17 / 56
ユリアの思惑(メイソン家次女 ユリア視点)
しおりを挟む
魔法学園に入学したのはいいけれど、まさかよりによってこんなところであの女と再会するなんて。
姉と呼ぶのも腹立たしいあの穀潰しのマリアベル。なんでも魔法学園内では偽名の『エマ』なんて貧乏くさい名前を語っているみたい。
行方をさがしていたからこうして見つかったのは良かったけれど、魔法学園であの女、随分とちやほやされてるみたいじゃない。ほんといつだってマリアベルって目障りな女。
学園のみんながルーク様とフェリクスとかいうあの陰キャ貴族がエマを取り合っていると噂している。まったくもって馬鹿馬鹿しいったらないわ。
ルーク様は身を挺してあの女を魔獣フェンリルから守ったんですって。もしこのままあの女がルーク様とくっつくようなことがあったらあの女が王太子妃ですって? ありえない。絶対にありえないわ。
まあでも考えようによってはあの女がルーク様と親しいのは好都合よね? 妹ってことで私も簡単にルーク様に近づけるってことだもの。大体王太子であるルーク様が、あんな女に本気で夢中になるはずがないじゃない。
単に光魔法の所持者だからって理由でしょう? あるいはあんな下品な女を見たことがなかったから物珍しさで興味を持っているのかもしれないわね。
私が本気を出したらマリアベルから男を奪うのなんて簡単なことだもの。
それにね、私ってやっぱり神様に愛されているのかしら。
だって実は私もほんの数日前、光魔法の才能が開花してしまったみたいなんですもの。
もしかしたら血筋のせいもあるのかもしれないわね。認めるのもおぞましいけれど、あの女と私とは一応半分は血がつながっているんですもの。代々メイソン家の一族は代々光魔法保持者の多い家系だったと聞いているからきっとそのせいね。
このことをルーク様に伝えたら、一体どんな顔をするかしら? あっという間にあの女から私へと関心が移るに決まっているわ。
邸にいる間、魔法が一切使えなかったあの女が光魔法に目覚めたからって大したことないに決まっているもの。私のほうが光魔法保持者として優秀だってことをわかってもらわなきゃ。
そうなれば王太子妃にふさわしいのは私だってことをきっとわかってもらえるわよね?
ルーク様って初めて実物を見たけれど、本当にタイプだわ……。長身細身でスタイルはいいし、目鼻立ちは上品で美しい、色素の薄い髪が綺麗で物腰も素敵。
アルバートなんかと結婚して人生が終わらなくて本当に良かったわ。私の運命の人はルーク様だったのよ。
そうだわ。せっかくマリアベルが見つかったんだから元婚約者のアルバートにも知らせてあげなくちゃ。あいつったら私が婚約破棄するなり、やっぱりマリアベルじゃないとダメだのなんだの、本当にくだらない男。
だけどそんなにマリアベルを愛しているのなら居場所を知らせてあげないと可哀想よねえ。マリアベルもアルバートから婚約を破棄されて傷心で家を飛び出すくらいだからきっとものすごく愛していたに違いないわよね?
