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第1章 真実
第5話 味方の助け船
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★◇◆◇◆◇◆◇
「……危ないところでしたね。ああ、安心してください。私はあなたの味方です」
壁穴が閉じられると、もう何も見えない。
そんな暗闇の中で、声だけが聞こえる。
どうやら、若い男性らしい。
この人は、いったいだれなんだろう……
ぼくの味方……?
信じてもいいんだろうか。
ターメリックが頭に疑問符を載せている間にも、声の主は暗闇の中でごそごそと動いている。
「ちょっと待ってくださいね……確か、ここをこうして……」
少しカビ臭い空間に、ガタンガタンとまるで引越しでもしているかのような忙しない音が響く。
宮殿の廊下側からは、兵士や剣士たちの、獲物を見失って戸惑う声が小さく聞こえていた。
彼らは、この場所のことを知らないんだ……
それじゃあやっぱり、この人のことは信じてもいいみたいだな。
ターメリックが姿の見えない味方に信頼を寄せ始めた、そのとき。
「……よし、開いた。ターメリックさん、どうぞ。ここから外へ出られますよ」
壁の軋む音が暗闇に響いて、うっすらと光が差し込んできた。
扉が重たいせいだろう、最初はゆっくりと明るくなっていった空間だったが、次の瞬間には目の前に光が弾けていた。
「……」
眩しい……っ!
ターメリックは固く目を閉じた。
目からの情報がなくなったおかげで、耳が鋭敏になったのかもしれない。
遠くから、微かに音が聞こえてきた。
これは……
「波の音……?」
目を開けた先で、真っ白だった世界が徐々に色づき始めた。
午前中の明るい太陽が照らすのは、透き通った美しい海と、キラキラと輝くやわらかな砂浜だった。
ここは、スパイス帝国の宮殿裏に広がる浜辺。
その名も……
「朝日の浜辺ですよ、ターメリックさん。宮殿内からここへ出られる抜け道は、今のところ私しか知りませんから、時間稼ぎぐらいにはなるかと思います」
宮殿の裏は、モンド大陸の東岸。
そこに広がる広大な浜辺は、朝日の浜辺と呼ばれている。
日の光が差し込んできたおかげで壁穴の中が明るくなり、ターメリックはようやく「味方」の姿を見ることができた。
なんと彼は、兵士団の制服を着た兵士だった。
「申し訳ありません、ターメリックさん。盗み聞きするつもりはなかったのですが……サフラン外交官とのお話は、すべて地下牢の入り口で聞かせていただきました。この先の岩陰に小船がつないであります。食料なども詰め込んでありますから、使ってください」
味方だと名乗った兵士は、これから重大な任務を遂行しなければいけないターメリックよりも、自分の使命に意気込んでいるようだった。
どうしてそこまでぼくのことを……?
というか、この人兵士だよね?
兵士も剣士も、ぼく以外はみんなカイエンの命令に従って動いているんじゃなかったっけ?
ターメリックの頭の中を、光の速さで疑問が駆け巡る。
何から尋ねるべきか散々迷った結果、口をついて出たのが、
「えっと……あなたは、カイエンの手下ではないのですか……?」
そんな、少し失礼にも聞こえる質問だった。
それでも兵士は嫌な顔ひとつせず、困った顔のターメリックに首を振ってみせた。
「いえいえ、違うんですよ。兵士団の中には、私と同じようにカイエンに反発する者もいるのです。ほかの兵士たちは城下町に潜伏していますよ」
「へぇ……あ、あなたは?」
「私はいつもどおり、門前で仕事をしていましたよ。様子を見に行ったところ、ターメリックさんを助けることになりました」
ん……?
門前で仕事……?
「……あっ!」
この人は……!
目を丸くするターメリックに、兵士は困ったように笑った。
「なんだ、てっきり気づいていらっしゃるものと思っていましたよ」
「あはは……ごめんなさい」
いやいや、気がつけないですよ!
だって、声を聞くのも初めてだったんですから!
……と、声には出さないけれど言い訳するターメリックである。
いつも門前で黙って立っているだけだった兵士は、こうして見るとターメリックとさほど年齢は変わらないようだ。
思ったよりも低い声なんだなぁと、能天気なターメリックは自分の置かれた状況も忘れて、そんなことを考えていた。
「今朝いただいた、たまごサンド……とても美味しかったです。ご馳走様でした」
「あ、喜んでもらえて良かったです!」
「もしかして、ターメリックさんの手作りですか?」
「えっと、あれは……」
この機会にパン屋さんの常連客を増やそうと、細かく説明しようとしたターメリックだったが、壁の向こうから隠し扉を探すように叩く音が聞こえてきて口をつぐんだ。
……ここが見つかるのも時間の問題だろう。
不安で顔が引き攣る。
そんなターメリックに、兵士は穏やかな、それでいて決意に満ちた声をかけてくれた。
「ターメリックさん、この国のことは我々におまかせください。世界を巻き込む戦争など、たとえどんな理由があろうと起こしては……起きてはいけないんです」
「……」
この兵士もターメリックと同じように、戦争を経験したことはないはずだ。
それでも、どれほど悲惨なものかは知っている。
何より悲惨なことは、犠牲となるのが常に弱い立場の者たちであるということも……
戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しいということも……
だからこそ、始めさせてはいけない。
ここで食い止めなければならない。
その思いは、神話を信じきれていないクリスタン教徒だろうと、皇帝陛下を神と崇めるスパイス帝国の兵士だろうと変わらない。
「さあ、ターメリックさん。早くクリスタニアへ向かってください」
兵士に送り出されるまま、ターメリックは壁穴から外へと踏み出した。
カラリと晴れ渡った空の下、暖かな南風が黄色の髪を揺らして吹き抜けていく。
振り向いた先で壁穴を閉じようとしていた兵士に、ターメリックはどうしても伝えたいことがあって口を開いていた。
「あの……今朝のたまごサンドのお礼なら、パン屋のおかみさんのローズマリーさんという人に言ってあげてください。きっと喜んでくれます」
その一言に兵士は微笑んで頷くと、静かに壁穴を閉じた。
外側から見ると壁に継ぎ目は見当たらず、ターメリックにはもう、どこがどう開くのかわからなかった。
遠くから聞こえる波の音、鼻に抜ける潮の香り……
真上へ昇り切ろうとする太陽が、砂浜を行くターメリックを照らしていた。
柔らかな砂浜は、踏みしめると足が埋まり、思ったより体力を取られてしまう。
鉱山のあるスパイス帝国に、唯一ありのままの自然が残っている場所。
それがモンド大陸の最東端、朝日の浜辺である。
特に観光名所というわけではないため、気持ちの良い天気ではあるが人影は見えない。
「……」
ターメリックは、黙々と遠くに見える小さな岩陰へと歩いていった。
沿岸を行く海路であれば、大陸の最西端クリスタニアへは数週間で辿り着けるといわれている。
ターメリックはこれからの航路を想定し、停泊させてくれそうな国を考えていた。
しかし……
クリスタン神話の知識もなければ他国の知識もないターメリックである。
残念ながら、隣国の名前すら定かではない。
……まあ、いいか。
とにかく急ごう。
息が切れ始めたターメリックだったが、岩陰から見えてきた小船に気持ちが昂り、駆け足になった。
駆け寄った先にあった小船は、小船といっても、男性がふたり乗っても余裕のある大きさだ。
あたりを見回してみる。
風向きも風速も文句なし。
これなら大丈夫。
ほっとして小船に手をかけた、そのとき……
岩陰から影が飛び出し、目にも留まらぬ速さでターメリックに斬りかかってきた。
つづく
「……危ないところでしたね。ああ、安心してください。私はあなたの味方です」
壁穴が閉じられると、もう何も見えない。
そんな暗闇の中で、声だけが聞こえる。
どうやら、若い男性らしい。
この人は、いったいだれなんだろう……
ぼくの味方……?
信じてもいいんだろうか。
ターメリックが頭に疑問符を載せている間にも、声の主は暗闇の中でごそごそと動いている。
「ちょっと待ってくださいね……確か、ここをこうして……」
少しカビ臭い空間に、ガタンガタンとまるで引越しでもしているかのような忙しない音が響く。
宮殿の廊下側からは、兵士や剣士たちの、獲物を見失って戸惑う声が小さく聞こえていた。
彼らは、この場所のことを知らないんだ……
それじゃあやっぱり、この人のことは信じてもいいみたいだな。
ターメリックが姿の見えない味方に信頼を寄せ始めた、そのとき。
「……よし、開いた。ターメリックさん、どうぞ。ここから外へ出られますよ」
壁の軋む音が暗闇に響いて、うっすらと光が差し込んできた。
扉が重たいせいだろう、最初はゆっくりと明るくなっていった空間だったが、次の瞬間には目の前に光が弾けていた。
「……」
眩しい……っ!
ターメリックは固く目を閉じた。
目からの情報がなくなったおかげで、耳が鋭敏になったのかもしれない。
遠くから、微かに音が聞こえてきた。
これは……
「波の音……?」
目を開けた先で、真っ白だった世界が徐々に色づき始めた。
午前中の明るい太陽が照らすのは、透き通った美しい海と、キラキラと輝くやわらかな砂浜だった。
ここは、スパイス帝国の宮殿裏に広がる浜辺。
その名も……
「朝日の浜辺ですよ、ターメリックさん。宮殿内からここへ出られる抜け道は、今のところ私しか知りませんから、時間稼ぎぐらいにはなるかと思います」
宮殿の裏は、モンド大陸の東岸。
そこに広がる広大な浜辺は、朝日の浜辺と呼ばれている。
日の光が差し込んできたおかげで壁穴の中が明るくなり、ターメリックはようやく「味方」の姿を見ることができた。
なんと彼は、兵士団の制服を着た兵士だった。
「申し訳ありません、ターメリックさん。盗み聞きするつもりはなかったのですが……サフラン外交官とのお話は、すべて地下牢の入り口で聞かせていただきました。この先の岩陰に小船がつないであります。食料なども詰め込んでありますから、使ってください」
味方だと名乗った兵士は、これから重大な任務を遂行しなければいけないターメリックよりも、自分の使命に意気込んでいるようだった。
どうしてそこまでぼくのことを……?
というか、この人兵士だよね?
兵士も剣士も、ぼく以外はみんなカイエンの命令に従って動いているんじゃなかったっけ?
ターメリックの頭の中を、光の速さで疑問が駆け巡る。
何から尋ねるべきか散々迷った結果、口をついて出たのが、
「えっと……あなたは、カイエンの手下ではないのですか……?」
そんな、少し失礼にも聞こえる質問だった。
それでも兵士は嫌な顔ひとつせず、困った顔のターメリックに首を振ってみせた。
「いえいえ、違うんですよ。兵士団の中には、私と同じようにカイエンに反発する者もいるのです。ほかの兵士たちは城下町に潜伏していますよ」
「へぇ……あ、あなたは?」
「私はいつもどおり、門前で仕事をしていましたよ。様子を見に行ったところ、ターメリックさんを助けることになりました」
ん……?
門前で仕事……?
「……あっ!」
この人は……!
目を丸くするターメリックに、兵士は困ったように笑った。
「なんだ、てっきり気づいていらっしゃるものと思っていましたよ」
「あはは……ごめんなさい」
いやいや、気がつけないですよ!
だって、声を聞くのも初めてだったんですから!
……と、声には出さないけれど言い訳するターメリックである。
いつも門前で黙って立っているだけだった兵士は、こうして見るとターメリックとさほど年齢は変わらないようだ。
思ったよりも低い声なんだなぁと、能天気なターメリックは自分の置かれた状況も忘れて、そんなことを考えていた。
「今朝いただいた、たまごサンド……とても美味しかったです。ご馳走様でした」
「あ、喜んでもらえて良かったです!」
「もしかして、ターメリックさんの手作りですか?」
「えっと、あれは……」
この機会にパン屋さんの常連客を増やそうと、細かく説明しようとしたターメリックだったが、壁の向こうから隠し扉を探すように叩く音が聞こえてきて口をつぐんだ。
……ここが見つかるのも時間の問題だろう。
不安で顔が引き攣る。
そんなターメリックに、兵士は穏やかな、それでいて決意に満ちた声をかけてくれた。
「ターメリックさん、この国のことは我々におまかせください。世界を巻き込む戦争など、たとえどんな理由があろうと起こしては……起きてはいけないんです」
「……」
この兵士もターメリックと同じように、戦争を経験したことはないはずだ。
それでも、どれほど悲惨なものかは知っている。
何より悲惨なことは、犠牲となるのが常に弱い立場の者たちであるということも……
戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しいということも……
だからこそ、始めさせてはいけない。
ここで食い止めなければならない。
その思いは、神話を信じきれていないクリスタン教徒だろうと、皇帝陛下を神と崇めるスパイス帝国の兵士だろうと変わらない。
「さあ、ターメリックさん。早くクリスタニアへ向かってください」
兵士に送り出されるまま、ターメリックは壁穴から外へと踏み出した。
カラリと晴れ渡った空の下、暖かな南風が黄色の髪を揺らして吹き抜けていく。
振り向いた先で壁穴を閉じようとしていた兵士に、ターメリックはどうしても伝えたいことがあって口を開いていた。
「あの……今朝のたまごサンドのお礼なら、パン屋のおかみさんのローズマリーさんという人に言ってあげてください。きっと喜んでくれます」
その一言に兵士は微笑んで頷くと、静かに壁穴を閉じた。
外側から見ると壁に継ぎ目は見当たらず、ターメリックにはもう、どこがどう開くのかわからなかった。
遠くから聞こえる波の音、鼻に抜ける潮の香り……
真上へ昇り切ろうとする太陽が、砂浜を行くターメリックを照らしていた。
柔らかな砂浜は、踏みしめると足が埋まり、思ったより体力を取られてしまう。
鉱山のあるスパイス帝国に、唯一ありのままの自然が残っている場所。
それがモンド大陸の最東端、朝日の浜辺である。
特に観光名所というわけではないため、気持ちの良い天気ではあるが人影は見えない。
「……」
ターメリックは、黙々と遠くに見える小さな岩陰へと歩いていった。
沿岸を行く海路であれば、大陸の最西端クリスタニアへは数週間で辿り着けるといわれている。
ターメリックはこれからの航路を想定し、停泊させてくれそうな国を考えていた。
しかし……
クリスタン神話の知識もなければ他国の知識もないターメリックである。
残念ながら、隣国の名前すら定かではない。
……まあ、いいか。
とにかく急ごう。
息が切れ始めたターメリックだったが、岩陰から見えてきた小船に気持ちが昂り、駆け足になった。
駆け寄った先にあった小船は、小船といっても、男性がふたり乗っても余裕のある大きさだ。
あたりを見回してみる。
風向きも風速も文句なし。
これなら大丈夫。
ほっとして小船に手をかけた、そのとき……
岩陰から影が飛び出し、目にも留まらぬ速さでターメリックに斬りかかってきた。
つづく
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