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38話 真白雪
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「スマホ良し!ハンカチ良し!おサイフ良し!」
休日の夕方、私はそれらを確認し終えると、巾着袋へと入れる。
最後に鏡で全身をチェックし、玄関へと向かう。
「あ、そうだ。雪に連絡しておこ」
私はスマホを巾着袋から取り出すと、雪に今から向かうね!と連絡をする。
すると、雪からすぐに返信が来る。
さて、連絡も終わったし出発しようとしたところでお母さんに呼ばれたので、お母さんの元へと向かう。
どうしたの?とお母さんに尋ねると、今日は雪ちゃんとデートなんだからしっかりエスコートするのよ!と言われ、おこづかいをくれた。
おこづかいをもらえたのは嬉しい。
でも…。
なんで雪とデートだって知ってるの?とお母さんに尋ねる。
すると、お母さんが焦りながら、昨日浴衣出すとき言ってたじゃない!と言った。
たしか、昨日は友達と夏祭りに行くとしか言ってないのに…。
まぁ、気にしててもしょうがないと思い、お母さんに行ってきます!と伝え、下駄を履くと、雪との待ち合わせに向かう。
これが我が家の怖い話。
なぜか全部知っているお母さん。である。
それはさておき、今日は雪と夏祭りデートなのである。
ちなみに、他の三人は予定があるらしく不参加となった。
ただ、少し気になったことがあって…。
その時のことを思い出してみる。
あれはみんなと屋上でお弁当を食べていたとき。
「お、王子様…!今度お祭りがあるんですが…。一緒に行きませんか…!」
「ほんと!絶対いくー!」
私の返事に喜んでくれる雪。
「あ、それならみんなも…」
私がそこまで言いかけると朝日達が
「あ、あー!その日は部活があって!」
「わ、私もゆえと出かけるんだー!」
「わ、わたくしもお父様とお食事に!」
と言い、ざ、残念だなー!と言う三人。
あの時の三人はなぜか焦った様子だったけどなんだったんだろ…。
まぁ最後に、私達の分までいっぱい楽しんできてね!と三人に言われたので、今日は雪といっぱい楽しまないと!
そう考えながら歩いていると、待ち合わせである駅前に着く。
雪はまだ着いていなかった様なので待っていると、改札口の奥から、一人の女の子が下駄を鳴らしながら歩いてくる。
「お、王子様…!お待たせしました…!」
「ううん!今着いたとこだから気にしないで!」
そう言うと、白と青の花柄の浴衣を着た雪を眺める。
「雪って浴衣姿もかわいいよねぇ」
「そ、そんなこと…。王子様の方がかわいいです…!」
「私はそんなことないよぉ!雪の方がかわいい!」
「い、いえ…!王子様の方がかわいいです…!」
このままじゃずっと続きそうだった為、二人共かわいいということにして、夏祭り会場まで向かうことにした。
夏祭りの会場に着くと驚いた。
「わぁ…人がいっぱいだねぇ…」
「はい…すごいです…」
すでに夏祭りの会場はたくさんの人が集まっており賑わっていた。
「雪、はぐれないように手を繋ごっか!」
お母さんに言われたからではないけど、雪をしっかりエスコートする為に片手を差し出す。
「はい…!王子様…!」
雪が嬉しそうに私の手を掴むと、二人で出店を見て回る。
雪と射的や、くじ引き、水風船の釣りなどで遊んだ。
結果は、お嬢ちゃん達かわいいからおまけだよ!とくれた水風船だけだったんだけど…。
とにかく二人で楽しんだ。
それから、途中でたこ焼きとラムネを買うと、二人でベンチで休憩する。
私がたこ焼きを一つ取り、ふーふーしてから雪に食べさせてあげることにした。
「はい!雪あーん!」
照れながらも雪が口を開け、そこにたこやきを一つ入れる。
「は、はふいでふ…」
まだ熱かったのか雪が涙目になりながらそう言った。
「わ!ご、ごめんね!」
なんとか、雪がたこ焼きを食べ終わると言う。
「熱かったです…」
「ほんとごめんね…」
私は謝るとラムネを雪に手渡す。
ラムネで口の中を冷やすと雪が言う。
「い、いえ…!大丈夫です…!それより、私も王子様に…!」
たこ焼きを一つ取り、念入りにふーふーしてくれる雪。
それを私の口に入れてくれる。
「んー!おいしい!雪ありがとー!」
そう言い、頭を撫でると、えへへ…。と喜んでくれる。
そんな姿にかわいいなぁ!と思っていると、雪の口元にソースが付いていることに気づき、ハンカチで拭いてあげる。
「お、王子様…!ありがとうございます…!」
「どういたしまして!」
二人で微笑んでいると雪が言う。
「あ、そのハンカチ…!すごくかわいいですね…!」
「かわいいでしょー!私のお気に入りなんだー!」
私がそう言うと、なぜか落ち込む雪。
「ん?どうしたの?」
「あ、いえ…。お気に入りのハンカチを汚させてしまったなと…」
「もー!気にしなくていいよ!洗えばいいんだから!それにかわいい雪の為だもの!」
私は我ながら恥ずかしいことを言ってるなと思いながらも伝える。
「あぅぅ…かわいくなんてないです…」
顔を真っ赤にする雪。
こういうところもかわいいんだけどなぁと思う私。
だけど、私は伝えない!
なぜなら、またかわいいの言い合いが始まるから!
代わりに頭を撫でるとまた二人でお祭りを楽しむ。
それからも、二人でわたあめを食べたりして楽しんだ。
そして、お祭りも終わり帰ろうとした時だった。
楽しかったねー!と二人で笑い合っていると、雪が急に転びそうになり咄嗟に支える。
「だ、大丈夫!?」
「は、はい…!ありがとうございます…!ただ…」
雪が足元を見ると困った顔をする。
私も雪の足元を見てみると、右に履いていた下駄の鼻緒が取れてしまっていた。
「どうしよ…これじゃあ…」
雪がそう呟き、泣きそうな顔をする。
私は考える。
もし、私が物語の王子様なら雪をお姫様抱っこして家まで送ってあげられる。
だけど、私にそんな力はない…。
そして、一つ思い付くと実行した。
「雪、私の肩に手を置いて、少しだけ右足上げて」
戸惑う雪だったけど私の指示に従う。
私はハンカチを取り出し細く折り畳むと、下駄の下に置く。
それから、右足を下駄に乗せてもらい巻き付け固定するとハンカチを結んだ。
「応急処置だけど大丈夫かな?」
雪に試しに歩いてもらう。
少し歩きづらそうではあったけど帰る分には問題なさそう。
私がこれで大丈夫かなと安心する。
「お、王子様…。お気に入りのハンカチが…」
そう言い申し訳なさそうな顔をする。
「気にしないの!ハンカチはまた買えばいいから!」
「で、でも…」
「それに、雪に笑顔になってもらえるならいいよ!」
私は笑顔でそう答える。
「ありがとうございます…!」
私の返答に笑顔で答えてくれる。
そして、雪を気づかいながら歩き始める。
すると、雪が言う。
「あ、王子様…!」
「ん?どうしたの?」
「あ、あの…髪に糸くずが付いてるので取りますね…!少し屈んでもらっていいですか?」
私は雪の指示に従い、少し屈む。
雪が私の肩と顔に手を当てる。
なんで顔?と思っていると…。
雪が私の唇に自分の唇を重ねる。
私は驚き、唇を離しそうになったけどなんとか耐えると目をつぶる。
そして、そのまましばらく唇を重ね続けた。
雪から唇を離す。
「今回は本物のキス…出来ました…。感謝と愛情を込めた…私の初めてのキスを…」
そう言い微笑む雪。
そんな雪が愛おしい。
「ねぇ…雪。私からもするね」
そう言い今度は私からキスをする。
いつも幸せにさせてくれる感謝と、大好きというたくさんの気持ちを込めて。
それから、二人で手を繋ぎ歩く。
「王子様からのキス…。優しくて素敵なキスでした…」
先ほどのキスを思い出し、うっとりする雪。
急な感想に顔を真っ赤にする私。
「ゆ、雪だって急にするからびっくりしたけど…。柔らかくて…。すごく幸せでした…」
恥ずかしくて敬語になってしまう私。
そんな私を見て微笑む雪。
こうして、雪との初めてのキスを終えた。
そして、四人との初めてのキスも終わる。
休日の夕方、私はそれらを確認し終えると、巾着袋へと入れる。
最後に鏡で全身をチェックし、玄関へと向かう。
「あ、そうだ。雪に連絡しておこ」
私はスマホを巾着袋から取り出すと、雪に今から向かうね!と連絡をする。
すると、雪からすぐに返信が来る。
さて、連絡も終わったし出発しようとしたところでお母さんに呼ばれたので、お母さんの元へと向かう。
どうしたの?とお母さんに尋ねると、今日は雪ちゃんとデートなんだからしっかりエスコートするのよ!と言われ、おこづかいをくれた。
おこづかいをもらえたのは嬉しい。
でも…。
なんで雪とデートだって知ってるの?とお母さんに尋ねる。
すると、お母さんが焦りながら、昨日浴衣出すとき言ってたじゃない!と言った。
たしか、昨日は友達と夏祭りに行くとしか言ってないのに…。
まぁ、気にしててもしょうがないと思い、お母さんに行ってきます!と伝え、下駄を履くと、雪との待ち合わせに向かう。
これが我が家の怖い話。
なぜか全部知っているお母さん。である。
それはさておき、今日は雪と夏祭りデートなのである。
ちなみに、他の三人は予定があるらしく不参加となった。
ただ、少し気になったことがあって…。
その時のことを思い出してみる。
あれはみんなと屋上でお弁当を食べていたとき。
「お、王子様…!今度お祭りがあるんですが…。一緒に行きませんか…!」
「ほんと!絶対いくー!」
私の返事に喜んでくれる雪。
「あ、それならみんなも…」
私がそこまで言いかけると朝日達が
「あ、あー!その日は部活があって!」
「わ、私もゆえと出かけるんだー!」
「わ、わたくしもお父様とお食事に!」
と言い、ざ、残念だなー!と言う三人。
あの時の三人はなぜか焦った様子だったけどなんだったんだろ…。
まぁ最後に、私達の分までいっぱい楽しんできてね!と三人に言われたので、今日は雪といっぱい楽しまないと!
そう考えながら歩いていると、待ち合わせである駅前に着く。
雪はまだ着いていなかった様なので待っていると、改札口の奥から、一人の女の子が下駄を鳴らしながら歩いてくる。
「お、王子様…!お待たせしました…!」
「ううん!今着いたとこだから気にしないで!」
そう言うと、白と青の花柄の浴衣を着た雪を眺める。
「雪って浴衣姿もかわいいよねぇ」
「そ、そんなこと…。王子様の方がかわいいです…!」
「私はそんなことないよぉ!雪の方がかわいい!」
「い、いえ…!王子様の方がかわいいです…!」
このままじゃずっと続きそうだった為、二人共かわいいということにして、夏祭り会場まで向かうことにした。
夏祭りの会場に着くと驚いた。
「わぁ…人がいっぱいだねぇ…」
「はい…すごいです…」
すでに夏祭りの会場はたくさんの人が集まっており賑わっていた。
「雪、はぐれないように手を繋ごっか!」
お母さんに言われたからではないけど、雪をしっかりエスコートする為に片手を差し出す。
「はい…!王子様…!」
雪が嬉しそうに私の手を掴むと、二人で出店を見て回る。
雪と射的や、くじ引き、水風船の釣りなどで遊んだ。
結果は、お嬢ちゃん達かわいいからおまけだよ!とくれた水風船だけだったんだけど…。
とにかく二人で楽しんだ。
それから、途中でたこ焼きとラムネを買うと、二人でベンチで休憩する。
私がたこ焼きを一つ取り、ふーふーしてから雪に食べさせてあげることにした。
「はい!雪あーん!」
照れながらも雪が口を開け、そこにたこやきを一つ入れる。
「は、はふいでふ…」
まだ熱かったのか雪が涙目になりながらそう言った。
「わ!ご、ごめんね!」
なんとか、雪がたこ焼きを食べ終わると言う。
「熱かったです…」
「ほんとごめんね…」
私は謝るとラムネを雪に手渡す。
ラムネで口の中を冷やすと雪が言う。
「い、いえ…!大丈夫です…!それより、私も王子様に…!」
たこ焼きを一つ取り、念入りにふーふーしてくれる雪。
それを私の口に入れてくれる。
「んー!おいしい!雪ありがとー!」
そう言い、頭を撫でると、えへへ…。と喜んでくれる。
そんな姿にかわいいなぁ!と思っていると、雪の口元にソースが付いていることに気づき、ハンカチで拭いてあげる。
「お、王子様…!ありがとうございます…!」
「どういたしまして!」
二人で微笑んでいると雪が言う。
「あ、そのハンカチ…!すごくかわいいですね…!」
「かわいいでしょー!私のお気に入りなんだー!」
私がそう言うと、なぜか落ち込む雪。
「ん?どうしたの?」
「あ、いえ…。お気に入りのハンカチを汚させてしまったなと…」
「もー!気にしなくていいよ!洗えばいいんだから!それにかわいい雪の為だもの!」
私は我ながら恥ずかしいことを言ってるなと思いながらも伝える。
「あぅぅ…かわいくなんてないです…」
顔を真っ赤にする雪。
こういうところもかわいいんだけどなぁと思う私。
だけど、私は伝えない!
なぜなら、またかわいいの言い合いが始まるから!
代わりに頭を撫でるとまた二人でお祭りを楽しむ。
それからも、二人でわたあめを食べたりして楽しんだ。
そして、お祭りも終わり帰ろうとした時だった。
楽しかったねー!と二人で笑い合っていると、雪が急に転びそうになり咄嗟に支える。
「だ、大丈夫!?」
「は、はい…!ありがとうございます…!ただ…」
雪が足元を見ると困った顔をする。
私も雪の足元を見てみると、右に履いていた下駄の鼻緒が取れてしまっていた。
「どうしよ…これじゃあ…」
雪がそう呟き、泣きそうな顔をする。
私は考える。
もし、私が物語の王子様なら雪をお姫様抱っこして家まで送ってあげられる。
だけど、私にそんな力はない…。
そして、一つ思い付くと実行した。
「雪、私の肩に手を置いて、少しだけ右足上げて」
戸惑う雪だったけど私の指示に従う。
私はハンカチを取り出し細く折り畳むと、下駄の下に置く。
それから、右足を下駄に乗せてもらい巻き付け固定するとハンカチを結んだ。
「応急処置だけど大丈夫かな?」
雪に試しに歩いてもらう。
少し歩きづらそうではあったけど帰る分には問題なさそう。
私がこれで大丈夫かなと安心する。
「お、王子様…。お気に入りのハンカチが…」
そう言い申し訳なさそうな顔をする。
「気にしないの!ハンカチはまた買えばいいから!」
「で、でも…」
「それに、雪に笑顔になってもらえるならいいよ!」
私は笑顔でそう答える。
「ありがとうございます…!」
私の返答に笑顔で答えてくれる。
そして、雪を気づかいながら歩き始める。
すると、雪が言う。
「あ、王子様…!」
「ん?どうしたの?」
「あ、あの…髪に糸くずが付いてるので取りますね…!少し屈んでもらっていいですか?」
私は雪の指示に従い、少し屈む。
雪が私の肩と顔に手を当てる。
なんで顔?と思っていると…。
雪が私の唇に自分の唇を重ねる。
私は驚き、唇を離しそうになったけどなんとか耐えると目をつぶる。
そして、そのまましばらく唇を重ね続けた。
雪から唇を離す。
「今回は本物のキス…出来ました…。感謝と愛情を込めた…私の初めてのキスを…」
そう言い微笑む雪。
そんな雪が愛おしい。
「ねぇ…雪。私からもするね」
そう言い今度は私からキスをする。
いつも幸せにさせてくれる感謝と、大好きというたくさんの気持ちを込めて。
それから、二人で手を繋ぎ歩く。
「王子様からのキス…。優しくて素敵なキスでした…」
先ほどのキスを思い出し、うっとりする雪。
急な感想に顔を真っ赤にする私。
「ゆ、雪だって急にするからびっくりしたけど…。柔らかくて…。すごく幸せでした…」
恥ずかしくて敬語になってしまう私。
そんな私を見て微笑む雪。
こうして、雪との初めてのキスを終えた。
そして、四人との初めてのキスも終わる。
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