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イザベラの罠3
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「……?」
イザベラの言っている意味がわからなくて私は黙った。
「ふふ、状況が理解できていないみたいね? まあいいわ。今からその体に教えてあげる」
イザベラの言葉に反応するようにルークが私の腕を掴んだ。そのまま抱き寄せられる。突然のことに驚いて私は思わず声を上げた。
「ちょ、ちょっとルーク?! あなた一体何しているの?!」
「あなたって意外と物分かりが悪いのね? だからさっき言ったじゃないの。これからルークがあなたを抱くって」
「イザベラ、あなた一体何を言ってるの?」
「あなたにはこれからルークと浮気してもらうわ。それを殿下にしっかりと見てもらわなくちゃ」
……段々とイザベラの考えていることがわかってきた。
「あなたの浮気相手がアルバートなら殿下も怪しむでしょうけど、ルークだったらどうかしらね? ルークがあなたに無理やりそんなことをするなんて殿下は考えもしないはずよ? あなたとルークが以前から親密だったのは誰もが知っていることですもの。殿下は疑念を抱くに決まっているわ」
「……なぜあなたがアルバートのことを知っているの?」
「そんなことはどうでもいい!」
イザベラが叫ぶと部屋の壁が揺れた。……今のイザベラ、どうやら相当ラリってる。
「私にはね、ルークの気持ちがよく分かるの。ルークがあなたに気持ちを寄せていることにもちろん気づいていたわよね? なのに選ばれなかった者の気持ちがあなたに分かる?」
「別にルークは私のことを本気で好きとかそんなことじゃなかったと思うけど……」
「いや俺は君を愛してる」
私を抱き締めたままのルークが言う。だけどその声色はいつものルークとは少し違って聞こえる。
「エマ……! 一体なぜなんだ?! どうして僕じゃいけない? 王太子ではないからか?!」
ルークはそう言って私の肩を掴むと強く見つめてきた。彼の目の色はやっぱりいつもと違う。魔道具のせいで感情を増幅させられているんだわ。
「ル、ルーク、正気に戻って!」
私の言葉を聞く様子もなくルークはそのまま私をベッドに押し倒してきた。
「愛しているんだ、エマ。これは魔道具のせいなんかじゃない、媚薬のせいでもない。俺は本当に君のことがずっと好きだったんだ」
違う! これはイザベラが操っている魔道具のせいよ。あの魔道具、おかしいわ。きっと人の感情を何倍にも増幅させる仕掛け。あんな魔道具一体どこで……?
考えている間にも首筋にルークの唇が触れて体がびくりと震える。
「ちょっとルーク?!」
「ふふふ、愉快だわぁ。ここからこうしてゆっくり見ていようかしらね?」
「私のことをこうして罠に嵌めたところであなたの思う通りにはならないわよ? こんなことをして後でどうなるかわかっているの? 賢いあなたにそれがわからないはずはないわよね、イザベラ?」
私はイザベラに問いかける。
「それで脅しのつもり? いずれにせよ私には未来なんてないのよ」
イザベラの声が暗く響く。
「殿下との婚約を結ぶことができなかった私がこれからどうなるかあなたにはわからないわよね? 家に戻ったら私は罰として二回りも上の変態辺境伯に嫁がされるのよ?」
私は黙って聞いている。
「あなた私のことを可哀想だと思っていらっしゃるんでしょう? だけどそんなことちょっとした出来事で簡単に入れ替わってしまうってことをあなたにその体を持って教えてあげる。明日になれば可哀想な状況になっているのは私ではなくあ・な・たですわよ?」
イザベラが恍惚とした表情を浮かべて言う。
「王太子と婚約していながらその親友であり従兄であるルークとも寝てしまうなんて、本当に破廉恥だわぁ」
イザベラのクスクス笑いが暗い室内に響き渡った。
「エマ……愛している。君はなんて可憐で可愛らしいんだ。君をフェリクスになんて渡さない、永久に俺のものにしたい……」
手首をルークに押さえつけられたままそう耳元で囁かれる。
ルークが口づけようと顔を近づけてきた。ルークの柔らかで艶やかな金髪が頬に触れる。
ルークの手が私の服にかかる。
「いやっ! やめて! ルーク! いやっ!」
「さーてゆっくり鑑賞させていただこうかしら?」
イザベラが上ずった声で言う。
「いやぁぁぁぁっっっ!……なーんて……ふふっふふふっ」
「……?」
「あはは、あはは」
突然笑い声をあげ始めた私にイザベラが言う。
「あーら? 今からルークに犯される恐怖でとうとう錯乱してしまったのかしら? お可哀想に」
「ふふふ……イザベラ様の発想って本当に……なんと言いますか……」
「……なにかしら?」
この状況に不釣り合いなくすくす笑いを続ける私にイザベラがイライラし始めているのがわかる。
「いえ……その、イザベラ様の発想って本当にいかにも処女! でいらっしゃいますのねぇ!」
「なっ、なんですって?!」
「ルークに襲われている私の悲鳴を聞いて興奮されるだなんて、イザベラ様ったら上品そうなお顔をして実は相当なムッツリでいらっしゃるのねぇ?」
そう言って私はさらにトーンを上げて大笑いしてやった。
「うふふ……あはは……イザベラ様、あなたってやっぱり本当に殿方に愛された経験が全くないのね? 男性というものをまるで分かっていらっしゃらないみたい」
「……はあ?」
イザベラがぶちギレているのが声色だけでよくわかった。