アルバートと再会できたらきっと涙を流して喜ぶに違いないわ。
あー私ったらなんて姉孝行な妹なのかしら。
こうしてはいられないわ。急いでアーノルドに手紙を出さなくちゃ。
姉と呼ぶのも腹立たしいあの穀潰しのマリアベル。なんでも魔法学園内では偽名の『エマ』なんて貧乏くさい名前を語っているみたい。
行方をさがしていたからこうして見つかったのは良かったけれど、魔法学園であの女、随分とちやほやされてるみたいじゃない。ほんといつだってマリアベルって目障りな女。
学園のみんながルーク様とフェリクスとかいうあの陰キャ貴族がエマを取り合っていると噂している。まったくもって馬鹿馬鹿しいったらないわ。
ルーク様は身を挺してあの女を魔獣フェンリルから守ったんですって。もしこのままあの女がルーク様とくっつくようなことがあったらあの女が王太子妃ですって? ありえない。絶対にありえないわ。
まあでも考えようによってはあの女がルーク様と親しいのは好都合よね? 妹ってことで私も簡単にルーク様に近づけるってことだもの。大体王太子であるルーク様が、あんな女に本気で夢中になるはずがないじゃない。
単に光魔法の所持者だからって理由でしょう? あるいはあんな下品な女を見たことがなかったから物珍しさで興味を持っているのかもしれないわね。
私が本気を出したらマリアベルから男を奪うのなんて簡単なことだもの。
それにね、私ってやっぱり神様に愛されているのかしら。
だって実は私もほんの数日前、光魔法の才能が開花してしまったみたいなんですもの。
もしかしたら血筋のせいもあるのかもしれないわね。認めるのもおぞましいけれど、あの女と私とは一応半分は血がつながっているんですもの。代々メイソン家の一族は代々光魔法保持者の多い家系だったと聞いているからきっとそのせいね。
このことをルーク様に伝えたら、一体どんな顔をするかしら? あっという間にあの女から私へと関心が移るに決まっているわ。
邸にいる間、魔法が一切使えなかったあの女が光魔法に目覚めたからって大したことないに決まっているもの。私のほうが光魔法保持者として優秀だってことをわかってもらわなきゃ。
そうなれば王太子妃にふさわしいのは私だってことをきっとわかってもらえるわよね?
ルーク様って初めて実物を見たけれど、本当にタイプだわ……。長身細身でスタイルはいいし、目鼻立ちは上品で美しい、色素の薄い髪が綺麗で物腰も素敵。
アルバートなんかと結婚して人生が終わらなくて本当に良かったわ。私の運命の人はルーク様だったのよ。
そうだわ。せっかくマリアベルが見つかったんだから元婚約者のアルバートにも知らせてあげなくちゃ。あいつったら私が婚約破棄するなり、やっぱりマリアベルじゃないとダメだのなんだの、本当にくだらない男。
だけどそんなにマリアベルを愛しているのなら居場所を知らせてあげないと可哀想よねえ。マリアベルもアルバートから婚約を破棄されて傷心で家を飛び出すくらいだからきっとものすごく愛していたに違いないわよね?
アルバートと再会できたらきっと涙を流して喜ぶに違いないわ。
あー私ったらなんて姉孝行な妹なのかしら。
こうしてはいられないわ。急いでアーノルドに手紙を出さなくちゃ。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
いつの間にかの王太子妃候補
しろねこ。
恋愛
婚約者のいる王太子に恋をしてしまった。
遠くから見つめるだけ――それだけで良かったのに。
王太子の従者から渡されたのは、彼とのやり取りを行うための通信石。
「エリック様があなたとの意見交換をしたいそうです。誤解なさらずに、これは成績上位者だけと渡されるものです。ですがこの事は内密に……」
話す内容は他国の情勢や文化についてなど勉強についてだ。
話せるだけで十分幸せだった。
それなのに、いつの間にか王太子妃候補に上がってる。
あれ?
わたくしが王太子妃候補?
婚約者は?
こちらで書かれているキャラは他作品でも出ています(*´ω`*)
アナザーワールド的に見てもらえれば嬉しいです。
短編です、ハピエンです(強調)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます。

傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ
悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。
残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。
そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。
だがーー
月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。
やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。
それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
待鳥園子
恋愛
―――申し訳ありません。実は期限付きのお飾り婚約者なんです。―――
とある事情で王妃より依頼され多額の借金の返済や幼い弟の爵位を守るために、王太子ギャレットの婚約者を一時的に演じることになった貧乏侯爵令嬢ローレン。
最初はどうせ金目当てだろうと険悪な対応をしていたギャレットだったが、偶然泣いているところを目撃しローレンを気になり惹かれるように。
だが、ギャレットの本来の婚約者となるはずの令嬢や、成功報酬代わりにローレンの婚約者となる大富豪など、それぞれの思惑は様々入り乱れて!?
訳あって期限付きの婚約者を演じているはずの塩対応令嬢が、彼女を溺愛したくて堪らない脳筋王子様を悪気なく胸キュン対応でオーバーキルしていく恋物語。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。

氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる