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溺愛(完結)
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関係者全員の処分が済んだその日の晩、私はフェリクスと2人で彼の部屋にいた。
「メイソン家は早々に各所から契約を打ち切られて不渡りを出したとのことだ」
フェリクスが言う。
「つまりお父様は破産……」
「屋敷も取られ無一文で放り出されたそうだ。グレース・メイソンはメイソン元侯爵に愛想を尽かして離縁したとのことだが今回の悪評があちこちに流れているせいでどこにも行き先がなく野垂れ死にする一歩手前だそうだ」
「そうですか」
「ユリアは無事に修道院に送り届けられた。まあそれはたいそうな暴れようだったそうだが船底に押し込められるようにして連れて行かれたらしい」
父上のことや義母上のこと、ユリアのことを聞いても不思議と心は痛まなかった。とうの昔に肉親としての情は消え失せてしまっていたのかもしれない。
「身内である父や妹にあんな仕打ち……。私のことを冷たい女だとは思わないの?」
私は隣にいるフェリクスに尋ねる。
「思うはずがない。むしろ君はとても君は我慢強いと感心すらしているほどだ。俺が君の立場ならとっくに彼らを自分の手で八つ裂きにしてしまっていただろうからな」
「ふふ、ずいぶんと物騒な王太子様ね」
「それに肉親だからと言って甘い処罰をするような人間は王太子妃の器とは到底言えない。その点君はいつだってブレずに凛としている。その姿がいつだって美しい。……自分のものにしたくてたまらなくなる」
そう言ってこちらを見つめるフェリクスと視線が絡み合う。
……ま、まずいわ。またこの間のような雰囲気になってしまいそう……!
フェリクスが無言で顔を近づけてきた。思わず声を上げてしまう。
「……え、えっと!」
「ん?」
フェリクスが動きを止める。
「そ、そういえば前から聞きたかったのですが!」
「なんだ?」
「王族の男性だけが受ける閨教育というものがあると聞いたのです。それは一体どういったものですの?」
「ぐっ?!」
私の質問にフェリクスが絶句した。
「……この状況でそんな質問をするというのは……まさか誘っているのか? いや俺としてはまったく問題ない、むしろ大歓迎というかなんというか」
「え?」
「……違うのか?」
「ど、どういう意味ですの?」
フェリクスの言っている意味がわからずに私は聞き返す。
「……まさか閨教育というものがどういうものか本当に知らないのか?」
「はい」
私の返事を聞いたフェリクスがはあと深いため息をついた。
「……やれやれ、本当に何も知らないのか。まあその質問を投げかけた相手が俺で良かったというかなんというか……」
「?」
「……まあいい。そんなに知りたいなら教えてあげよう」
そう言われて不意打ちのようにキスされた。
「……っ」
長いキスの後で唇を離したフェリクスが言う。
「閨教育とはつまり、これから俺が君にするようなことを教えられるということだ」
「へっ?!」
そのまま反論を封じられるようにまた唇を奪われた。今度はフェリクスの熱い舌が入ってきた。そのまま押し倒された。
唇を離したフェリクスが続けて言う。
「先ほどの質問はつまり、閨教育の成果を見せてみろという意味だと受け取ったが?」
「え、あの、その、私本当に知らなくて……」
「ならばこれからは知っていてもらわなければならないな。他の男に迂闊にそんな質問をされては俺が困る」
そう言ってフェリクスが私の耳にキスをする。
「……っあ、ま、待って」
「まずはそのよく動く口をふさぐことから始めなければならないな」
覆いかぶさるようにフェリクスがまた舌を絡めるキスをしてきた。心臓がドキドキして破裂しそうになる。唇が離れたと思ったら首筋にキス、そのまま鎖骨のあたりを舌で撫でられる。
「……ふ……っ」
体が熱くなって吐息が漏れる。そんな私の様子を見たフェリクスが満足げに言う。
「……これは教えがいがありそうだな」
私はそっと目を閉じて彼にすべてを任せた。
・
・
・
翌朝。
鳥のさえずりで目を覚ます。寝ぼけた頭で考える。
……ここは、一体どこだったかしら? 寮の部屋……じゃないみたい?
……なんだか体中が重くてだるいわ。どうしてかしら? 昨日そんなに激しい訓練をしたかしらね……?