イザベラが気を乱したせいかルークも気を失ったように動きを止めた。……やっぱりルークはイザベラに魔道具で操られているみたいね。
イザベラの言っている意味がわからなくて私は黙った。
「ふふ、状況が理解できていないみたいね? まあいいわ。今からその体に教えてあげる」
イザベラの言葉に反応するようにルークが私の腕を掴んだ。そのまま抱き寄せられる。突然のことに驚いて私は思わず声を上げた。
「ちょ、ちょっとルーク?! あなた一体何しているの?!」
「あなたって意外と物分かりが悪いのね? だからさっき言ったじゃないの。これからルークがあなたを抱くって」
「イザベラ、あなた一体何を言ってるの?」
「あなたにはこれからルークと浮気してもらうわ。それを殿下にしっかりと見てもらわなくちゃ」
……段々とイザベラの考えていることがわかってきた。
「あなたの浮気相手がアルバートなら殿下も怪しむでしょうけど、ルークだったらどうかしらね? ルークがあなたに無理やりそんなことをするなんて殿下は考えもしないはずよ? あなたとルークが以前から親密だったのは誰もが知っていることですもの。殿下は疑念を抱くに決まっているわ」
「……なぜあなたがアルバートのことを知っているの?」
「そんなことはどうでもいい!」
イザベラが叫ぶと部屋の壁が揺れた。……今のイザベラ、どうやら相当ラリってる。
「私にはね、ルークの気持ちがよく分かるの。ルークがあなたに気持ちを寄せていることにもちろん気づいていたわよね? なのに選ばれなかった者の気持ちがあなたに分かる?」
「別にルークは私のことを本気で好きとかそんなことじゃなかったと思うけど……」
「いや俺は君を愛してる」
私を抱き締めたままのルークが言う。だけどその声色はいつものルークとは少し違って聞こえる。
「エマ……! 一体なぜなんだ?! どうして僕じゃいけない? 王太子ではないからか?!」
ルークはそう言って私の肩を掴むと強く見つめてきた。彼の目の色はやっぱりいつもと違う。魔道具のせいで感情を増幅させられているんだわ。
「ル、ルーク、正気に戻って!」
私の言葉を聞く様子もなくルークはそのまま私をベッドに押し倒してきた。
「愛しているんだ、エマ。これは魔道具のせいなんかじゃない、媚薬のせいでもない。俺は本当に君のことがずっと好きだったんだ」
違う! これはイザベラが操っている魔道具のせいよ。あの魔道具、おかしいわ。きっと人の感情を何倍にも増幅させる仕掛け。あんな魔道具一体どこで……?
考えている間にも首筋にルークの唇が触れて体がびくりと震える。
「ちょっとルーク?!」
「ふふふ、愉快だわぁ。ここからこうしてゆっくり見ていようかしらね?」
「私のことをこうして罠に嵌めたところであなたの思う通りにはならないわよ? こんなことをして後でどうなるかわかっているの? 賢いあなたにそれがわからないはずはないわよね、イザベラ?」
私はイザベラに問いかける。
「それで脅しのつもり? いずれにせよ私には未来なんてないのよ」
イザベラの声が暗く響く。
「殿下との婚約を結ぶことができなかった私がこれからどうなるかあなたにはわからないわよね? 家に戻ったら私は罰として二回りも上の変態辺境伯に嫁がされるのよ?」
私は黙って聞いている。
「あなた私のことを可哀想だと思っていらっしゃるんでしょう? だけどそんなことちょっとした出来事で簡単に入れ替わってしまうってことをあなたにその体を持って教えてあげる。明日になれば可哀想な状況になっているのは私ではなくあ・な・たですわよ?」
イザベラが恍惚とした表情を浮かべて言う。
「王太子と婚約していながらその親友であり従兄であるルークとも寝てしまうなんて、本当に破廉恥だわぁ」
イザベラのクスクス笑いが暗い室内に響き渡った。
「エマ……愛している。君はなんて可憐で可愛らしいんだ。君をフェリクスになんて渡さない、永久に俺のものにしたい……」
手首をルークに押さえつけられたままそう耳元で囁かれる。
ルークが口づけようと顔を近づけてきた。ルークの柔らかで艶やかな金髪が頬に触れる。
ルークの手が私の服にかかる。
「いやっ! やめて! ルーク! いやっ!」
「さーてゆっくり鑑賞させていただこうかしら?」
イザベラが上ずった声で言う。
「いやぁぁぁぁっっっ!……なーんて……ふふっふふふっ」
「……?」
「あはは、あはは」
突然笑い声をあげ始めた私にイザベラが言う。
「あーら? 今からルークに犯される恐怖でとうとう錯乱してしまったのかしら? お可哀想に」
「ふふふ……イザベラ様の発想って本当に……なんと言いますか……」
「……なにかしら?」
この状況に不釣り合いなくすくす笑いを続ける私にイザベラがイライラし始めているのがわかる。
「いえ……その、イザベラ様の発想って本当にいかにも処女! でいらっしゃいますのねぇ!」
「なっ、なんですって?!」
「ルークに襲われている私の悲鳴を聞いて興奮されるだなんて、イザベラ様ったら上品そうなお顔をして実は相当なムッツリでいらっしゃるのねぇ?」
そう言って私はさらにトーンを上げて大笑いしてやった。
「うふふ……あはは……イザベラ様、あなたってやっぱり本当に殿方に愛された経験が全くないのね? 男性というものをまるで分かっていらっしゃらないみたい」
「……はあ?」
イザベラがぶちギレているのが声色だけでよくわかった。
イザベラが気を乱したせいかルークも気を失ったように動きを止めた。……やっぱりルークはイザベラに魔道具で操られているみたいね。
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