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初めての冒険②

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子供服売り場に着くと、さっそく魔王ちゃんの服選びを始めるのだが…。

カジュアルからロリータ服まで揃っていて、とにかく品揃えが豊富なのである。

うーん。

どれにしようかな。

魔王ちゃんかわいいからなんでも似合いそうだし。

悩んでいると、店員さんがやってくる。

私が事情を説明すると、おすすめの服を何点か用意してくれたので、手伝いながら魔王ちゃんに試着をしてもらう。

私はもちろんだが、店員さんもかわいいと大絶賛。

終始、私にかわいいと言われる度に照れながらも、にこにこしている魔王ちゃん。

服選びはあっという間に終わる。

最後に魔王ちゃんにどうしても着てもらいたかったロリータ服を着てもらう。

「ゆ、ゆうり。どうじゃ?」

着替えると、少し照れくさそうに口元に手をやる魔王ちゃん。

「………。」

どうしよう。

あまりのかわいさに言葉が出てこない。

「ゆ、ゆうり…?」

私が何も言わないので心配そうにしている。

「ご、ごめん!かわいすぎて何を言えばいいか、わからなくて…。」

「そっか!そうだったんじゃな!えへへ。」

魔王ちゃんが今までで一番の笑顔になる。

あぁ。

ほんとにかわいすぎるよ魔王ちゃん…。

思わず抱きしめそうになるが、なんとか我慢する。

それから、お揃いのパジャマを選び、会計を済ませると、服を着替えたままお店を出ることにした。


その後、また魔王ちゃんと手を繋ぎながら、昼食を取るために一旦ショッピングモールから離れた場所にあるレストランへと向っている時だった。

「ゆうりちゃん?」

背後から声をかけられる。

振り返るとそこには、一人の女性が。

「あれ?先輩じゃないですか!」

「こんなとこで奇遇だね~!」

この女性は私が働いている会社の先輩で、よくお世話になっている方。

美人で優しくて、ほんわかしてるけど、仕事も出来る憧れの先輩。

「ほんとですね!なにしてるんですか?」

「私はペットのチロルちゃんの散歩だよ!」

よく見ると、先輩の足元には小さい子犬が。

「わぁ!ちっちゃくてかわいいー!」

私がおいでーっと手を出すと人懐っこいのか、近づいてくる。

撫でるともふもふしてて、すごくかわいい。

「ゆうりちゃんはなにしてたの~?」

「私は、この子の服を買いに来てて、今から昼食を取ろうかなって!」

子犬を撫でながら、先輩に答える。

「そうなんだね~!はじめまして~!私はめぐみだよ~!お名前は何て言うの~?」

「魔王なのじゃ…。」

あれ?なんだか不機嫌そうな魔王ちゃん。

私以外の人間はまだだめなのかな。

でも、さっきの店員さんはそうでもなかったような。

というか、まずい。

さすがに魔王って言っても先輩わからないよね。

なんとか誤魔化さないと、と考えていると…。

「まおちゃんか~!よろしくね~!」

「うむ…。」

やっぱり少し不機嫌な魔王ちゃん。

あと、先輩がなんか聞き間違いしてるけど…。

いいの…かな…?

「かわいい子だね~!妹さん~?」

「そうなんです!歳の離れた妹で!」

「そっか~!仲良さそうで羨ましいな~!」

とりあえず今は魔王ちゃんのために、離れたほうがいいかも。

「あ、それじゃあ私達はこれで!先輩また会社で!」

私は子犬を撫でていた、手を離すと先輩に挨拶をする。

「またね~!」

先輩が手を振り、見送ってくれる。

魔王ちゃんと手を繋ぎ直し、その場を離れると魔王ちゃんの様子を伺う。

ぶす~っと不機嫌そうな顔をしている。

「魔王ちゃん…?大丈夫?」

「大丈夫なのじゃ…。」

「やっぱり私以外の人は怖い…?」

「違うのじゃ。ゆうりが側にいるから怖くないのじゃ。」

じゃあ、どうしたんだろ…。

「それじゃあ、どうして…。」

「ゆうりが、あの小さい生き物をかわいがっておったのじゃ。」

「え?」

「我がいるのに。かわいがっておったのじゃ!」

魔王ちゃんがぎゅっと身体を抱きしめる。

もしかして。

魔王ちゃん。

ヤキモチ妬いちゃったの!?

「ごめんね。たしかにあの子犬かわいかったけど。でも、魔王ちゃんのほうがもっとかわいいよ!」

私も魔王ちゃんを抱き返す。

「我のほうがかわいいのじゃ…?」

「うん!魔王ちゃんのほうがかわいい!」

「むー。なら許すのじゃ。」

「えへへ。魔王ちゃんは優しい子だなぁ!」

頭を撫でるとすっかり元の笑顔に戻る魔王ちゃん。

魔王ちゃんには悪いかもだけど、ヤキモチ妬いてくれるなんて嬉しいなって気持ちになる。


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