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プロローグ
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私の名前は枝島百華〈えだしま ももか〉22歳
就職活動に苦戦しつつも、大手企業から見事に内定をもらい、今年の春から晴れて新社会人となった私。
朝も早く、入社早々覚えることが多かったけど、先輩達は優しく、同僚の人達と共に助け合い励んでいく仕事にとてもやりがいを感じる毎日を送っていた。
だけど、そんな私にはある悩みがあり…。
私は自宅のマンションの玄関の前に立つと深くため息をつく。
そして、深呼吸をするとドアを開ける。
すると、それに反応するかの様に奥からタタタと足音がする。
「お姉さんおかえりー!」
そう言いながら女の子が元気良く笑顔で出迎えてくれる。
彼女の名前は一之瀬麗〈いちのせ れい〉高校2年生。
長く綺麗な黒髪が印象的なとても可愛い女の子。
私の同居人であり。
そして、私の悩みの種でもある。
私は彼女に「ただいまー。」と返すと、着替えるために自分の部屋へと向かう。
「あ、そうだ!ご飯とお風呂どっちにする?」
嬉しそうに後ろをついてくる彼女がそう私に質問する。
「んー。ご飯先かなー。」
私はそう返すと、彼女は「わかったー!準備して待ってるね!」とリビングへと向かう。
自分の部屋へと着いた私はさっそく部屋着へと着替える。
そして、部屋の片隅に置かれた、綺麗に畳まれた洗濯物を収納するとリビングへと向かった。
テーブルには彼女が用意してくれた美味しそうな料理が並んでいた。
基本的に平日の家事は彼女がやってくれる。
学校に通っていて、自分も忙しいはずなのに私を気遣ってやってくれているのだ。
休日はもちろん私も一緒に行うのだけど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
その為、私は以前彼女に悪いからいいよと言ったのだけど、「わたしがやりたいからやってるの!」と、なぜか怒られてしまい、今の形に落ち着くのであった。
さて、ここまでは可愛い女の子がお世話してくれているのに、なにを悩むことがあるのかと思うかもしれないけど。
問題はここからであった。
私が料理を一口食べると、それをジーッと見つめていた彼女が「おいしい?」と尋ねてくる。
「うん。今日もおいしいよ。」と、私は素直にそう伝える。
嬉しそうにする彼女はやがて私の横へとやってくると。
「じゃあ~。わかるよね?」と、笑顔でそう言った。
私は一旦箸を置くと彼女の頭を撫でながら、「いつもありがと。一之瀬さん。」と伝える。
それが嬉しいのか、「えへへ。」と言いながら微笑む彼女。
まぁ、これは私も感謝の気持ちを伝えられるのでいいのだけど。
それに、そんな彼女を可愛いと思ってしまう自分もいるわけで。
しばらくし、私は撫でる手を止めると、食事の続きをしようとするのだが…。
「んー!お姉さんほんと好き!大好き!」
そう言って突然私に抱きつく彼女。
「ちょ、ちょっと待って!は、離して!」
私はなんとか彼女を引き剥がすと、ブーブーと怒ったふりをする彼女を放っておき、内心ドキドキしながらも食事を進めるのであった。
これが私の悩みである。
とにかく彼女はやけに距離感が近いというか。
最近の女子高生はこれが普通なのかもしれないけど。
学生時代に友人とこんな接し方をしてこなかった為、未だに彼女の距離感に慣れないでいた私には刺激が強すぎるのだった。
それに、つい最近まで私と彼女に接点はなかったのだから。
さて、そんな彼女とどうして同居することになり、さらにはこんな状況になってしまったのかを説明しよう。
それは、私が内定を貰い、田舎から上京してきた時まで遡る。
大学を卒業するまで実家暮らしだった私。
親には家事もろくに出来ないあんたじゃ一人暮らしなんて無理よ!と反対されていたが、通勤片道3時間はさすがに酷すぎたので、なんとか説得に成功すると、遂に夢の一人暮らしを手に入れたのだ。
そして、引越し当日。
マンションまでやってくるとすでに引越し業者のトラックが着いていた。
それも2台。
私はこんなに荷物あったっけと首を傾げていると、どうやらそれは違ったようで。
一人の女の子が引越し業者の人と話をしているのを見て、同じ日に引っ越してきた人がいたのかと納得する。
さて、自分の部屋へと向かおうとした時だった。
私に部屋を紹介してくれた不動産会社の担当の人がやってくる。
ちょうどいいのでお礼も兼ねて挨拶をしようとすると、担当の人が急に土下座をして、「申し訳ございません!」と謝り出す。
いきなりのことで驚く私。
ずっと、謝っている担当の人に頭を上げてもらい事情を聞く。
どうやら、手違いで同じ部屋を先に別の人が契約していたそうで。
家賃も予算内で、部屋も気に入っていたから、内心ガッカリしつつも、私もこれから営業職で働く身として、なんだか責められず納得することにした。
だけど、問題は私はこれからどこに住めばいいのだろうということ。
それを担当の人に尋ねるがどうやら今の時期は新生活もあり、どこも入居者でいっぱいだそうで。
私は実家から片道3時間を覚悟するしかないと思っていた。
そんな時、「どうかしましたか?」と声をかけられる。
その人物はさっきの女の子で。
私が住むはずだった部屋の契約者だった。
担当の人から事情を聞き、少し考えた彼女が私に提案する。
「それでは、わたしと一緒に住むというのはいかがですか?」と。
だけど、さすがに見ず知らずの人と暮らすのはちょっとと思い、断ろうと思ったのだが。
片道3時間が脳内によぎると、私は「本当にいいんですか?」と彼女に尋ねていた。
「ええ。初めての一人暮らしなので、ご一緒していただけると助かりますので。」と、微笑む彼女の返事を聞くと、私も彼女の提案を受けることにした。
その後、荷物を部屋へと運んでもらうと、引っ越しが完了する。
これが一之瀬さんと同居することになった理由だ。
だけど、この時までの一之瀬さんはすごく清楚というか、優しそうな声に落ち着いた雰囲気の女の子だと思っていたのだけど…。
荷物をある程度片付け、リビングのスペースを確保すると、改めて自己紹介を済ませる。
そして、一緒に住むのだから敬語はいらないよと伝えた。
「いいんですか?」と、彼女が私に尋ねる。
「もちろん!早く仲良くなりたいからね!」と、私が言った時だった。
彼女はニコリと微笑むと、今までの雰囲気から一変し、「うん!それじゃあこれからよろしくね!お姉さん!」と言い、私に抱きつく。
突然のことで驚く私の耳元で彼女はさらに「わたしお姉さんのこと好きだから覚悟してね。」と、囁くとさらにぎゅっと私を抱きしめた。
こうして、私は驚くと同時に動揺し、そして後悔もするという不思議な体験をするのであった。
就職活動に苦戦しつつも、大手企業から見事に内定をもらい、今年の春から晴れて新社会人となった私。
朝も早く、入社早々覚えることが多かったけど、先輩達は優しく、同僚の人達と共に助け合い励んでいく仕事にとてもやりがいを感じる毎日を送っていた。
だけど、そんな私にはある悩みがあり…。
私は自宅のマンションの玄関の前に立つと深くため息をつく。
そして、深呼吸をするとドアを開ける。
すると、それに反応するかの様に奥からタタタと足音がする。
「お姉さんおかえりー!」
そう言いながら女の子が元気良く笑顔で出迎えてくれる。
彼女の名前は一之瀬麗〈いちのせ れい〉高校2年生。
長く綺麗な黒髪が印象的なとても可愛い女の子。
私の同居人であり。
そして、私の悩みの種でもある。
私は彼女に「ただいまー。」と返すと、着替えるために自分の部屋へと向かう。
「あ、そうだ!ご飯とお風呂どっちにする?」
嬉しそうに後ろをついてくる彼女がそう私に質問する。
「んー。ご飯先かなー。」
私はそう返すと、彼女は「わかったー!準備して待ってるね!」とリビングへと向かう。
自分の部屋へと着いた私はさっそく部屋着へと着替える。
そして、部屋の片隅に置かれた、綺麗に畳まれた洗濯物を収納するとリビングへと向かった。
テーブルには彼女が用意してくれた美味しそうな料理が並んでいた。
基本的に平日の家事は彼女がやってくれる。
学校に通っていて、自分も忙しいはずなのに私を気遣ってやってくれているのだ。
休日はもちろん私も一緒に行うのだけど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
その為、私は以前彼女に悪いからいいよと言ったのだけど、「わたしがやりたいからやってるの!」と、なぜか怒られてしまい、今の形に落ち着くのであった。
さて、ここまでは可愛い女の子がお世話してくれているのに、なにを悩むことがあるのかと思うかもしれないけど。
問題はここからであった。
私が料理を一口食べると、それをジーッと見つめていた彼女が「おいしい?」と尋ねてくる。
「うん。今日もおいしいよ。」と、私は素直にそう伝える。
嬉しそうにする彼女はやがて私の横へとやってくると。
「じゃあ~。わかるよね?」と、笑顔でそう言った。
私は一旦箸を置くと彼女の頭を撫でながら、「いつもありがと。一之瀬さん。」と伝える。
それが嬉しいのか、「えへへ。」と言いながら微笑む彼女。
まぁ、これは私も感謝の気持ちを伝えられるのでいいのだけど。
それに、そんな彼女を可愛いと思ってしまう自分もいるわけで。
しばらくし、私は撫でる手を止めると、食事の続きをしようとするのだが…。
「んー!お姉さんほんと好き!大好き!」
そう言って突然私に抱きつく彼女。
「ちょ、ちょっと待って!は、離して!」
私はなんとか彼女を引き剥がすと、ブーブーと怒ったふりをする彼女を放っておき、内心ドキドキしながらも食事を進めるのであった。
これが私の悩みである。
とにかく彼女はやけに距離感が近いというか。
最近の女子高生はこれが普通なのかもしれないけど。
学生時代に友人とこんな接し方をしてこなかった為、未だに彼女の距離感に慣れないでいた私には刺激が強すぎるのだった。
それに、つい最近まで私と彼女に接点はなかったのだから。
さて、そんな彼女とどうして同居することになり、さらにはこんな状況になってしまったのかを説明しよう。
それは、私が内定を貰い、田舎から上京してきた時まで遡る。
大学を卒業するまで実家暮らしだった私。
親には家事もろくに出来ないあんたじゃ一人暮らしなんて無理よ!と反対されていたが、通勤片道3時間はさすがに酷すぎたので、なんとか説得に成功すると、遂に夢の一人暮らしを手に入れたのだ。
そして、引越し当日。
マンションまでやってくるとすでに引越し業者のトラックが着いていた。
それも2台。
私はこんなに荷物あったっけと首を傾げていると、どうやらそれは違ったようで。
一人の女の子が引越し業者の人と話をしているのを見て、同じ日に引っ越してきた人がいたのかと納得する。
さて、自分の部屋へと向かおうとした時だった。
私に部屋を紹介してくれた不動産会社の担当の人がやってくる。
ちょうどいいのでお礼も兼ねて挨拶をしようとすると、担当の人が急に土下座をして、「申し訳ございません!」と謝り出す。
いきなりのことで驚く私。
ずっと、謝っている担当の人に頭を上げてもらい事情を聞く。
どうやら、手違いで同じ部屋を先に別の人が契約していたそうで。
家賃も予算内で、部屋も気に入っていたから、内心ガッカリしつつも、私もこれから営業職で働く身として、なんだか責められず納得することにした。
だけど、問題は私はこれからどこに住めばいいのだろうということ。
それを担当の人に尋ねるがどうやら今の時期は新生活もあり、どこも入居者でいっぱいだそうで。
私は実家から片道3時間を覚悟するしかないと思っていた。
そんな時、「どうかしましたか?」と声をかけられる。
その人物はさっきの女の子で。
私が住むはずだった部屋の契約者だった。
担当の人から事情を聞き、少し考えた彼女が私に提案する。
「それでは、わたしと一緒に住むというのはいかがですか?」と。
だけど、さすがに見ず知らずの人と暮らすのはちょっとと思い、断ろうと思ったのだが。
片道3時間が脳内によぎると、私は「本当にいいんですか?」と彼女に尋ねていた。
「ええ。初めての一人暮らしなので、ご一緒していただけると助かりますので。」と、微笑む彼女の返事を聞くと、私も彼女の提案を受けることにした。
その後、荷物を部屋へと運んでもらうと、引っ越しが完了する。
これが一之瀬さんと同居することになった理由だ。
だけど、この時までの一之瀬さんはすごく清楚というか、優しそうな声に落ち着いた雰囲気の女の子だと思っていたのだけど…。
荷物をある程度片付け、リビングのスペースを確保すると、改めて自己紹介を済ませる。
そして、一緒に住むのだから敬語はいらないよと伝えた。
「いいんですか?」と、彼女が私に尋ねる。
「もちろん!早く仲良くなりたいからね!」と、私が言った時だった。
彼女はニコリと微笑むと、今までの雰囲気から一変し、「うん!それじゃあこれからよろしくね!お姉さん!」と言い、私に抱きつく。
突然のことで驚く私の耳元で彼女はさらに「わたしお姉さんのこと好きだから覚悟してね。」と、囁くとさらにぎゅっと私を抱きしめた。
こうして、私は驚くと同時に動揺し、そして後悔もするという不思議な体験をするのであった。
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絵:Novel AI
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