6 / 40
5話
しおりを挟む
学校へ行く準備も整い、リビングで待つ朝日の元へ向かう。
リビングに着くと、朝日はお母さんと話していたみたいだった。
だけど、私に気づくと駆け寄り、腕に抱きついてくる。
お母さんが見てることもあり、なんとしても離れさせようとするけど、離れてくれない。
そんな私達を見て、お母さんがなぜか朝日を応援し、朝日ちゃんもっと!もっと積極的にいくのよ!と言ったことを私は一生忘れないだろう。
朝日と一緒に朝ごはんを済ませると、お母さんにいってきますと言い、外へ出る。
朝の日差しが少し暑さを感じさせ、もう6月になったんだなぁと改めて思う。
そう6月…。
私のいつも通りの日常が終わりを告げた6月…。
だけど、私はまだ諦めていない。
朝日が少し積極的になっただけで、後はなにも変わらないと信じている。
そんな朝日もさすがに外では気をつかって、左側の手を組むだけにしてくれている。
カップル繋ぎになっているけどね…。
そうして朝日と、なんのとりとめもない会話をしながら、学校への道を歩いていると、見通しの悪い交差点にたどり着いた。
すると右から一人の人影が見えた。
真白さんだ。
朝日がおーい!と呼ぶと、真白さんがこちらに気づき、近づいてくる。
昨日のこともあり気まずかったけど、真白さんはそんな素振りも見せず、挨拶をしてくれる。
「お、おはようございます!朝日先輩と…わ、私の王子様!」
私も、今は気にしないようにして、挨拶をしよう。
「おはよー!真白さん!」
「おはよう!真白ちゃん!今日から頑張ろうね!」
「は、はい!頑張ります…!」
なにを頑張るんだろう…と考えていると、真白さんが私の左手…正しくは、朝日と組まされている、手を見つめながらいいなぁ…と呟いた。
朝日がそれに気づくと、予想外のことを言う。
「真白ちゃんもどう?かずきの右側空いてるよ!」
真白さんがこちらを見て、いいんですか?と聞いてくる。
恥ずかしかったけど、真白さんだけ断るのはかわいそうだと思い、右手を差し出した。
すると、嬉しそうに私の右手と、自分の左手を組むと言う。
「ありがとうございます…!やっぱり王子様は素敵です…。好き…」
こうして私は、いつも通りの日常を完全に諦め、また学校へと歩き出すのだった。
二人と手を繋ぎながら歩いていると、真白さんが私に質問をしてくる。
「あ、あの…王子様は本って読みますか…?」
「うん。人並みには読むよ?」
「そ、そうなんですね!もしよかったら、私のおすすめの本を、読んでもらえないですか…?」
「いいよ!どんな本なの?」
「それはまだ内緒です…!放課後、お時間があったら、図書室まで来てもらってもいいですか?私は委員会の仕事でいますので…!」
今日も生徒会の仕事があるけど、少しくらいなら大丈夫かなと思い、いいよ!と返事をする。
そんな私の返事を聞き、真白さんも嬉しそうに微笑んでいた。
ふと、やけに静かだった朝日の方を見ると、ニヤニヤとしている。
「朝日、ニヤニヤしてどうしたの?」
「ううん!なんでもない!ただ、私も負けてられないなって思っただけ!」
訳がわからなかったけど、がんばれ!と応援すると、元気良く、うん!と返事をする朝日。
そんな会話をしていると、校門が近づいてきた。
さすがに、手を繋いだままだと同じクラスの人に、からかわれてしまうので、離してもらうことにする。
朝日と真白さんは、気にしないのに…と言っていたけど、なんとか離してもらう…。
そうして、校門の前まで着くと、見慣れたリムジンが停まっていた。
運転手の人がドアを開けると、一人の生徒が降りる。
高円寺先輩だ。
高円寺先輩も、こちらに気づくと近づいてくる。
そして、やっぱり、昨日のことを気にしている素振りは見られなかった。
それならと、こちらから先に挨拶をする。
「先輩おはようございます」
「先輩おはようございます!頑張りましょうね!」
「お、おはようございます…!が、頑張りましょう…!」
「ええ、おはよう!お互いに頑張りましょうね!」
先輩も知っている…。
一体なんのことなんだろう…。
そう考えていると、先輩が私の目の前に立ち、言った。
「上田一樹、制服のリボンが曲がっているわよ」
私が、慌てて制服リボンを直そうとすると、先輩がニコリと微笑みながら直してくれた。
そして、私の耳元でささやく。
「今日も生徒会室で待っているわね。あなたを愛しているわ」
ドキッとする私を見て微笑むと、先輩は先に校舎へ向かう。
少し離れたところで、朝日と真白さんが、すごい…さすが先輩…と驚いていた。
そんなことがあったけど、チャイムが鳴ったので、校舎へと向かい、下駄箱で真白さんと、クラス前で朝日と別れ、自分の席に着く。
しばらくすると、隣の席の転校生である漆原さんが、息を切らしながらやってきた。
「漆原さんおはよう」
「かずっちおはよー!いやぁ、危うく転校2日目で遅刻するところだったよぉ!」
昨日のことを、きちんと謝ろうと思ったのだけど、呼吸を整えた漆原さんが先に言う。
「かずっち昨日は、ほんとごめんね…」
「ううん…こっちこそ…。気持ちに応えてあげられなくてごめんね…」
「そんな!かずっちは悪くないよ!突然告白されて…。しかも全員女の子だなんて、困っちゃうよね…。でもね!私達の気持ちは本当だから!」
漆原さんが、真剣な顔でそう言ったけど、今はありがとうとしか言えなかった…。
「さて、私から切り出したことだけど、この話は一旦やめやめ!それより、今日のお昼ご飯、屋上に行って、みんなで一緒に食べない?」
「うん!いいね!」
「やったー!それじゃあ、他の三人には私から連絡しとくね!」
いつの間にか、連絡先を交換していたことに驚いたけど、お願いするね!と伝え、それからは漆原さんとまた楽しく話す。
そうして、三人から了解の連絡が入り、お昼はみんなで一緒に食べることが決まった。
そこからは、お昼の時間まで特になにもなく、普通に授業を受けていた。
リビングに着くと、朝日はお母さんと話していたみたいだった。
だけど、私に気づくと駆け寄り、腕に抱きついてくる。
お母さんが見てることもあり、なんとしても離れさせようとするけど、離れてくれない。
そんな私達を見て、お母さんがなぜか朝日を応援し、朝日ちゃんもっと!もっと積極的にいくのよ!と言ったことを私は一生忘れないだろう。
朝日と一緒に朝ごはんを済ませると、お母さんにいってきますと言い、外へ出る。
朝の日差しが少し暑さを感じさせ、もう6月になったんだなぁと改めて思う。
そう6月…。
私のいつも通りの日常が終わりを告げた6月…。
だけど、私はまだ諦めていない。
朝日が少し積極的になっただけで、後はなにも変わらないと信じている。
そんな朝日もさすがに外では気をつかって、左側の手を組むだけにしてくれている。
カップル繋ぎになっているけどね…。
そうして朝日と、なんのとりとめもない会話をしながら、学校への道を歩いていると、見通しの悪い交差点にたどり着いた。
すると右から一人の人影が見えた。
真白さんだ。
朝日がおーい!と呼ぶと、真白さんがこちらに気づき、近づいてくる。
昨日のこともあり気まずかったけど、真白さんはそんな素振りも見せず、挨拶をしてくれる。
「お、おはようございます!朝日先輩と…わ、私の王子様!」
私も、今は気にしないようにして、挨拶をしよう。
「おはよー!真白さん!」
「おはよう!真白ちゃん!今日から頑張ろうね!」
「は、はい!頑張ります…!」
なにを頑張るんだろう…と考えていると、真白さんが私の左手…正しくは、朝日と組まされている、手を見つめながらいいなぁ…と呟いた。
朝日がそれに気づくと、予想外のことを言う。
「真白ちゃんもどう?かずきの右側空いてるよ!」
真白さんがこちらを見て、いいんですか?と聞いてくる。
恥ずかしかったけど、真白さんだけ断るのはかわいそうだと思い、右手を差し出した。
すると、嬉しそうに私の右手と、自分の左手を組むと言う。
「ありがとうございます…!やっぱり王子様は素敵です…。好き…」
こうして私は、いつも通りの日常を完全に諦め、また学校へと歩き出すのだった。
二人と手を繋ぎながら歩いていると、真白さんが私に質問をしてくる。
「あ、あの…王子様は本って読みますか…?」
「うん。人並みには読むよ?」
「そ、そうなんですね!もしよかったら、私のおすすめの本を、読んでもらえないですか…?」
「いいよ!どんな本なの?」
「それはまだ内緒です…!放課後、お時間があったら、図書室まで来てもらってもいいですか?私は委員会の仕事でいますので…!」
今日も生徒会の仕事があるけど、少しくらいなら大丈夫かなと思い、いいよ!と返事をする。
そんな私の返事を聞き、真白さんも嬉しそうに微笑んでいた。
ふと、やけに静かだった朝日の方を見ると、ニヤニヤとしている。
「朝日、ニヤニヤしてどうしたの?」
「ううん!なんでもない!ただ、私も負けてられないなって思っただけ!」
訳がわからなかったけど、がんばれ!と応援すると、元気良く、うん!と返事をする朝日。
そんな会話をしていると、校門が近づいてきた。
さすがに、手を繋いだままだと同じクラスの人に、からかわれてしまうので、離してもらうことにする。
朝日と真白さんは、気にしないのに…と言っていたけど、なんとか離してもらう…。
そうして、校門の前まで着くと、見慣れたリムジンが停まっていた。
運転手の人がドアを開けると、一人の生徒が降りる。
高円寺先輩だ。
高円寺先輩も、こちらに気づくと近づいてくる。
そして、やっぱり、昨日のことを気にしている素振りは見られなかった。
それならと、こちらから先に挨拶をする。
「先輩おはようございます」
「先輩おはようございます!頑張りましょうね!」
「お、おはようございます…!が、頑張りましょう…!」
「ええ、おはよう!お互いに頑張りましょうね!」
先輩も知っている…。
一体なんのことなんだろう…。
そう考えていると、先輩が私の目の前に立ち、言った。
「上田一樹、制服のリボンが曲がっているわよ」
私が、慌てて制服リボンを直そうとすると、先輩がニコリと微笑みながら直してくれた。
そして、私の耳元でささやく。
「今日も生徒会室で待っているわね。あなたを愛しているわ」
ドキッとする私を見て微笑むと、先輩は先に校舎へ向かう。
少し離れたところで、朝日と真白さんが、すごい…さすが先輩…と驚いていた。
そんなことがあったけど、チャイムが鳴ったので、校舎へと向かい、下駄箱で真白さんと、クラス前で朝日と別れ、自分の席に着く。
しばらくすると、隣の席の転校生である漆原さんが、息を切らしながらやってきた。
「漆原さんおはよう」
「かずっちおはよー!いやぁ、危うく転校2日目で遅刻するところだったよぉ!」
昨日のことを、きちんと謝ろうと思ったのだけど、呼吸を整えた漆原さんが先に言う。
「かずっち昨日は、ほんとごめんね…」
「ううん…こっちこそ…。気持ちに応えてあげられなくてごめんね…」
「そんな!かずっちは悪くないよ!突然告白されて…。しかも全員女の子だなんて、困っちゃうよね…。でもね!私達の気持ちは本当だから!」
漆原さんが、真剣な顔でそう言ったけど、今はありがとうとしか言えなかった…。
「さて、私から切り出したことだけど、この話は一旦やめやめ!それより、今日のお昼ご飯、屋上に行って、みんなで一緒に食べない?」
「うん!いいね!」
「やったー!それじゃあ、他の三人には私から連絡しとくね!」
いつの間にか、連絡先を交換していたことに驚いたけど、お願いするね!と伝え、それからは漆原さんとまた楽しく話す。
そうして、三人から了解の連絡が入り、お昼はみんなで一緒に食べることが決まった。
そこからは、お昼の時間まで特になにもなく、普通に授業を受けていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
(R18) 女子水泳部の恋愛事情(水中エッチ)
花音
恋愛
この春、高校生になり水泳部に入部した1年生の岡田彩香(おかだあやか)
3年生で部長の天野佳澄(あまのかすみ)
水泳部に入部したことで出会った2人は日々濃密な時間を過ごしていくことになる。
登場人物
彩香(あやか)…おっとりした性格のゆるふわ系1年生。部活が終わった後の練習に参加し、部長の佳澄に指導してもらっている内にかっこよさに惹かれて告白して付き合い始める。
佳澄(かすみ)…3年生で水泳部の部長。長めの黒髪と凛とした佇まいが特徴。部活中は厳しいが面倒見はいい。普段からは想像できないが女の子が悶えている姿に興奮する。
絵里(えり)…彩香の幼馴染でショートカットの活発な女の子。身体能力が高く泳ぎが早くて肺活量も高い。女子にモテるが、自分と真逆の詩織のことが気になり、話しかけ続け最終的に付き合い始める。虐められるのが大好きなドM少女。
詩織(しおり)…おっとりとした性格で、水泳部内では大人しい1年生の少女。これといって特徴が無かった自分のことを好きと言ってくれた絵里に答え付き合い始める。大好きな絵里がドMだったため、それに付き合っている内にSに目覚める。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる