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第5章 勇気
第19話 国王を呼ぶ声
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◆◇◆◇★◇◆◇
相手が動揺した隙をつくなんて、本当なら避けてしかるべき一手なんだろうけど……
でも、あれを逃せば自分が危なかった。
「勝負あり! 双方、剣を収めよ!」
コーヒーミルの宣告を受け、フィオは勇気の剣を鞘に収めた。
剣はそのまま手の中で簪へと戻っていた。
フィオは母の形見である簪を握りしめた。
今までずっと、あたしと一緒にいてくれたんだね。
……ありがとう。
あたしに、勇気をくれて。
頭のお団子に簪を戻したフィオは、絨毯の上に落ちた剣を拾い上げたクレソンに軽く一礼した。
クレソンもまた、剣を鞘に収めてからフィオに一礼し、顔を上げた。
いつもの無表情かと思いきや、その顔は晴れ晴れとした明るいものだった。
……ああ、やっぱり。
この人も、血の通った人間なんだ。
ほっとしたフィオは、さっそくクレソンに目線でグリシーヌ国王のもとへ行くよう促した。
クレソンも「もちろんです」と言いたそうに頷き、玉座へと歩いていった。
しかし……
グリシーヌ国王は、そんなクレソンの様子を横目で窺いつつ、苦い顔をしていた。
どうやら、スパイス帝国を敵に回すことに抵抗があるらしい。
えええ、どうしてですか、国王陛下。
あたしがクレソンに勝ったから、この国はもう戦争に巻き込まれずにすむのに……
と、そこまで口から出そうになったフィオは、ようやくグリシーヌ国王の考えに思い至った。
ああ、そうか。
スパイス帝国にいるのは、あたしの意見を聞いてくれたクレソンみたいな人たちばかりじゃない。
ここで中立を宣言しても、スパイス帝国のもっと悪い奴が攻めて来たら、間違いなくこの国は戦場になる。
あたしたちの戦いも、中立の宣言も、意味がなくなってしまうんだ……
「……」
玉座には、俯いたままのグリシーヌ国王。
傍に控えたものの、黙ったままのクレソン。
そして、為す術もないフィオ・マリア。
……壁際には、いつの間に集まったのか、同じ伝説の剣に選ばれし者たちが並んでいた。
コーヒーミルから事情を説明されたのだろうが、皆フィオと同じように困った顔で固まっている。
ああ、どうしよう。
ここから先の作戦はもうない。
このままじゃ、本当に戦争になっちゃうよ!
フィオは唇を噛み締めた。
……だれもが手を尽しきった、そのときだった。
「グリシーヌ!」
謁見の間の外から、国王の名を叫ぶ声が聞こえてきた。
かなり切羽詰まった声だが、まだ少しこの謁見の間までは距離があるらしい。
扉の向こうからは、声の主が廊下を駆けて来る足音が聞こえる。
いったい何事かと思いつつ、フィオは怪訝な顔で首を傾げた。
このリーヴル城には、王族はふたりしか住んでいない。
目の前にいるグリシーヌ国王と、その息子であるウルス王子である。
息子のウルス王子が父親を呼び捨てにするわけがなく、城内の使用人に至っては言わずもがな……
ではいったい、だれが国王の名を叫んだのか。
仲間たちの顔を見ると、背の高い眼鏡の青年だけがフィオと同じように怪訝な顔をしていた。
どうやら、彼だけがフィオと同じ疑問を抱いているらしい。
フィオは心の中で「ですよね」と頷きながらも、すでに声の主の正体には気がついていた。
聞き馴染んだ声だもん、すぐにわかっちゃった。
でも……
それしかわからないんだよねぇ……
フィオが扉に視線を移した、そのとき。
「グリシーヌ! いいかげん目を覚ませ!」
謁見の間の扉が勢いよく押し開かれ、声の主が中に飛び込んできた。
焦げ茶色のフサフサの髪、糸のように細い目……
それは、紛れもなくフィオの父、宿屋ノヴァンヴルの主人ラモーであった。
