俺の秘密の趣味

妄想計のひと

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22.好き

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家に着くと、母さんも義父さんも帰って来ていなかった。

兄さんと俺は帰る途中、一言も話さなかったけど、兄さんに掴まれた腕も離してくれなかった。

玄関に上がり、この気まずい空気をどうしたら良いのかと悩む。

雅隆さんは、謝って、告白して……エッチしたら良いって言ってたけれど、そんな簡単な話なのか?

このままリビングに行くか、自分の部屋に逃げるか?

いや、逃げたらせっかくの雅隆さんの犠牲を無駄にする事になる!

意を決して兄さんに声を掛ける。


「兄さん、あの……えっと、さっき言った事なんだけど」

「なに?」


俺を振り返り、兄さんは素っ気なく返す。


「酷い事言ってごめんなさい……」

「どれの事?血の繋がった家族じゃないって言った事?事実だろ」


俺が言った事だし、事実だったとしても、兄さんに言われたらすごく胸が痛かった。


「そうかも知れないけど、でも……」

俺は小さい頃から、兄さんの背中を追いかけて育ったんだ。


「ごめんなさい」

何の言い訳も出来ず、ただ俯いて謝る事しかできなかった。

寒いのに、2人とも玄関から動けない。


「それより咲耶は、俺の事セフレだと思ってるの?」


それよりって、兄さんにとって大事だったのはそこなの?


「分かんない……けど、そんな感じかなって……。あの時は、頭に血が昇ってて、あんまり考えずに言っちゃったから」

「そう……」


だから深く考えないでほしい。


「あと、嫌いって言った事も……謝りたい」

「……気にしてないし、どうでも良いよ」


え?そ、そんな言い方しなくても良いだろ?


兄さんはもう話は無いと言いたげに、階段を上がろうとする。

俺ってそんなに兄さんにとってどうでも良い存在?

だけどその時、雅隆さんに言われた事をもう一度思い出す。

そうだ、告白して……いや、無理だろ!

青くなったり赤くなったり、多分今の俺は相当変な顔付きをしていただろう。


兄さんは階段の途中で止まり、俺の方を振り返った。

目線が5秒程絡み合い、兄さんは口を開けた。



「咲耶が、俺の事どう思っているかなんて、どうでも良いよ。俺が、咲耶の事を好きな事には変わり無いし」

そう言って、2階まで上がって行った。




えっ?

いや、えっ?



今、兄さんが俺の事好きって言った?

どういう好き?それって友達とかに使う好き?

いや、どういう好きでも構わない。兄さんに嫌われていないと分かっただけで、俺はこの先の行動に対する自信を得ることができた!


「ま、待って!」


俺は兄さんを追いかけて、トントンと小刻みよく階段を上がった。

今言わないで、いつ言うんだ?

兄さんが好きだと言ってくれるのなら、俺が言わずに話を終えて良いわけがない。


ドアに手を掛けている兄さんの背中に、俺は勢いよく抱きついた。

「俺も、兄さんの事が好きっ」

言えた!やっと言ってやった!

言葉にしたら簡単で、何でこんなに今までまで時間がかったのか分からない。

まぁ兄さんが先に言葉にしてくれたからなんだけど。

そしてその兄さんの反応はというと……。



「そう……」


………それだけ?



兄さんの感情が動くタイミングが全然わからない!



「咲耶は、好きでもない人に抱かれるの?」

俺が呆然としていると、兄さんがまた不思議な事を言い出した。


「いや、兄さん以外に……抱かれたくないよ……?」

「俺だって、好きでもない人の尻に突っ込みたいなんて思わないし」


俺は兄さんから腕を離し、一歩下がった。

何だろ、嬉しいような?言い方の問題?

そしてこの話は、ずいぶん前におじさんと話した会話な気がした。

ん?それって……


「兄さんは、俺が好きだって分かってたって事?」

「まぁ、そうかなって思ってたよ。オナニーしながら人の名前呼ぶぐらいだし」


それって最初からじゃないか!


「でも、咲耶から抱きついて来て、好きって言われるなんて思っていなかったから、嬉しいよ」


兄さんの頬が緩んだ。かっこいい。

けど、兄さんのその表情は一瞬で、また少し機嫌が悪そうだった。


「だけど、今日のお友達との件は許してないよ。2人でラブホだなんて、舐めてんの?」


前言撤回、少しじゃなかった。


「咲耶が俺に何言おうと許せるけど、他の男とデートして、ラブホ行って、手縛られて……掘ってくださいって言ってるようなもんだよ」

それは、そうかも知れない……。

雅隆さんはそんな事しないと言ったところで、やっている事が事なだけに、何の説得力もない。


「ごめんなさい……」


兄さんがため息を吐いて、再び部屋に入ろうとする。


「だから、今日はそっとしといてくれる?咲耶に優しく出来ない」


せっかく兄さんに好きって言ってもらえて、俺も伝えられたのに?これで今日はお終いなの?

今後は?恋人にしてくれるの?え?

俺にとって、好きって伝えることがゴールだと思っていたけど、まさかのスタートラインにも立てていない!

どうなるの?


「ま、待ってよ……」


兄さんの腕を掴んで、俺は縋りついた。


「優しくなくて良いから、その……ダメ、かな?」

「それは、酷くて良いからエッチしたいって事?」

ストレートな言葉に少しだけ戸惑うけれど、俺は首を縦に振った。

「そう……。まぁ、覚悟できてるなら良いよ」

そう言って、兄さんは自分の部屋ではなく、俺の部屋のドアノブに手を掛けた。


「咲耶はさっき、誰を好きって言った?」

「に、兄さんを好きって、言った」


何だか不穏な空気が漂ってんだけど?

兄さんなんか口角上げてるんだけど?

「それなのに、他の男に抱かれようとしたんだから、躾が必要だと思わない?」

「しつけ……?」

「咲耶は誰のものになりたいの?」

何その質問。

俺は息が荒くなり、ムスコがピクリと反応したのが分かった。

そうだ、この状況に凄く興奮している。


「兄さんのものになりたい」


「だったらやっぱり、可愛い弟にしっかりと罰を与えて、躾しないとな」


雅隆さん、かなりの劇薬だったみたいですよ。






準備を終えて、ベッドに横になった俺は、1つだけ兄さんにお願いをしてみる事にした。

「兄さん、お願いがあるんだけど……」

「なに?」

「縛って欲しい」

兄さんは言葉を詰まらせたが、ベルトを使って俺の腕を拘束した。

なんで皆んなベルト使うの上手なの?

でもやっぱり、兄さんに拘束されるのは凄く興奮する。

「何でお友達と同じ事させるの?」

兄さんの機嫌は、変わらずあまり良くない。

「それは……その、ま……友達にされた時、やっぱりちょっとだけ、怖かったから……」

今、兄さんの前で雅隆さんの名前を出したらダメな気がした。

「……咲耶は、興奮してる?」

「うん……」

兄さんが俺の上に跨り、俺の腕を掴む。


「今、俺が何をしても咲耶は抵抗できないのに?」


それが良いんだよ、とは思っても言わなかった。


「兄さんが、良いから……」


と、代わりに訳の分からない事を言ってしまう。


「そう……。後悔しないでね」

後悔?俺から望んで縛ってもらったのに、後悔なんてしないだろうと、この時の俺は安易に考えていた。

それに気持ちが通じたわけだし、気持ちに余裕があったんだ。


下を全て脱がされ、すぐにローションで下を慣らされる。

「んっ、んんっ……」

だけどいつもと違って、何だが早急な気がする。

前立腺を弄られて気持ち良いんだけど、どちらかといえば穴を柔らかくするように弄られている。

いや、うん……それも気持ち良いんだけどね。

すぐに指が増え、ローションを足され、広げられていく。

とは言え、俺も色々と我慢が出来ない。

それこそ、酷くされても兄さんのペニスを挿入して欲しいんだ!

やっぱり雅隆さんの言った通り、酷くすると言われていても、どこか兄さんを信じている。

それ程、酷くはないはずだって。

既に慣らされた穴に、兄さんのペニスが押し入ろうとしていた。

外でした時よりもローションだって多いし、慣らされてるし!

足を上げられ、奥まで入ってくる。

「んんっ、んんっ……」

「痛い?」

俺は首を横に振った。

多少のキツさはあるが、痛くはない。

「じゃあ、動くよ」

兄さんの腰が上下に動いて、上から勢いよく奥まで突かれる。

「んぁっ、ひぃっ……はぁっ、あぁっ、あぁ……んんっ!」

最初からラストスパートのようで、奥に当たっては快感が身体を駆け抜ける。

「あぁっ、ああっ!きもちぃっ、んんっ、はあっ!」

「ナカ、締めすぎ」

仕方ないだろ!嬉しくて気持ち良くて、感情が溢れてくるんだから!

「あぁっ!もっ、いきそっ……んんっ!あぁっ、いくっ……!」

「良いよ、イッて」

身体全体を震わせて、ドライでイッてしまった。

「んあぁぁぁっ!んんんっ!!っあぁ!はぁっ、はっ……」

「今度は、出してよ」

続けて中を突かれて、何度も身体がビクビクと震え、力が入る。

「んぁぁあ!やぁっ!はっ、はっ、はぁっんんん!」

言われたからって出せるわけじゃないけれど、ムスコを刺激されたら話は別だ。

兄さんは俺のムスコを扱き始める。


「やぁっ!んんっ、あぁっ、でるっ、あぁっ!で、るっ!」

上の服は手を縛った都合上、脱いでいなかったので……まぁ多少は精液で汚れたかもしれない。


余韻に浸る事なく刺激は続き、直ぐにまた快感の波が押し寄せてくる。


「ひぁっ、ああっ!やっ、んんっ、んんっ!」

「これだけじゃ、足りない?」


何が?何が足りないの?

十分なんですけど!

兄さんは一度動きを止めて、俺のエログッズボックスから電マを取り出し、コードをセットした。


「ま、まって!十分だよ?」

「忘れたの?これは躾だよ」


中を突かれて、射精して……こんな状態で電マなんて無理だって!

電源が入れられて、縛られている俺の片手に手渡される。


「自分で裏筋当てて」


しかも自分でやるの?

練習したし、加減を自分でできるならまだ何とかなるか?

俺はゆっくりと自分のムスコに電マを当てた。

「んんんぁっ!ああっ、はっ、はぁっ!」


やばい!そう思って直ぐに電マを離してしまう。


「離すなって」


兄さんは俺の手を持って、グッと電マを押し当てた。


「ひぃぃぁっ!あぁっ、んんっ、んんんっ、んんんっ!」

むりむり!もう無理だって!


「そのままにしておいて」


兄さんは俺の足を持って、また抽挿を始めた。


「ああっ!まっ!ひぁんんんっ、んんんぁっ!」

呻き声を上げながら快感に耐えるけど、やっぱり電マの刺激が強すぎる!

「むりっ、んんんっ!んんぁっ、はぁぁっ!」

「すごいナカ動いてる」

「あぁぁっ!いぐっ、はぅ、いぃぐぅっ!」

射精と共に身体が跳ね、電マを手から落とした。

足も閉じたいけれど閉じられない。

「まだ、離して良いなんて言ってないよ」

兄さんは腰を打ち付けながら電マを拾うと、俺のムスコの亀頭に当てた。

「あああぁぁっ!んあぁっ!あっ、あぁぁぁあ!ひぃっ、あぁぁぁっ!」

「もう無理?」

腰を動かして逃れようとしたけど、兄さんにのしかかられて動きを制御された。

「はぁっ!あぁっ!ああぁっ、いっ、ぐっ!いぐっ!いっでる!」

もう射精しているのか何なのか分からない。

身体中から変な汗まで出てきて、何かがふわりと駆け抜ける。


「はぁっ、はぁぁっ、はぁっ!」

「出すよ……」


兄さんのペニスが脈打ち、精液が注がれて、やっと中への刺激が止んだ。

それと同時に電マがムスコから離され、また俺に手渡された。


「ほら、これで好きなだけ気持ち良くなって」

「はぁっ……はっ……、もぅ……きもちいぃ、よ……」

「もう?まだ始まったばっかだろ」


そう言うと、兄さんは再び動きを始め、俺の腕を掴んで電マを当てた。

もう無理だって!


「あぁっ、んんぁっ、やっ、もぉやだぁっ!」

「嫌?」

「やだっ、もっ……やっ……あぁっ、むりぃ、むりぃっ!」

首を勢いよく左右に降る。


電マがトラウマになりそうだ。

やっぱり自分でやって感度が上がった気がする。

兄さんは電マの電源を切り、ベッドの脇に置いた。


酷くても良いなんて、自分で誘ったくせにこの様だ。不甲斐無くって涙が出そう……いや出てるかもしれない。


「ごめ、ごめんなさい……」

「はぁ……何が?」


兄さんは盛大にため息を吐いて、俺の中からペニスを抜き、俺はその抜ける快感で身体がピクリと跳ねた。


「自分から、誘ったくせに……うまく、出来なくて……」

一度流れてしまった涙が止まらなくなってしまい、俺は縛られている両手で顔を覆った。


「……あのさ、前にも言ったけど、咲耶が上手く出来る必要ないんだって」


兄さんは膝を立てて頬杖を付き、呆れた様子だった。


「でも……酷くて良いって言ったの俺だし」


「だからって、嫌になるまで我慢されたくないよ。確かに酷くするって言ったけど、本当に嫌な事をして傷つけたい訳じゃないし」


そう言うと兄さんは俺の縛られている手を解放してから、俺のムスコに手を伸ばした。

一瞬触れられて、さっきまで刺激のあったそこは過剰に反応してしまい、隠すように身体を丸めてしまった。


「だから、こうなるまで我慢しないでって言いたいんだよ。なんで俺が拒絶されて傷つく羽目になってんの」

「ご、ごめん……。今のは、反射で……」

「それが1番最悪だ」


ああもう、そんなの俺が1番よくわかってるよ!

兄さんを拒絶したいわけじゃないけど、今身体がそう反応したんだから仕方ないだろ!


「俺だって、兄さんに嫌われたくないし!兄さんの期待に応えたいって、思っちゃって……」


そう言った時、兄さんの機嫌がまた1つ下がった気がする!

止めてくれ、もう俺のライフは0だ!


「何勘違いしてるのか知らないけど、俺が何で怒ってたのか忘れたの?」

兄さんが目を鋭くさせる。


「それは……俺が、ホテル行ったから?」


「そうだよ。好きな人が警戒心も無く他の男とホテル行ったからだよ。俺が、咲耶を好きで怒ってんのに、何で嫌われる心配してるわけ?」


怒気は含んでいるものの、兄さんに好きと言われて、俺の不安だった心が一瞬で晴れる。

何て言葉を出したら良いか分からず、兄さんを見つめることしかできない。


「咲耶は、どうして欲しいの?我慢せずに言ってよ」


兄さんの視線が、優しくなる。


俺がどうして欲しいか?

前にもそれで、優しくしてもらった気がする。


「酷くても良いって言うのは、本当だよ。兄さんになら何されても良いし、躾けて欲しい。けど、上手く出来ないから、ゆっくりして欲しいし、たまには飴も欲しい……」


俺って欲張り?

兄さんにたくさんの欲求をしてしまった。

だけど、これが俺の本心だ。


「そう……」

と、いつもの如く兄さんは短い返事をすると、優しく微笑んだ。

あああ、やっぱりかっこいい。

とか思っていたら、兄さんが覆いかぶさってきて、顔が近いと思ったら……唇に柔らかいものが触れた。



えっ!えっ!

こ、これってまさか!

ちゅーですか?



「下手くそ」


言葉は悪いものの、兄さんの声色は柔らかくって、俺を馬鹿にするようなものじゃなかった。


「だって、初めて……だし」


顔を赤くして、戸惑いながら答える。


「……良いよ、一緒に上手くなれば」


兄さんの指が俺の唇をこじ開けて、歯に指をかけてくる。


ムスコが反応して、兄さんに当たってる気がするのは、無視して欲しい。


「口開けて、舌入れるから」


こ、これはディープキスというやつ?


再び唇が触れて、今度は舌が入って歯をなぞってくる。


「ふぁっ……んっ……」


なに、キスってこんなに興奮するの?なんで?

何も考えられなくなる。


唇が離れて、兄さんは俺の横に横たわった。


「飴になった?」

「甘いよ……」


顔を見るのが恥ずかしくなって、俺は兄さんとは反対を向いてしまう。


「そんなに照れなくても」


後ろから抱きつかれて、首元を舐められた。


「ひぁっ!」


何この激甘モード!やばいって!


「でもそろそろ、良い時間だから風呂入らないと」

「あ、う……うん……」


耳元で囁かないでもらえますか?立てなくなるんですけど!


「何もしないから、一緒に入ろ?」


いやもうこの際何かしてください。







「雅隆さんが1人ってことは、上手く行ったの?」

「さぁどうだろうね?一応お兄さんにも発破かけたけど」

「何て言ったの?」

「可愛くて健気な弟君に少し優しくした方がいいって、アドバイスしたんだよ」

「そしたら何て?」

「ふふっ、思い出しただけでも笑っちゃうよ……」

「気になるんだけど……」


有松から話を聞いて、わざわざお兄さんの目に留まるように、デートの誘いをした甲斐があったというものだ。


『咲耶が可愛いなんて、俺が1番良く知ってるから。他人からそんな言葉聞きたくない』


「セフレだなんて、咲耶くんかなり拗らせてるのかと思っていたけれど、お兄さんも相当だったよ。あの弟にあの兄ありって感じ」

「じゃあ俺は今日上手くいかない方に賭けるかな」

「マスター酷いね。じゃあ上手くいってたら、今日のこの酒は奢りってことで」

「まぁ……咲耶くんに免じてそれでも良いよ」


人の恋愛話を肴に、酒を飲む雅隆さんであった。
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