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眠れない夜
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「私なら大丈夫だから、安心してベッドで寝て?」
「な、なにが大丈夫だと言うんだ?」
フェリクスが言う。……大丈夫、という表現がなんだかおかしかったかしら?
「と、とにかく、あなたを凍えさせるわけにはいかないわ!」
私の言葉にフェリクスは諦めたように息をつく。
「……分かった。ではベッドで寝よう。だが君には指一本触れないようにする」
やけに真剣な表情でフェリクスが宣言する。
「そんなに真剣な顔で宣言しなくても……」
「いや、君は何もわかっていない。今の俺が内心で一体どれだけ大きなものと戦っているのか……」
どうしてそんなにフェリクスが難しい顔をしているのかよくわからなかったけれど、私たち2人はおずおずとベッドに入った。
いざ2人で並んで寝てみて、自分がまったく大丈夫ではないということがわかった。
背中を向けているのに心臓のドキドキが止まらない。唇も首筋もフェリクスに触れられたところが熱を持っているみたいに熱い。
考えてみたら、フェリクスがあれだけ頑固に『床に寝る』と主張したのに無理やりベッドに誘うなんてやっぱり強引だったかしら……? い、いやだわ、べ、ベッドに誘ったなんて表現がおかしいわね! 暖をとっているだけよ。だってこうして2人でベッドに入って暖まるしかないじゃないの。
先ほどまであれこれと喋っていたフェリクスだったけれど今はすっかり静かになっている。
……眠ったのかしら?
そう思ってちらりとフェリクスの方を見ると目をしっかり開けて天井を見つめていた。
「ね、眠らないの?」
「……魔道具があるとは言え、緊急事態だからな。俺のことは心配ない。安心して休め」
そんな、さっき突然あんなことをしておいて安心して休めなんて言われても困ってしまうわ。
……というか私のほうもこの状況で眠れるのかしらね?
いっぱいいっぱいだったけれどさっきフェリクスとキス……してしまったのよね?
突然……いえでも突然でもないのかしら? だって私とフェリクスはもう婚約者なんだもの。
もしかして結婚したら毎日さっきみたいなことをするのかしら? ……む、ムリよ、絶対にムリだわ。フェリクスが嫌いとかそういうことじゃなくて、絶対に私の心臓が持たない!
あれこれ考えながらウトウトしているうちに気がつけば朝を迎えていた。
「な、なにが大丈夫だと言うんだ?」
フェリクスが言う。……大丈夫、という表現がなんだかおかしかったかしら?
「と、とにかく、あなたを凍えさせるわけにはいかないわ!」
私の言葉にフェリクスは諦めたように息をつく。
「……分かった。ではベッドで寝よう。だが君には指一本触れないようにする」
やけに真剣な表情でフェリクスが宣言する。
「そんなに真剣な顔で宣言しなくても……」
「いや、君は何もわかっていない。今の俺が内心で一体どれだけ大きなものと戦っているのか……」
どうしてそんなにフェリクスが難しい顔をしているのかよくわからなかったけれど、私たち2人はおずおずとベッドに入った。
いざ2人で並んで寝てみて、自分がまったく大丈夫ではないということがわかった。
背中を向けているのに心臓のドキドキが止まらない。唇も首筋もフェリクスに触れられたところが熱を持っているみたいに熱い。
考えてみたら、フェリクスがあれだけ頑固に『床に寝る』と主張したのに無理やりベッドに誘うなんてやっぱり強引だったかしら……? い、いやだわ、べ、ベッドに誘ったなんて表現がおかしいわね! 暖をとっているだけよ。だってこうして2人でベッドに入って暖まるしかないじゃないの。
先ほどまであれこれと喋っていたフェリクスだったけれど今はすっかり静かになっている。
……眠ったのかしら?
そう思ってちらりとフェリクスの方を見ると目をしっかり開けて天井を見つめていた。
「ね、眠らないの?」
「……魔道具があるとは言え、緊急事態だからな。俺のことは心配ない。安心して休め」
そんな、さっき突然あんなことをしておいて安心して休めなんて言われても困ってしまうわ。
……というか私のほうもこの状況で眠れるのかしらね?
いっぱいいっぱいだったけれどさっきフェリクスとキス……してしまったのよね?
突然……いえでも突然でもないのかしら? だって私とフェリクスはもう婚約者なんだもの。
もしかして結婚したら毎日さっきみたいなことをするのかしら? ……む、ムリよ、絶対にムリだわ。フェリクスが嫌いとかそういうことじゃなくて、絶対に私の心臓が持たない!
あれこれ考えながらウトウトしているうちに気がつけば朝を迎えていた。
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