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3話

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次は漆原さんの理由を聞くことにした。

「かずっち困らせちゃってごめんね…実は私ね…かずっちのこと前から知ってたんだ。こっちに引っ越してきたの最近でね、町を散策してたらおばあちゃんの荷物を持ってあげて、信号を一緒に渡ってあげてる女の子を見かけて。こんな風に親切にする人がほんとにいるんだ…漫画とかドラマの世界だけの話かと思ってたんだ…もうこの時には一目惚れしててね。悪いとは思ったけど気になって後をつけて行くと、他の人達にも親切にしている姿を見てもう完全に好きになってて」

いろいろな人に親切にしてる女の子ってモテるかなと思ってしてました…。

っていうかついてきてたこと全然気づかなかった…。

「でもふと目を離した瞬間に見失っちゃって…その日は諦めて帰ったんだ。でも、どうしてもどんな子か話してみたくて別の日に探したんだけど見つからなくてね…もう諦めようかと思ってた日の夜に空を見たら赤く光る星が見えて気づいたら願ってたんだ」

なるほど、ここでも来るか赤く光る星…

「もう一度あの人に会わせてくださいって。そしたら転校先の学校の生徒で同じクラス、しかも隣の席になったことで運命を
感じて…それでまずはとにかく仲良くなりたい気持ちが溢れていっぱい話したんだ。すごい楽しかったなぁ」

私も漆原さんと話すのすごい楽しかった。

「それでかずっちとの話に夢中で連絡先聞くの忘れてたことに気づき、追いかけて聞こうかと思ったんだけど、明日聞けばいいかってなってね…帰ることにしたら私の家への帰り道にかずっちがいたの。話しかけようとしたら他の人達に告白されてる所を見て、焦って私も思わず告白することにしたの…」

そうだったんだね…またモテる為にした行動が…そしてまたまた赤く光る星…まさか真白さんは違うよね…

漆原さんにありがとうとお礼を言い、最後に真白さんの話を聞くことにした。

「あ、あの先輩…いいえ!私の王子様!」

口が開いて閉じなかった。

ぽかーんとしていると真白さんは続ける。

「ご、ごめんなさい…やっぱり先輩で…」

そうしてもらえると助かります…。

「私はですね…あの…先輩とは今朝まで初対面だったんですけど…実はずっと朝日先輩から一樹先輩の話をよく聞いてて…」

え?と朝日の方を見るとえへへと照れていた。

真白さんの方に向き直ると話を続ける。

「それでずっと素敵な人だなぁって思ってたんです…でも先輩ですし、私引っ込み思案だからお話しに行くことも出来ず…お顔もわからなくて本の中の王子様で想像してたんです。もちろん朝日先輩から聞いていたので一樹先輩が女性だということは知ってました…」

私が王子様…

「でもやっぱり想像だけじゃなく一樹先輩とお話してみたいと思ったんです…そんな昨日の夜に空を見たら赤く光る星が見えて…」

赤く光る星、もう驚かないよ。

「そして気づいたら願ってたんです…一樹先輩とお話出来るきっかけをください…と。その次の日、交差点で女性とぶつかってしまい…」

あの時か…

「倒れた私を起こす為にその女性が手を差し出してくれて…起こしてもらった時に気づいたんです。朝日先輩と手を差し出してくれたこの女性が一樹先輩だと。そして本の中の王子様みたいにかっこよく手を差し出してくれたと…。せっかく話すチャンスだったのにその時は想像の王子様が目の前に現れたことに動揺してしまって…お礼を言ってすぐ走り去っちゃってごめんなさい…」

むしろ私も不注意だったし…。

そして真白さんを起こす時モテるかなってかっこいい女性を演じる練習も兼ねてました…。

「それでですね…その後ずっと一樹先輩の姿が頭から離れなくて…一日中ドキドキしてどんどん先輩が好きって気持ちが抑えきれなくて…それで帰りに先輩を見かけて今朝のことちゃんと謝りたかったんですが私足遅くて結局一樹先輩のお家の前まで追いかけることに」

そうだったんだ…

「謝るだけで帰ろうとしたんですが、目の前に王子様がいると考えたら気持ちが止められなくなってしまって…それで告白させてもらいました…」

真白さんは普段は引っ込み思案だけど気持ちが昂ると抑えきれなくなるタイプ…覚えた。

最後である真白さんの話を聞き終えると考えた。

四人が私のことを好きだという気持ちはわかった。

そしてどうして一斉に告白してきたのかも。

まずは謝ろう。

四人が私を好きになってくれたきっかけが全てモテるためだったことを。

そう考え四人に正直に話した。

嫌われると思った。

怒られると思った。

だが四人とも予想外の反応をした。

「なにいってるのかずき!たとえモテようとした行動でも私がかずきを好きになった気持ちは本物だよ!誰にもこの気持ちが偽物だなんて言わせない!」

「そうだわ!あなたを信頼し好きになったの!それにモテようとした行動で好きになってもらったことのどこが悪いの!」

「そうだよかずっち!かずっちがモテようとした行動で好きになって、運命の再開まで出来たんだよ!」

「そうです!先輩は私の王子様なんです!ずっとずっと想像してきた大好きな王子様なんです!」

みんな…ありがとう…

でもね…私女なんだよ…

そう伝えるとまた四人は予想外の反応をしてきた。

「女とか男とか関係ない!私が好きなのは、かずきなの!」

「私が生涯を過ごすのはあなただけ!他の誰でもないわ!」

「運命の相手がたまたま女の子だっただけだよ!」

「私の王子様は先輩だけです!性別は関係ないんです!」

みんな…そんなに私のことを…

私は一体誰を選べば…

一人を選ぶなんて出来ない…どうしたら…

そう考えた時だった。

ん?

待った!待った!

私がモテたいのは異性だって!

女の子じゃないの!

危うくこの場の空気に流されるところだった…。

私は異性が好きだと四人に正直に伝え、申し訳ないけどごめんなさいと伝えた。

これで嫌われても仕方ない。

嘘で付き合うよりはマシだ。

赤く光る星が気になったが今は早くこの場を離れたかった。

そしてこの場を離れようと思った時だった。

朝日が言ったあの言葉がまさか私のこの先の人生を大きく変えることになるとは思わなかった。




「そっか…」



うん…



「それなら…」



うん?



「かずきが女とか男とか気にならなくなるくらい、私のことを大好きにさせればいいんだ!」

「「「それだ!!!」」」


はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

こうして私が本来望んでた事とは違うモテ期がまだまだ続くのだった…。
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