22 / 775
転生!そして長崎が横瀬に変わる!?-歴史改変仕方ない。やること多すぎです。-
第20話 新型帆船?!牡蠣の浦の海戦②
しおりを挟む
太田の港に降りていくと、人でごった返していた。
叔父の利三郎政直と忠右衛門藤政がテキパキと指示をあたえている。
「よし、乗り込むぞ。平九郎は俺と一緒にこい」
「はい!」
と元気よく返事をして親父のあとについていく。
あ! 思わず息をのんだ。
「父上すごい! 縦帆です! しかも前と後ろに! ! うわ! これ木綿帆じゃないですか! !」
親父はニヤニヤしているものの、驚きを隠せない。
「そうだろう、そうだろう。よく知っているな! 木綿も縦帆も、金も手間も相当かかったが、その価値はある。まず日ノ本ではうちと旦那んとこ(小佐々水軍)くらいだろうよ」
この人本当にこの時代の人なの? 木綿はまだまだ高価だろうし、下の帆桁を外すのは戦国後期以降だぞ。縦帆にいたっては幕末まで進化する長い歴史のなかで、洋式帆船との和洋折衷で初めてでてくる。
発想からして織田信長か?
(木綿、つくろう。大量生産しよう。うしししし、ボロ儲け?)
和船ならぬ新型の帆船を見て起きた興奮が、戦の前の緊張や恐怖を和らげてくれているのだろうか。
「綿花も大量に栽培できればいいんですけどね。そうしたらもっと手軽に安く流通させられるのに」
「ん? つくっているぞ。なんだお前、まるで商人みたいだな。この前の新しい生業の話からそう思っていたんだが」
なんて? つくってる?
「じゃがさすがに全部は無理だ、少しずつ改良を加えて生産量を増やしているが、ほとんどが買っておる。おっと縦帆は南蛮船を参考にしておるぞ。どれだけ速く、効率よく進むかが、水軍の大事だからな! これは誰も知るまい。今回初お披露目じゃ。わはははは」
開いた口が塞がらない、とはこの事だろうか。
「口を塞げ口を。沢森の嫡男がみっともない」
だが、決して怒っているわけではない。口元に笑みを浮かべている。
「時は動いている。応仁の大乱から100年。幕府の権威は地に落ち、日ノ本のどこにいっても、誰もが所領を広げて力をつけようと必死になっておる」
「我ら沢森や小佐々だけが、帆別銭(入港料)や警固料(水先案内・警護料)のみで家を守ってはいけんだろうよ」
「ま、もっとも小佐々の旦那は金山や馬の生産でがっぽり儲けているようだがな。お前もそう思うからこそ、この前みたいな話をしたのだろう?」
「はい」
この人はなんでもお見通しなのか?
この人に付いていけば、この人の言う通りの事をしていたら、俺は何もしなくても、この先しっかり生きていけるんじゃないか? そう感じずにはいられない、包み込むような温かいオーラを放っていた。
「櫂備え! 櫂用意! 前へ! ……左櫂上げー! 右櫂上げー! 櫂用意、前へ! !」
叔父の利三郎政直と忠右衛門藤政がテキパキと指示をあたえている。
「よし、乗り込むぞ。平九郎は俺と一緒にこい」
「はい!」
と元気よく返事をして親父のあとについていく。
あ! 思わず息をのんだ。
「父上すごい! 縦帆です! しかも前と後ろに! ! うわ! これ木綿帆じゃないですか! !」
親父はニヤニヤしているものの、驚きを隠せない。
「そうだろう、そうだろう。よく知っているな! 木綿も縦帆も、金も手間も相当かかったが、その価値はある。まず日ノ本ではうちと旦那んとこ(小佐々水軍)くらいだろうよ」
この人本当にこの時代の人なの? 木綿はまだまだ高価だろうし、下の帆桁を外すのは戦国後期以降だぞ。縦帆にいたっては幕末まで進化する長い歴史のなかで、洋式帆船との和洋折衷で初めてでてくる。
発想からして織田信長か?
(木綿、つくろう。大量生産しよう。うしししし、ボロ儲け?)
和船ならぬ新型の帆船を見て起きた興奮が、戦の前の緊張や恐怖を和らげてくれているのだろうか。
「綿花も大量に栽培できればいいんですけどね。そうしたらもっと手軽に安く流通させられるのに」
「ん? つくっているぞ。なんだお前、まるで商人みたいだな。この前の新しい生業の話からそう思っていたんだが」
なんて? つくってる?
「じゃがさすがに全部は無理だ、少しずつ改良を加えて生産量を増やしているが、ほとんどが買っておる。おっと縦帆は南蛮船を参考にしておるぞ。どれだけ速く、効率よく進むかが、水軍の大事だからな! これは誰も知るまい。今回初お披露目じゃ。わはははは」
開いた口が塞がらない、とはこの事だろうか。
「口を塞げ口を。沢森の嫡男がみっともない」
だが、決して怒っているわけではない。口元に笑みを浮かべている。
「時は動いている。応仁の大乱から100年。幕府の権威は地に落ち、日ノ本のどこにいっても、誰もが所領を広げて力をつけようと必死になっておる」
「我ら沢森や小佐々だけが、帆別銭(入港料)や警固料(水先案内・警護料)のみで家を守ってはいけんだろうよ」
「ま、もっとも小佐々の旦那は金山や馬の生産でがっぽり儲けているようだがな。お前もそう思うからこそ、この前みたいな話をしたのだろう?」
「はい」
この人はなんでもお見通しなのか?
この人に付いていけば、この人の言う通りの事をしていたら、俺は何もしなくても、この先しっかり生きていけるんじゃないか? そう感じずにはいられない、包み込むような温かいオーラを放っていた。
「櫂備え! 櫂用意! 前へ! ……左櫂上げー! 右櫂上げー! 櫂用意、前へ! !」
2
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる