、菜の花に関してです。油を使った害虫駆除が功を奏して、取れ高が二割増しとなったと報告を受けております。」
「麦酒、切り干し大根は製造工程を研究中にございます。綿花は現在、四反栽培中ですが、五反帆の小早船であれば十八隻分の主帆分確保できます。菜種に関しましては、今後米の裏作で全てを植えるとすれば、百六十二石分の菜種を取れまする。」
「これは十二分に年間の石けんの販売数を賄えまする。五島の椿油の輸入量を調整していく所存です。椿の苗木に関しましては、やはり五島椿が最高級にて、利三郎殿、弥市殿とともに協議して交渉中です。その他に・・・・」
順調だ。
塩、捕鯨、石けん、鉛筆、味噌、たまり、醤油、は潤沢な利益を生むだろう。びわ・ぱん・麦酒・ジャム・ぶどう酒・ガラスはイースト菌やら材料やら、工程や制作設備も複雑なので気長にやるとしよう。
南蛮からの職人や技術者を招聘するのは急務だな。
養鶏、養豚(イノシシ)、養牛。糞尿が大量に必要だし、蘇もつくる。卵や牛乳、重要なたんぱく源だ。硝石は時間がかかるとしても、椎茸は当然難航している。何か決定打はないか?
しかし問題となるのはやはり領土だ。平地が少ないうえに面積も少ない。山を全部伐採して畑にするわけにもいかず、いずれにしても足りなくなる。
炭をつくる薪も得られなくなるし、領民が苦しむ。森林資源は大事だ。もちろん今すぐではないが、早急に各生産物で必要な量、作付面積を確認・調整しよう。
「次は外交方 利三郎」
「は、現状はお味方である大村、相神浦と連携を密にしております。また、五島の宇久などと貿易の利をあわせて、忠右衛門と相談して折衝しておりまする。」
「平戸、後藤、針尾に関しては目立った動きはないようですので、こちらから刺激をする様な行動は控えております。ただ、お味方や内海、福田殿より石けんを所望する旨伺っておりまする。」
「うむ、いかなる状況にも対応できるよう備えておこう。次は軍務方 治郎兵衛。」
「は、まずは組織改編に務めておりまする。全体を小隊、中隊、大隊に分け、各部隊長をおき、命令系統の円滑化を図ります。さらに各部隊には弓、鉄砲、棒火矢、槍など兵科に分け、効率的な運用ができる様にいたします。」
「よし、練度の高い即応部隊を作り上げるよう心がけよ。沢森は水軍が主だが、戦うのは兵だ。上陸戦、防衛戦も当然あるゆえな。陸に上がった水軍でも、精強を目指せ。」
「はは。」
「次は 水軍方 義太夫」
「は、まずは戦力分担にございます。現在関船二隻に小早が三十隻あります。しかしそのうち二十隻が、太田の港に停泊しております。牡蠣の浦を多くとは申しませんが、戦略上の重要拠点、交易の拠点にござれば、せめて同数になるよう兵力の拡充をお願いいたします。」
「当然である。その様にいたそう。」
「また、これは治郎兵衛様とも話したのですが、水陸共同の学校をつくり、その後分かれて学ぶ様な養成課程はどうかと考えまする。士分からだけの取り立てではなく、百姓や漁民、または難民や移住者も含めて多くを募ります。」
「子供には十分な衣食住を与え、最低限の読み書きを教えた上で選ばせるのです。軍に行きたければ行き、商人になりたければ勘定方、物作りや生産業に携わりたければ殖産方へと、なんらかの形で返させるのです。これは、気の長い話ではありますが、大規模な人材登用、人材育成にございます。」
(すげえ、勝行まじか。ちゃんと考えてくれているんだね。)
ちなみに鯨は、弟に丸投げしたらしい。あ、それで弟が養子を取って初代義太夫になるのかな?
「あいわかった。詳細はおいおい詰めて参ろう。」
「次は内務方 七郎左衛門」
「は、現在城内・城下あわせて約千石の備蓄がございます。二千ないし三千の兵であれば三月は耐えられましょう。」
「ただし、薪、炭をはじめた燃料の値が上がっております。塩、石けん等利益が出る事は大変良い事ですが、薪や炭などの代替えの燃料がない以上、仕入れ場所を遠方に移すなど、調整の必要があるかと存じます。」
そうだよなあ。一度しっかりと、領内の薪や木炭の消費量などを調査しよう。
代替品ねえ・・・薪、炭、・・・・炭?石炭!!??あるやん!
これ、代わりになるかな?