はっと気がついて赤面する。昨夜の記憶が一気に思い出されて恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
寝返りをしてみるとフェリクスが隣でスゥスゥと寝息を立てていた。
その寝顔はすごく綺麗で見ているだけでドキドキしてしまう。
浴室へ行こうとそっと体を動かしたら後ろから呼び止められた。
「一体どこへ行こうとしているのかな? お姫様?」
そのまま後ろから抱き締められた。フェリクスの裸の胸が私の背中に密着する感覚があってドキリとしてしまう。
「え、えっとあのお風呂に」
「なら俺もいこう。2人で入ったらいい」
「むっ、ムリです!」
「恥ずかしがることはないだろう? 昨日はあんなに……」
フェリクスの言葉を遮るようにぱしりと胸を叩くとフェリクスがおかしそうに笑った。
「……あのくらいでこんなに照れているようではこれから心臓が持たないぞ?」
そう言われて半ば強引に唇を奪われる。彼のキスはまるで媚薬のように私の頭をぼんやりとさせてしまう。
「君をやっと俺のものにできた。……だがまだまだ足りない。何度抱いても満足できそうにないな」
……これから王太子に溺愛される日々はまだまだ続きそうだ。
「メイソン家は早々に各所から契約を打ち切られて不渡りを出したとのことだ」
フェリクスが言う。
「つまりお父様は破産……」
「屋敷も取られ無一文で放り出されたそうだ。グレース・メイソンはメイソン元侯爵に愛想を尽かして離縁したとのことだが今回の悪評があちこちに流れているせいでどこにも行き先がなく野垂れ死にする一歩手前だそうだ」
「そうですか」
「ユリアは無事に修道院に送り届けられた。まあそれはたいそうな暴れようだったそうだが船底に押し込められるようにして連れて行かれたらしい」
父上のことや義母上のこと、ユリアのことを聞いても不思議と心は痛まなかった。とうの昔に肉親としての情は消え失せてしまっていたのかもしれない。
「身内である父や妹にあんな仕打ち……。私のことを冷たい女だとは思わないの?」
私は隣にいるフェリクスに尋ねる。
「思うはずがない。むしろ君はとても君は我慢強いと感心すらしているほどだ。俺が君の立場ならとっくに彼らを自分の手で八つ裂きにしてしまっていただろうからな」
「ふふ、ずいぶんと物騒な王太子様ね」
「それに肉親だからと言って甘い処罰をするような人間は王太子妃の器とは到底言えない。その点君はいつだってブレずに凛としている。その姿がいつだって美しい。……自分のものにしたくてたまらなくなる」
そう言ってこちらを見つめるフェリクスと視線が絡み合う。
……ま、まずいわ。またこの間のような雰囲気になってしまいそう……!
フェリクスが無言で顔を近づけてきた。思わず声を上げてしまう。
「……え、えっと!」
「ん?」
フェリクスが動きを止める。
「そ、そういえば前から聞きたかったのですが!」
「なんだ?」
「王族の男性だけが受ける閨教育というものがあると聞いたのです。それは一体どういったものですの?」
「ぐっ?!」
私の質問にフェリクスが絶句した。
「……この状況でそんな質問をするというのは……まさか誘っているのか? いや俺としてはまったく問題ない、むしろ大歓迎というかなんというか」
「え?」
「……違うのか?」
「ど、どういう意味ですの?」
フェリクスの言っている意味がわからずに私は聞き返す。
「……まさか閨教育というものがどういうものか本当に知らないのか?」
「はい」
私の返事を聞いたフェリクスがはあと深いため息をついた。
「……やれやれ、本当に何も知らないのか。まあその質問を投げかけた相手が俺で良かったというかなんというか……」
「?」
「……まあいい。そんなに知りたいなら教えてあげよう」
そう言われて不意打ちのようにキスされた。
「……っ」
長いキスの後で唇を離したフェリクスが言う。
「閨教育とはつまり、これから俺が君にするようなことを教えられるということだ」
「へっ?!」
そのまま反論を封じられるようにまた唇を奪われた。今度はフェリクスの熱い舌が入ってきた。そのまま押し倒された。
唇を離したフェリクスが続けて言う。
「先ほどの質問はつまり、閨教育の成果を見せてみろという意味だと受け取ったが?」
「え、あの、その、私本当に知らなくて……」
「ならばこれからは知っていてもらわなければならないな。他の男に迂闊にそんな質問をされては俺が困る」
そう言ってフェリクスが私の耳にキスをする。
「……っあ、ま、待って」
「まずはそのよく動く口をふさぐことから始めなければならないな」
覆いかぶさるようにフェリクスがまた舌を絡めるキスをしてきた。心臓がドキドキして破裂しそうになる。唇が離れたと思ったら首筋にキス、そのまま鎖骨のあたりを舌で撫でられる。
「……ふ……っ」
体が熱くなって吐息が漏れる。そんな私の様子を見たフェリクスが満足げに言う。
「……これは教えがいがありそうだな」
私はそっと目を閉じて彼にすべてを任せた。
・
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・
翌朝。
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……ここは、一体どこだったかしら? 寮の部屋……じゃないみたい?
……なんだか体中が重くてだるいわ。どうしてかしら? 昨日そんなに激しい訓練をしたかしらね……?
はっと気がついて赤面する。昨夜の記憶が一気に思い出されて恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
寝返りをしてみるとフェリクスが隣でスゥスゥと寝息を立てていた。
その寝顔はすごく綺麗で見ているだけでドキドキしてしまう。
浴室へ行こうとそっと体を動かしたら後ろから呼び止められた。
「一体どこへ行こうとしているのかな? お姫様?」
そのまま後ろから抱き締められた。フェリクスの裸の胸が私の背中に密着する感覚があってドキリとしてしまう。
「え、えっとあのお風呂に」
「なら俺もいこう。2人で入ったらいい」
「むっ、ムリです!」
「恥ずかしがることはないだろう? 昨日はあんなに……」
フェリクスの言葉を遮るようにぱしりと胸を叩くとフェリクスがおかしそうに笑った。
「……あのくらいでこんなに照れているようではこれから心臓が持たないぞ?」
そう言われて半ば強引に唇を奪われる。彼のキスはまるで媚薬のように私の頭をぼんやりとさせてしまう。
「君をやっと俺のものにできた。……だがまだまだ足りない。何度抱いても満足できそうにないな」
……これから王太子に溺愛される日々はまだまだ続きそうだ。
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