「父さん! なんでこんなところに……」
そこまで口にしてから、フィオは自分がここまで来た道のりを思い出した。
そうだ、うちの宿屋には、リーヴル城の地下へ続く抜け道があるんだった。
なんでそんなものが、下町の宿屋にあるのか……
理由を聞こうと思ったのに、
『話せば長くなるぞ。それに……行けばわかるかもしれないしな』
って、父さんにはぐらかされたんだった。
やっと教えてもらえるのかな……
そう思ったフィオだったが、ラモーには驚くフィオが見えていないらしい。
そのまま絨毯の上を進むと、グリシーヌ国王の前に立ちはだかり、挨拶もなしに話し始めた。
「グリシーヌ、いったい何を恐れている? あのとき『戦争のない平和な国にしてみせる』と息巻いていたお前が……なぜ自信を持って『この国は中立である』と宣言しないんだ!」
「……」
熱弁するラモーに、玉座のグリシーヌ国王は返す言葉もないまま俯いていた。
それはまるで、ラモーに向かって頭を下げて謝罪しているように見えた。
もちろん、フィオは気が気ではなかった。
しがない下町に暮らす宿屋の主人が、あろうことか一国の主に向かって声を荒らげている……
そんな異様な光景を前に、フィオは慌てて父とグリシーヌ国王の間に割って入った。
「父さん! さっきから何言ってるの!? あたし、もう何がなんだか……」
それ以上は言葉が続かないフィオに、ラモーは目を伏せた。
焦げ茶色の髪をかきむしり、ラモーは顔を上げて一息に言い切った。
「フィオ、今まで黙っていて悪かった。実は、父さんとグリシーヌは……従兄弟なんだ」
「……は? い、いとこ?」
それって、つまり……
親戚ってこと……?
フィオは改めて、しげしげとグリシーヌ国王を見つめた。
白いものが混じったクセのある豊かな黒髪に、糸のように細い目……
ラモーとは髪の色こそ違えど、目元や髪の毛のクセまでよく似ている。
どうやら、従兄弟だというのは本当らしい。
「フィオの祖父さん……つまり、俺の父さんとグリシーヌの母さんが兄妹で、俺とグリシーヌは従兄弟ってわけだ」
「な、なるほど……」
「まあ母方の血筋だから、俺とフィオには王家の血は流れてないんだ。残念だったな」
こんな状況でも、ラモーは愉快に笑ってみせた。
まったく父さんてば、それどころじゃないことばっかりだっていうのに……
ラモーの説明に、フィオはグリシーヌ国王と初めて出会ったときのことを思い出した。
廊下で遠くから見ただけだったけど、何となく父さんと雰囲気が似てると思ったんだよね。
あれは、気のせいじゃなかったんだ。
「グリシーヌは、内乱で命を狙われないよう、ピエ王国第11代国王ボーの子孫だってことを隠して下町で暮らしていた……俺も驚いたよ、グリシーヌの左腕に太陽の形の痣があると知ったときはな」
「……」
ヌフ=ブラゾン王国の前身であるピエ王国、その第11代国王ボーは、母親の一族から不思議な力を受け継いだ特殊な国王だった。
そして、彼の血を継ぐ者は、その証として左腕に太陽の痣を持つといわれている……
「王位継承者が正式に決定されず、ピエ王国は荒れ果てていた。そこでグリシーヌは城へと向かい、左腕の痣を見せて隠していた身分を明かしたんだ。そして、無事に第11代国王ボーの子孫だということが認められ、グリシーヌは新国王となった」
「……」
「そのとき、俺はグリシーヌと縁を切った。よりよい国を目指し、国名まで変える覚悟で身分を明かした奴が、荒んだ下町の人間と親しくしてたんじゃ、国民に示しがつかないだろう。それになにより、グリシーヌ自身の出自が疑われると思ったんだ」
それまでの冗談めかした口調から一転して、ラモーは真剣に自分のことと従兄弟のことを話して聞かせてくれた。
その初めて聞く説明に、フィオは瞬きも忘れて聞き入っていた。
今まで父が自らのことをあまり話そうとしなかった理由がわかって、なんだかスッキリした気分だった。
つづく
相手が動揺した隙をつくなんて、本当なら避けてしかるべき一手なんだろうけど……
でも、あれを逃せば自分が危なかった。
「勝負あり! 双方、剣を収めよ!」
コーヒーミルの宣告を受け、フィオは勇気の剣を鞘に収めた。
剣はそのまま手の中で簪へと戻っていた。
フィオは母の形見である簪を握りしめた。
今までずっと、あたしと一緒にいてくれたんだね。
……ありがとう。
あたしに、勇気をくれて。
頭のお団子に簪を戻したフィオは、絨毯の上に落ちた剣を拾い上げたクレソンに軽く一礼した。
クレソンもまた、剣を鞘に収めてからフィオに一礼し、顔を上げた。
いつもの無表情かと思いきや、その顔は晴れ晴れとした明るいものだった。
……ああ、やっぱり。
この人も、血の通った人間なんだ。
ほっとしたフィオは、さっそくクレソンに目線でグリシーヌ国王のもとへ行くよう促した。
クレソンも「もちろんです」と言いたそうに頷き、玉座へと歩いていった。
しかし……
グリシーヌ国王は、そんなクレソンの様子を横目で窺いつつ、苦い顔をしていた。
どうやら、スパイス帝国を敵に回すことに抵抗があるらしい。
えええ、どうしてですか、国王陛下。
あたしがクレソンに勝ったから、この国はもう戦争に巻き込まれずにすむのに……
と、そこまで口から出そうになったフィオは、ようやくグリシーヌ国王の考えに思い至った。
ああ、そうか。
スパイス帝国にいるのは、あたしの意見を聞いてくれたクレソンみたいな人たちばかりじゃない。
ここで中立を宣言しても、スパイス帝国のもっと悪い奴が攻めて来たら、間違いなくこの国は戦場になる。
あたしたちの戦いも、中立の宣言も、意味がなくなってしまうんだ……
「……」
玉座には、俯いたままのグリシーヌ国王。
傍に控えたものの、黙ったままのクレソン。
そして、為す術もないフィオ・マリア。
……壁際には、いつの間に集まったのか、同じ伝説の剣に選ばれし者たちが並んでいた。
コーヒーミルから事情を説明されたのだろうが、皆フィオと同じように困った顔で固まっている。
ああ、どうしよう。
ここから先の作戦はもうない。
このままじゃ、本当に戦争になっちゃうよ!
フィオは唇を噛み締めた。
……だれもが手を尽しきった、そのときだった。
「グリシーヌ!」
謁見の間の外から、国王の名を叫ぶ声が聞こえてきた。
かなり切羽詰まった声だが、まだ少しこの謁見の間までは距離があるらしい。
扉の向こうからは、声の主が廊下を駆けて来る足音が聞こえる。
いったい何事かと思いつつ、フィオは怪訝な顔で首を傾げた。
このリーヴル城には、王族はふたりしか住んでいない。
目の前にいるグリシーヌ国王と、その息子であるウルス王子である。
息子のウルス王子が父親を呼び捨てにするわけがなく、城内の使用人に至っては言わずもがな……
ではいったい、だれが国王の名を叫んだのか。
仲間たちの顔を見ると、背の高い眼鏡の青年だけがフィオと同じように怪訝な顔をしていた。
どうやら、彼だけがフィオと同じ疑問を抱いているらしい。
フィオは心の中で「ですよね」と頷きながらも、すでに声の主の正体には気がついていた。
聞き馴染んだ声だもん、すぐにわかっちゃった。
でも……
それしかわからないんだよねぇ……
フィオが扉に視線を移した、そのとき。
「グリシーヌ! いいかげん目を覚ませ!」
謁見の間の扉が勢いよく押し開かれ、声の主が中に飛び込んできた。
焦げ茶色のフサフサの髪、糸のように細い目……
それは、紛れもなくフィオの父、宿屋ノヴァンヴルの主人ラモーであった。
「父さん! なんでこんなところに……」
そこまで口にしてから、フィオは自分がここまで来た道のりを思い出した。
そうだ、うちの宿屋には、リーヴル城の地下へ続く抜け道があるんだった。
なんでそんなものが、下町の宿屋にあるのか……
理由を聞こうと思ったのに、
『話せば長くなるぞ。それに……行けばわかるかもしれないしな』
って、父さんにはぐらかされたんだった。
やっと教えてもらえるのかな……
そう思ったフィオだったが、ラモーには驚くフィオが見えていないらしい。
そのまま絨毯の上を進むと、グリシーヌ国王の前に立ちはだかり、挨拶もなしに話し始めた。
「グリシーヌ、いったい何を恐れている? あのとき『戦争のない平和な国にしてみせる』と息巻いていたお前が……なぜ自信を持って『この国は中立である』と宣言しないんだ!」
「……」
熱弁するラモーに、玉座のグリシーヌ国王は返す言葉もないまま俯いていた。
それはまるで、ラモーに向かって頭を下げて謝罪しているように見えた。
もちろん、フィオは気が気ではなかった。
しがない下町に暮らす宿屋の主人が、あろうことか一国の主に向かって声を荒らげている……
そんな異様な光景を前に、フィオは慌てて父とグリシーヌ国王の間に割って入った。
「父さん! さっきから何言ってるの!? あたし、もう何がなんだか……」
それ以上は言葉が続かないフィオに、ラモーは目を伏せた。
焦げ茶色の髪をかきむしり、ラモーは顔を上げて一息に言い切った。
「フィオ、今まで黙っていて悪かった。実は、父さんとグリシーヌは……従兄弟なんだ」
「……は? い、いとこ?」
それって、つまり……
親戚ってこと……?
フィオは改めて、しげしげとグリシーヌ国王を見つめた。
白いものが混じったクセのある豊かな黒髪に、糸のように細い目……
ラモーとは髪の色こそ違えど、目元や髪の毛のクセまでよく似ている。
どうやら、従兄弟だというのは本当らしい。
「フィオの祖父さん……つまり、俺の父さんとグリシーヌの母さんが兄妹で、俺とグリシーヌは従兄弟ってわけだ」
「な、なるほど……」
「まあ母方の血筋だから、俺とフィオには王家の血は流れてないんだ。残念だったな」
こんな状況でも、ラモーは愉快に笑ってみせた。
まったく父さんてば、それどころじゃないことばっかりだっていうのに……
ラモーの説明に、フィオはグリシーヌ国王と初めて出会ったときのことを思い出した。
廊下で遠くから見ただけだったけど、何となく父さんと雰囲気が似てると思ったんだよね。
あれは、気のせいじゃなかったんだ。
「グリシーヌは、内乱で命を狙われないよう、ピエ王国第11代国王ボーの子孫だってことを隠して下町で暮らしていた……俺も驚いたよ、グリシーヌの左腕に太陽の形の痣があると知ったときはな」
「……」
ヌフ=ブラゾン王国の前身であるピエ王国、その第11代国王ボーは、母親の一族から不思議な力を受け継いだ特殊な国王だった。
そして、彼の血を継ぐ者は、その証として左腕に太陽の痣を持つといわれている……
「王位継承者が正式に決定されず、ピエ王国は荒れ果てていた。そこでグリシーヌは城へと向かい、左腕の痣を見せて隠していた身分を明かしたんだ。そして、無事に第11代国王ボーの子孫だということが認められ、グリシーヌは新国王となった」
「……」
「そのとき、俺はグリシーヌと縁を切った。よりよい国を目指し、国名まで変える覚悟で身分を明かした奴が、荒んだ下町の人間と親しくしてたんじゃ、国民に示しがつかないだろう。それになにより、グリシーヌ自身の出自が疑われると思ったんだ」
それまでの冗談めかした口調から一転して、ラモーは真剣に自分のことと従兄弟のことを話して聞かせてくれた。
その初めて聞く説明に、フィオは瞬きも忘れて聞き入っていた。
今まで父が自らのことをあまり話そうとしなかった理由がわかって、なんだかスッキリした気分だった。
つづく
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