「次、諜報方 千方」
少し、場がざわついた。まあ、予測はしてたけどね。
みんなにちゃんと話すのは今回がはじめて。
「みんな聞いてくれ。千方は、こういう言い方は嫌いだが外様だ。だがしかし、沢森は外様を抱えていかねば大きくなれぬ。家臣待遇で召し抱えた。」
「これに関しては異論は認めぬ。そして諜報、忍びに関しても、戦に外交に絶対に必要になってくる。情報を制する者は世界を制すだ。陰口や誹謗中傷は俺が許さぬ。よいな。」
「はは」
皆がうなずいた。
「それでは~と言う事(※38話)にござります。神代勝利に関しましては、本来利三郎様の領域にございますが、隠棲している状況ですので、それがしが独断で進めており申す。」
利三郎からは特に異論はないようだ。
「よし、最後に弥市」
弥市は平戸道喜に弟子入りしたのだが、どうしても連絡係が必要だったので、今で言う嘱託?みたいな感じで召し抱えた。
「はい、現状は製塩に必要な薪で生まれる灰にて、石けんの制作が可能です。来春には菜種の収穫もありますから、菜種油、椿油、鯨油の種類を分けて生産調整すれば、原価はかぎりなく抑えられます。かなりの利益率になり申す。」
「具体的にはそのふたつで月に三千貫から四千貫は見込めましょう。また、捕鯨に関しましては三百名での捕獲高にて最低月に一頭。先程の鯨油を販売せずに領内で使ったとしても誤差の範囲です。一頭で千六百貫程度になります。」
「月に少なく見積もって一頭でも、石けんと塩をあわせると月に五千貫。また、人員を増やせば、鯨の取れ高は増えますので、それ以上となります。」
俺はニヤニヤが止まらない。全員が、親父さえもが驚いている。
鯨に関しては解体や分別、商品化でさらに三百から五百人程度必要になるだろうが、噂が噂を呼ぶ、集めるのは苦労しないであろう。
人口が激増するな。
ニヤケ顔が収まらないまま、評定を終えた。
年末を迎えるにあたって、家臣を一同に集めて評定を行った。
今後は定期的に行おう。
当主 沢森政忠
親族衆
筆頭 沢森政種(父)
親族衆 外向方 沢森政直(次男・政忠の叔父)
親族衆 殖産・技術方 沢森政藤(三男・政忠の叔父)
譜代
軍務方 深作兼続 陸軍統括
水軍方 深沢勝行(本郷城主) 海軍統括
内務・兵糧方 太田七郎左衛門利益(40・小平太の父)総務・兵站全般
外様
諜報方 藤原千方 情報収集・諜報活動全般
勘定方 太田屋弥市 貿易・財務全般
まだまだ、全然少ない。
外様とか譜代とか、あまり別けたくないけど、あえて挙げた。
これからどんどん人材を登用して、強固な家臣団を作っていかなければならない。
そのためには時間も金も惜しまない。
「さて、さっそくだが、これからは定期的に評定を開いていこうと思う。何よりも意思統一が肝心だからな。ではまず、父上から。」
親父は面倒くさそうに心で(えー、やんの?)みたいな光線を俺に送っている。
いや、当主とは言え、俺まだ十二だよ?あなたの一言でみんな締まるんです^^
「では、えー、皆も知っていると思うが、俺は家督を平九郎に譲った。だからしゃしゃり出て言う事もない。たった一つ。」
「和を以て尊しとなす。」
(ん?どっかで聞いた事あるぞ。まあ、いいか)
「沢森はまだまだ小さい。ぐずぐずしていたら周りに飲み込まれてしまう。そうならないために、君臣一体、官民一体、みなが心を一つにする事が肝要。」
「俺はもう以前の様に戦えなくなったが、その代わり中から平九郎を支えて行きたいと思っている。だから、皆で平九郎を、沢森を、この国を盛り上げていってくれ。以上だ。」
「御意に」「はい!」「ははあ!」「心得ました」
みんなが答える。
「ありがとうございます。父上。」
なんだかこそばゆいな。
「では次に殖産方 忠右衛門」
「は、ではまず、米、大根、麦、綿花、菜の花に関してです。油を使った害虫駆除が功を奏して、取れ高が二割増しとなったと報告を受けております。」
「麦酒、切り干し大根は製造工程を研究中にございます。綿花は現在、四反栽培中ですが、五反帆の小早船であれば十八隻分の主帆分確保できます。菜種に関しましては、今後米の裏作で全てを植えるとすれば、百六十二石分の菜種を取れまする。」
「これは十二分に年間の石けんの販売数を賄えまする。五島の椿油の輸入量を調整していく所存です。椿の苗木に関しましては、やはり五島椿が最高級にて、利三郎殿、弥市殿とともに協議して交渉中です。その他に・・・・」
順調だ。
塩、捕鯨、石けん、鉛筆、味噌、たまり、醤油、は潤沢な利益を生むだろう。びわ・ぱん・麦酒・ジャム・ぶどう酒・ガラスはイースト菌やら材料やら、工程や制作設備も複雑なので気長にやるとしよう。
南蛮からの職人や技術者を招聘するのは急務だな。
養鶏、養豚(イノシシ)、養牛。糞尿が大量に必要だし、蘇もつくる。卵や牛乳、重要なたんぱく源だ。硝石は時間がかかるとしても、椎茸は当然難航している。何か決定打はないか?
しかし問題となるのはやはり領土だ。平地が少ないうえに面積も少ない。山を全部伐採して畑にするわけにもいかず、いずれにしても足りなくなる。
炭をつくる薪も得られなくなるし、領民が苦しむ。森林資源は大事だ。もちろん今すぐではないが、早急に各生産物で必要な量、作付面積を確認・調整しよう。
「次は外交方 利三郎」
「は、現状はお味方である大村、相神浦と連携を密にしております。また、五島の宇久などと貿易の利をあわせて、忠右衛門と相談して折衝しておりまする。」
「平戸、後藤、針尾に関しては目立った動きはないようですので、こちらから刺激をする様な行動は控えております。ただ、お味方や内海、福田殿より石けんを所望する旨伺っておりまする。」
「うむ、いかなる状況にも対応できるよう備えておこう。次は軍務方 治郎兵衛。」
「は、まずは組織改編に務めておりまする。全体を小隊、中隊、大隊に分け、各部隊長をおき、命令系統の円滑化を図ります。さらに各部隊には弓、鉄砲、棒火矢、槍など兵科に分け、効率的な運用ができる様にいたします。」
「よし、練度の高い即応部隊を作り上げるよう心がけよ。沢森は水軍が主だが、戦うのは兵だ。上陸戦、防衛戦も当然あるゆえな。陸に上がった水軍でも、精強を目指せ。」
「はは。」
「次は 水軍方 義太夫」
「は、まずは戦力分担にございます。現在関船二隻に小早が三十隻あります。しかしそのうち二十隻が、太田の港に停泊しております。牡蠣の浦を多くとは申しませんが、戦略上の重要拠点、交易の拠点にござれば、せめて同数になるよう兵力の拡充をお願いいたします。」
「当然である。その様にいたそう。」
「また、これは治郎兵衛様とも話したのですが、水陸共同の学校をつくり、その後分かれて学ぶ様な養成課程はどうかと考えまする。士分からだけの取り立てではなく、百姓や漁民、または難民や移住者も含めて多くを募ります。」
「子供には十分な衣食住を与え、最低限の読み書きを教えた上で選ばせるのです。軍に行きたければ行き、商人になりたければ勘定方、物作りや生産業に携わりたければ殖産方へと、なんらかの形で返させるのです。これは、気の長い話ではありますが、大規模な人材登用、人材育成にございます。」
(すげえ、勝行まじか。ちゃんと考えてくれているんだね。)
ちなみに鯨は、弟に丸投げしたらしい。あ、それで弟が養子を取って初代義太夫になるのかな?
「あいわかった。詳細はおいおい詰めて参ろう。」
「次は内務方 七郎左衛門」
「は、現在城内・城下あわせて約千石の備蓄がございます。二千ないし三千の兵であれば三月は耐えられましょう。」
「ただし、薪、炭をはじめた燃料の値が上がっております。塩、石けん等利益が出る事は大変良い事ですが、薪や炭などの代替えの燃料がない以上、仕入れ場所を遠方に移すなど、調整の必要があるかと存じます。」
そうだよなあ。一度しっかりと、領内の薪や木炭の消費量などを調査しよう。
代替品ねえ・・・薪、炭、・・・・炭?石炭!!??あるやん!
これ、代わりになるかな?
「次、諜報方 千方」
少し、場がざわついた。まあ、予測はしてたけどね。
みんなにちゃんと話すのは今回がはじめて。
「みんな聞いてくれ。千方は、こういう言い方は嫌いだが外様だ。だがしかし、沢森は外様を抱えていかねば大きくなれぬ。家臣待遇で召し抱えた。」
「これに関しては異論は認めぬ。そして諜報、忍びに関しても、戦に外交に絶対に必要になってくる。情報を制する者は世界を制すだ。陰口や誹謗中傷は俺が許さぬ。よいな。」
「はは」
皆がうなずいた。
「それでは~と言う事(※38話)にござります。神代勝利に関しましては、本来利三郎様の領域にございますが、隠棲している状況ですので、それがしが独断で進めており申す。」
利三郎からは特に異論はないようだ。
「よし、最後に弥市」
弥市は平戸道喜に弟子入りしたのだが、どうしても連絡係が必要だったので、今で言う嘱託?みたいな感じで召し抱えた。
「はい、現状は製塩に必要な薪で生まれる灰にて、石けんの制作が可能です。来春には菜種の収穫もありますから、菜種油、椿油、鯨油の種類を分けて生産調整すれば、原価はかぎりなく抑えられます。かなりの利益率になり申す。」
「具体的にはそのふたつで月に三千貫から四千貫は見込めましょう。また、捕鯨に関しましては三百名での捕獲高にて最低月に一頭。先程の鯨油を販売せずに領内で使ったとしても誤差の範囲です。一頭で千六百貫程度になります。」
「月に少なく見積もって一頭でも、石けんと塩をあわせると月に五千貫。また、人員を増やせば、鯨の取れ高は増えますので、それ以上となります。」
俺はニヤニヤが止まらない。全員が、親父さえもが驚いている。
鯨に関しては解体や分別、商品化でさらに三百から五百人程度必要になるだろうが、噂が噂を呼ぶ、集めるのは苦労しないであろう。
人口が激増するな。
ニヤケ顔が収まらないまま、評定を終えた。
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