19 / 827
転生!そして長崎が横瀬に変わる!?-歴史改変仕方ない。やること多すぎです。-
第17話 平戸、襲来。政忠初陣せり。
しおりを挟む
四月九日 午の正刻(1200)すぎ
いい天気だ……。
その後も海辺の道を小平太と歩きながら(俺は馬に乗っていたんだが)、通行人達に声をかけ、笑顔で会話をして道を進む。
みんないい人。ほんわかする。しばらくすると前方に人だかりがあるのが見えた。
「どうしたんですか? 集まって。なにか面白いものでも?」
ふと、領民の1人が海の上を指差す。すると海上の島から煙が上がっている?
……狼煙か?!
いや、少し離れて2本あがってる。燃えてるんだ!
「敵襲だ! 戻るぞ!」
「はい!」
踵を返して城へ戻る。なんだこれ、全身の毛が逆立つ感じがする。体温が上がっているのを感じる。なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!
頭ではわかっていたけど、これが戦国時代なのか。15分ほどで城に着いた。
「父上!」
「おう! 来たか!」
親父は小姓に具足をつけてもらっている最中だった。別に焦っている様子もなく、普通の着替えのように身を任せている。
俺は部屋の中に入り、親父のそばへ立ったまま足早に近づく。
「敵の襲撃じゃ。蛎浦に攻めて来やがった」
蛎浦……! 五島から平島、江島経由で県北へ向かう南回り航路の要衝じゃないか!
「いったい誰が? ……」
「決まっているだろう」
五島宇久氏? いやいや、良好な関係を保ってきたし、今この時期に攻めてくる意味がわからん。
「松浦ですか?」
「おそらく。いずれにしても、降りかかる火の粉は払わねばならん」
8年前の天文12年(1543年)に相神浦松浦氏は、平戸松浦氏との和睦で鷹島を割譲している。相神浦松浦氏は斜陽だ。滅亡まで時間がない。
急がねばならない。
親父は兜やその他の具足はつけずに、具足下(具足の下に着る衣服)に小手とすね当て、それから胴丸? と鉄板が入ったような分厚いハチマキみたいなものだけをつけている。
「父上、兜や他の具足は……」
「いらん、具足に四半刻も半刻もかけていられん。時間との勝負だ」
「父上! 私も! わたしも……」
その続きを言おうとして、口が止まった。怖い。まだ俺12(11)だぞ中学1年だぞ。いやだ死にたくない。戦いたくない。
親父は無言で俺を見ている。
「……私も、……私も連れて行ってください!」
「その意気やよし!」
親父はにっこりと歯を見せて笑うと、「さすが俺の息子だ!」と笑いながら俺の背中をたたく。
なぜ声に出して言ったのかわからない。ただ、なにかに背中を押された気がした。
いい天気だ……。
その後も海辺の道を小平太と歩きながら(俺は馬に乗っていたんだが)、通行人達に声をかけ、笑顔で会話をして道を進む。
みんないい人。ほんわかする。しばらくすると前方に人だかりがあるのが見えた。
「どうしたんですか? 集まって。なにか面白いものでも?」
ふと、領民の1人が海の上を指差す。すると海上の島から煙が上がっている?
……狼煙か?!
いや、少し離れて2本あがってる。燃えてるんだ!
「敵襲だ! 戻るぞ!」
「はい!」
踵を返して城へ戻る。なんだこれ、全身の毛が逆立つ感じがする。体温が上がっているのを感じる。なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!
頭ではわかっていたけど、これが戦国時代なのか。15分ほどで城に着いた。
「父上!」
「おう! 来たか!」
親父は小姓に具足をつけてもらっている最中だった。別に焦っている様子もなく、普通の着替えのように身を任せている。
俺は部屋の中に入り、親父のそばへ立ったまま足早に近づく。
「敵の襲撃じゃ。蛎浦に攻めて来やがった」
蛎浦……! 五島から平島、江島経由で県北へ向かう南回り航路の要衝じゃないか!
「いったい誰が? ……」
「決まっているだろう」
五島宇久氏? いやいや、良好な関係を保ってきたし、今この時期に攻めてくる意味がわからん。
「松浦ですか?」
「おそらく。いずれにしても、降りかかる火の粉は払わねばならん」
8年前の天文12年(1543年)に相神浦松浦氏は、平戸松浦氏との和睦で鷹島を割譲している。相神浦松浦氏は斜陽だ。滅亡まで時間がない。
急がねばならない。
親父は兜やその他の具足はつけずに、具足下(具足の下に着る衣服)に小手とすね当て、それから胴丸? と鉄板が入ったような分厚いハチマキみたいなものだけをつけている。
「父上、兜や他の具足は……」
「いらん、具足に四半刻も半刻もかけていられん。時間との勝負だ」
「父上! 私も! わたしも……」
その続きを言おうとして、口が止まった。怖い。まだ俺12(11)だぞ中学1年だぞ。いやだ死にたくない。戦いたくない。
親父は無言で俺を見ている。
「……私も、……私も連れて行ってください!」
「その意気やよし!」
親父はにっこりと歯を見せて笑うと、「さすが俺の息子だ!」と笑いながら俺の背中をたたく。
なぜ声に出して言ったのかわからない。ただ、なにかに背中を押された気がした。
8
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる