7 / 828
転生!そして長崎が横瀬に変わる!?-歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。-
もうすでに隣と一触即発やん!
しおりを挟む
え? ええ? 今なんて? 横瀬浦がうちの領地? それやったらもう歴史変わってるやん! サワノモリ村の名前どころじゃないぞ!
「それはいったいどういう……?」
「どうもこうもあるか! !」
そう言って親父は、机をドン! と叩いた。
「生き様の覚えを失うた(記憶喪失)とは聞いていたが、自分の兄が討ち死にした事も忘れてしまったのか!」
ええええ! なにこの急展開! 領地に兄貴に情報量多すぎ!
忘れてしまった事への怒りか、それとも兄が殺された事への恨みか、親父は複雑な感情を隠すこともなくあらわにした。
とばっちり? (前世の俺的に)
「いえ! そのような事は決して! ただ、あまりのことにて。申し訳ございませぬ」
「針尾島のやつらがの……」
何度か深呼吸をして、少し落ち着いた後に親父はポツリと話し始めた。
「そもそも(もともと)針尾島は針尾氏の所領で、北側の佐志方氏と島を巡りて争うておったが、横瀬村や川内村も針尾氏のものであった。南の八木原村や鳥加村、大串村は大村の殿さんの所領で棲み分けができとった。我らとも争いもなくな」
「ところが、だ」
机の上をとんとん、と指で叩く。
「去年の正月も開けぬ砌(頃)、さしくみに(いきなり)八木原村の天狗山城に討ち入って(攻めて)きおったのだ。それゆえ大村の後詰めが駆け合う(駆けつける)まで、我らにも後詰めを請われたのだ。かれ(そこで)、直に城に助けにいくのではなく、廻りて(迂回して)針尾島に向かい、針尾城に掛かった(攻めた)のだ」
怒りを抑えているのがわかる。
「小佐々の軍兵(軍勢)より敵との道程は近いゆえ、宗(中心)の軍兵(軍勢)はすべからく(当然)われら沢森衆となる。陸に上がりき(上陸した)我らは一気呵成に掛かり(攻め)て、あらあらしき(激しい)立て合い(抵抗)もあったが、辛くして(なんとか)抜く事(落城)能うた。然れど侮られきものよ。針尾の高(石高)なぞ、我らと小佐々衆あわせたものとそう変わらんというのに」
俺は静かに親父の解説を聞いている。古文? 古語は難しいが、なんとなく、いわんとしている事はわかる、かな。
その後、慌てた針尾軍は城攻めをやめて引き返していったようだ。
当然、城は攻めるより守るほうが簡単だ。普通だったら大村の援軍と小佐々の本隊をあわせて、勢いに乗せて針尾島に侵攻しそうなもんだが……。
「然れどこの軍(戦い・戦争)の、討ち入らるる(攻められた)大村氏は、針尾に討ち入るをいさようた(ためらった)。深掘や西郷が後ろ(背後)を押し掛く(襲う)動きをみせたゆえだ」
結局横瀬村を沢森家が、川内村を大村に割譲されることで和睦になった。しかし兄は、その攻城戦の際に流れ矢があたって死んだらしい。
横瀬村を得たとして、あまりにも大きな損失だ。小佐々氏からも嫡男が死んだこともあって、異論はでなかったようだ。
横瀬浦がうちの領地だったって事も驚きだが、兄がいたのも驚いた。
てことは結婚して子供もいるのか? この時代にきてわかったことだが、前世の知識として覚えているものは、あくまでも文字としての歴史。
この世界の知識は欠けていることのほうが多いのだ。
というかほとんど。だって別人なんだもん。これは周辺勢力や領地運営を考えると同時に、身の回りの事も整理していかなくちゃいけないな。
よくある転生ものでも、幼児や乳児に転生するものが多い。しかし中途半端に元服直後って、整合性を保つのに一苦労だな!
……あ、だから転生した時点で長男って事ね。なるほど。俺はしばらく親父の話を聞いた後、自室に戻った。
「それはいったいどういう……?」
「どうもこうもあるか! !」
そう言って親父は、机をドン! と叩いた。
「生き様の覚えを失うた(記憶喪失)とは聞いていたが、自分の兄が討ち死にした事も忘れてしまったのか!」
ええええ! なにこの急展開! 領地に兄貴に情報量多すぎ!
忘れてしまった事への怒りか、それとも兄が殺された事への恨みか、親父は複雑な感情を隠すこともなくあらわにした。
とばっちり? (前世の俺的に)
「いえ! そのような事は決して! ただ、あまりのことにて。申し訳ございませぬ」
「針尾島のやつらがの……」
何度か深呼吸をして、少し落ち着いた後に親父はポツリと話し始めた。
「そもそも(もともと)針尾島は針尾氏の所領で、北側の佐志方氏と島を巡りて争うておったが、横瀬村や川内村も針尾氏のものであった。南の八木原村や鳥加村、大串村は大村の殿さんの所領で棲み分けができとった。我らとも争いもなくな」
「ところが、だ」
机の上をとんとん、と指で叩く。
「去年の正月も開けぬ砌(頃)、さしくみに(いきなり)八木原村の天狗山城に討ち入って(攻めて)きおったのだ。それゆえ大村の後詰めが駆け合う(駆けつける)まで、我らにも後詰めを請われたのだ。かれ(そこで)、直に城に助けにいくのではなく、廻りて(迂回して)針尾島に向かい、針尾城に掛かった(攻めた)のだ」
怒りを抑えているのがわかる。
「小佐々の軍兵(軍勢)より敵との道程は近いゆえ、宗(中心)の軍兵(軍勢)はすべからく(当然)われら沢森衆となる。陸に上がりき(上陸した)我らは一気呵成に掛かり(攻め)て、あらあらしき(激しい)立て合い(抵抗)もあったが、辛くして(なんとか)抜く事(落城)能うた。然れど侮られきものよ。針尾の高(石高)なぞ、我らと小佐々衆あわせたものとそう変わらんというのに」
俺は静かに親父の解説を聞いている。古文? 古語は難しいが、なんとなく、いわんとしている事はわかる、かな。
その後、慌てた針尾軍は城攻めをやめて引き返していったようだ。
当然、城は攻めるより守るほうが簡単だ。普通だったら大村の援軍と小佐々の本隊をあわせて、勢いに乗せて針尾島に侵攻しそうなもんだが……。
「然れどこの軍(戦い・戦争)の、討ち入らるる(攻められた)大村氏は、針尾に討ち入るをいさようた(ためらった)。深掘や西郷が後ろ(背後)を押し掛く(襲う)動きをみせたゆえだ」
結局横瀬村を沢森家が、川内村を大村に割譲されることで和睦になった。しかし兄は、その攻城戦の際に流れ矢があたって死んだらしい。
横瀬村を得たとして、あまりにも大きな損失だ。小佐々氏からも嫡男が死んだこともあって、異論はでなかったようだ。
横瀬浦がうちの領地だったって事も驚きだが、兄がいたのも驚いた。
てことは結婚して子供もいるのか? この時代にきてわかったことだが、前世の知識として覚えているものは、あくまでも文字としての歴史。
この世界の知識は欠けていることのほうが多いのだ。
というかほとんど。だって別人なんだもん。これは周辺勢力や領地運営を考えると同時に、身の回りの事も整理していかなくちゃいけないな。
よくある転生ものでも、幼児や乳児に転生するものが多い。しかし中途半端に元服直後って、整合性を保つのに一苦労だな!
……あ、だから転生した時点で長男って事ね。なるほど。俺はしばらく親父の話を聞いた後、自室に戻った。
18
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』
姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ!
人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。
学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。
しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。
で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。
なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる