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3章
※37 の続き
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※R-18は読まなくてもストーリーには影響しません。苦手な方は飛ばしてください
「ランシュエ、もう疲れました」
魔王様は息を切らして胸で呼吸をしていた。
2人はベッドの上で一糸まとわず、仰向けに寝ている魔王様の上に覆いかぶさる形で、元天帝は紫色の痕を残していた。
「疲れた?まだまだ先は長いよ」
黄金の眼を光らせながら、腰を軽く動かせば魔王様の身体がびくりと跳ねる。
「うぁっ、待ってください!」
逃げようと、魔王様は元天帝の下から這い出ようとするが、それを逃す元天帝ではない。
腰をしっかりと掴み、再度奥まで自身を挿入した。
その刺激に、魔王様は身体を捩って声を上げることしかできない。
「可愛い」
夢見心地な表情で、元天帝は何度も魔王様を突き上げた。その度に魔王様は呻き声をあげることになる。
「あぁっ!やだっ!やめて、くださいっ!」
「なぜ?気持ち良くない?」
良いから困るのだと、何度言えば分かってくれるのだろうか?魔王様は何も答えずに、ただ元天帝を欲情させる声をあげ続けた。
潤んで固く閉じられた目、さらけ出された痕の付いた首筋、荒い息遣いと膨らんだ唇、全てが元天帝の欲情を煽ってくる。
本当に困っているのはどちらだろうか。
元天帝の抑えきれない情愛は、魔王様の中へ注ぎ込むことでしか解消できない。
「レイリン、愛している。愛しているんだ」
繰り返される言葉に、魔王様は諦めてされるがままになっていた。
「あぁっ!あっ……んんっ!」
程なくして魔王様の身体には体液が迸り、魔王様の中にも注がれた。
お互いの息遣いだけが聞こえてくる。
元天帝は身体を屈め、魔王様の唇を舐めて、舌で口をこじ開けた。
「っ!何を!」
魔王様の口の中に、何かが押し入ってきて、唾を飲み込むタイミングで一緒に飲み込んでしまった。
恍惚とした笑みで元天帝は答えた。
「レイリンは1度飲んだことがあると思うよ。今日は好きにして良いって言ったよね?」
魔王様は背筋がすっと冷たくなり、嫌な予感が頭を埋め尽くした。
「まさか、媚薬じゃないですよね?」
「よく分かったね」
分かるに決まっている。
魔王様はもう既に何度も達し、気怠げになってきた所なのに、なんて非情なんだと涙が出そうだった。
「お願いです。優しくしてください」
ダメと言っても無駄なので、最小限被害が出ないように持っていくしかない。
だが、魔王様は自分の状態が分かっていなかった。
潤んだ眼で見上げながら、可愛く懇願されて欲望を制御できる元天帝はどこにもいない。
「レイリン、今日はとことん素直になってもらいたいんだ」
元天帝は過去の記憶が蘇って、どれほど自分が魔王様を欲していたのかを再認識した。
自分の下で泣いて、叫んで、恥ずかしい所を見せて、達する姿を、何度妄想したことか。
今、目の前にいる存在が自分の全てだ。
「私はいつも素直ではありませんか?」
「いつも以上に、だよ」
元天帝が魔王様の両手を握ると、魔王様の身体が一瞬黄金色に光った。
魔王様の目を見張り、首を左右に振った。
「止めてください!素直になりますから、術はかけないでください!」
「好きにして良いんでしょ?」
「言いました、それでも少しやり過ぎではありませんか?」
魔王様はこの術の正体が分かっていた。まだ媚薬があまり効いていないが、このままでは本当にまずい。
魔王様の息が段々と上がり始める。
「お願いです。解いてください。身体が……熱くて、このままでは……」
「何?」
元天帝は言葉を引き出そうとする。
「頭がおかしくなります」
魔王様は素直に言葉が口から出てしまい、元天帝の口角が上がった。
「そう。今日はいくらでもおかしくなって」
「いくらでも付き合うよ」と元天帝は魔王様の足を掴んだ。
湿った音と肌がぶつかり合う音が室内に響いて、時間はどれだけ経っただろうか。
「あっ!あぁっ!気持ち、いい!愛していますっ!もっと、もっと!」
背後から奥を突かれ、魔王様は快感に声を上げることしかできなかった。
「レイリン、レイリンっ」
「だめっ!あああぁぁっ………んん!」
何度も達しているのに、薬のせいで自身の昂りが治ることはなかった。
「ランシュエ!これ、いつになったら効果、切れるのですか?」
中は既に蕩けており、ただ痺れるほどの強い快感だけが身体中を駆け巡る。
元天帝は動きを緩め、魔王様の湿った背中に唇を落とし、絶望的な言葉を放った。
「そうだね、今が大体15分だから……」
「えっ……今なんて言いました?」
「だから、15分」
「もう数時間は経っていますよね?」
「私たちはそう感じるかもしれない」
これが元天帝の言っていた「どう感じるか分からない」というやつなのかと、魔王様はくらくらしてきた。
「まさか……」
「そうだよ。レイリンにかけた術は素直になるものではないよ」
自分は勝手にその術にかかったと思っていたが、時間の感じ方が変わる術だなんて思いもしなかった。
完全に嵌められた。
魔王様の呼吸が別の意味で荒くなり、すぐに元天帝の下から逃げようと試みた。
「待って、レイリンに素直になって欲しかっただけだよ」
元天帝は魔王様の背中にしがみついて離れない。
「重たいです!退いてください!」
魔王様は力一杯に元天帝の左腕に左肘を入れ、緩んだタイミングで足を使って這い出た。
元天帝の眉が僅かに寄るが、魔王様の方はしっかりとその表情から怒りが見てとれた。
「ふざけないでください!私を馬鹿にしているんですか?弄ぶのも大概にしてください」
魔王様は右手で握り拳を作り、魔力も込めて、座っている元天帝の顔目掛けて殴りかかった。
だが当然、元天帝の顔には届かず、左手で腕を掴まれた。
「ふざけていないし、馬鹿にもしていない。もちろん弄ぶ気もないよ」
元天帝は魔王様の背中に腕を回し微笑んでいる。
この余裕が魔王様の怒りのボルテージを上げることになった。
「これが弄んでいないのなら、何なんですか?」
赤い眼をさらに赤くして、元天帝に怒りをぶつけた。
「レイリン、落ち着いて。もう一度言うけど、私は弄ぶ気は無かった」
少しだけ真面目な表情で元天帝は言うが、魔王様は少しも落ち着く様子はなく、むしろ熱が上がっていった。
「私を操って、可愛く泣く人形のように性処理させたいのなら、お断りします!」
だが、魔王様の言葉に元天帝も流石に目を細めた。2人の瞳にはお互いがしっかりと映っている。
元天帝はそれから逃げるように目を伏せて、声色は冷静にしようと努めた。
「レイリン、私をあまり怒らせないで欲しい」
そして、元天帝の瞼が上がると黄金色に光り、途端に魔王様の身体から力が抜けた。
この感覚は以前にも感じたことがある。小さくなって力をもらった後のことだ。
だがその時と違うのは、身体が勝手に動き始めたことだ。
「ランシュエ?やめてください!」
「レイリンが言ったような事をさせるのなら、私にはもっと簡単な方法がある」
魔王様の身体は、元天帝の勃っているモノに手を伸ばした。そして、座っている元天帝の上に座るように体勢を変え、自分の秘部へとあてがった。
身体はまだ媚薬の効果もあり、十分に熱せられている。このまま挿れることは容易だった。
「ランシュエ!嫌です!やめてください!お願いします!」
魔王様は怖くて仕方がなく、涙を浮かべて懇願してしまった。自分の身体が言う事を聞かない経験はこれまで何度もあったが、これほど怖く感じたことは初めてだ。
何より、無理やりその行為をさせられるというのが怖かった。
「そうだよね?私もこんなことはしたくないよ」
そう元天帝が言うと目を閉じた。ふっと身体の所有権が戻ってきて、そのまま強く元天帝に抱きついてしまった。
「ランシュエ、ランシュエ!もう2度としないでください!」
「分かっているよ」
元天帝は苦痛の表情を浮かべ、魔王様の頭に手を乗せて、優しく髪を撫で付けた。
「私はもうレイリンを無理になんて犯したくない。レイリンの意志で抱かれて欲しい、愛して欲しいよ。そのために何千年かけたと思っているの?」
自分が止めてと泣き叫んでも止めない癖にと魔王様は思ったが、自分と元天帝の「無理矢理」の基準に差がありすぎるだけだと思うことにした。
「愛して欲しいのなら優しくしてください」
魔王様は体を少し離して、元天帝の黄玉を見つめて言った。元天帝も紅玉を見つめ返す。
「レイリンは本当に嫌だったの?愛していると言うのも、もっとと私にねだるのも嫌なの?私に征服されたいんじゃ無いの?」
捲し立てられ、魔王様は一瞬言い返せなくなってしまった。どれも本当に嫌かと言われたら、そうではない。だが今回に至っては論点がズレていた。
「そうではありません!素直になると言ったじゃありませんか。それなのに私を騙すように仕向けたのはランシュエです」
「私は何も言っていないよ。勘違いしているかもとは思ったけれど」
「それが不誠実だと言いたいのです!」
魔王様は確かに勝手に勘違いした。だが話の流れ的にそう勘違いしてもおかしくなかった。
「そう、それは悪かったよ」
元天帝から反省の色は見えないが、とりあえず謝ったので魔王様はそれ以上の言葉を濁し、元天帝から目を背けてしまった。
それでも元天帝は魔王様の紅玉を見つめて、言葉をゆっくりと吐き出した。
「でもね、レイリン。私は本当に愛していると言ってくれるのが嬉しいんだ。何度聞いても、何千、何万回聞いても足らない。素直な言葉をもっと聞きたいと思うのは、おかしな事?」
殊勝な態度の元天帝に、魔王様の怒りは何処かへ消えてしまった。
魔王様は目を閉じて、元天帝に手を回してぐっと力を込めて抱きついた。
結局のところ、魔王様の媚薬はまだ全然身体から抜けていない。
怒りで一時的に身体の熱が気にならなかったが、その怒りが去って仕舞えば、また身体中の熱が戻ってくる。
元天帝にしがみついているせいで、体臭ですら頭をおかしくさせる。
「ランシュエ。私を抱いて、もっと、奥を」
魔王様はそこまで言って、羞恥で言葉が続かなくなった。どうしようか悩んでいる間にも、その羞恥でピクリピクリと自身が跳ねる。
魔王様は軽く腰を浮かせて、元天帝のモノを手で支えると、自分の秘部へ沈め始めた。
中はまだしっかりと熟れており、難なくその大きなモノを奥まで咥え込んだ。
元天帝は僅かに驚いたようだったが、魔王様の行動に嬉しくならないはずがない。
恍惚とした表情で「気持ちいいよ」と言った。
「ランシュエ、私も貴方のことがずっと欲しかった。今更逃げたいと言っても、逃がしません」
魔王様は元天帝を後ろへ倒し、上へ跨る姿勢をとった。
元天帝は、上から眺めてくる魔王様を美しいと見惚れてしまった。
「逃げる?私が?」
「どれほど私が醜く、欲望に塗れているか、ランシュエは知らないのです」
「いいよ、見せて。レイリンの醜い姿なんて見たことないから楽しみだね」
元天帝が微笑み、楽しそうに魔王様のモノに触れる。
「あっ……んっ」
魔王様は眉間に皺が寄り、敏感に身体が跳ねた。
だが、元天帝はそれだけでなく上下に動かそうとしたが、魔王様の腰の方が先に動き出した。
「あぁっ!うぁっ、あぁっ、あぁっ」
腰の動きに合わせて、魔王様の声が発せられる。
元天帝からは、白い体液に塗れた自身の昂りが見えた。
一心不乱に快感を求める魔王様は、足と腰で上下に動き続ける。
「あぁぁっ!あぁっ、ああぁっ!!」
低い叫び声を上げたと思えば、背中が丸まった。
それでも腰の動きは止めずに快感を貪る姿は、元天帝のモノで自慰行為をしているようだった。
「ランシュエっ!私の、もっ……触れて、くださいっ」
元天帝は、快感と目の前で広げられる甘美な姿に我を忘れていた。そう声をかけられてやっと手を動かし始めた。
「あああっ!あっ、はぁぅっ!んっんぅっ」
魔王様のモノから、白く濁った体液が飛び散り元天帝の身体を汚した。
そこでやっと魔王様は動きを止めて、飛び散った自分の体液を、元天帝の身体に擦りつけるように掌で伸ばした。
「ふふっ、もっと汚してあげます」
そう言うと魔王様はまた腰を動かし始める。
魔王様のモノはまた勃ち始め、元天帝は扱くのを止めたなかった。
元天帝は言葉が出なかった。本当に何と言っていいか分からない。官能的、艶かしい、今の魔王様を形容しようものなら、全て同じ意味の言葉になってしまう。
魔王様は媚薬の効果もあり達することができるが、元天帝は気持ちはいいが刺激が足らず、生殺し状態だった。、
「レイリンっ!凄くそそられるけれど、私は我慢できないっ」
「あぁっ、なんのっ、はぁっあぁっ、がまんっ、ですか?」
それでも動きを止めずに魔王様は快感を求めて動きを続ける。
「私もイキたいよ。交代したい」
「もう少し、私がっあぁっんんっ、汚してから、ですっ」
そう言うと魔王様は律動を早くし、「出ますっ!」と言って果てた。
が、それで止まらずに快感を求め続ける。元天帝の扱く手も止めない。
「ああぁっ!あぁっ!ああぁぁっ!」
我慢することのない腹部からの声が上がり、魔王様のモノから透明でさらりとした液体が迸った。
その液体を出しながらも動きを止めずに、何度も何度も壊れたように出し続け、元天帝の腹部は魔王様の体液で一杯になった。
そして最後にまた背中を丸めると、余裕もなく大量の精液を吐き出した。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
魔王様が息を整えているが、元天帝の息は荒くなる一方で、気がおかしくなりそうだった。
普段なら魔力で身体を制御している所だが、今回に至ってはそうではなかったようだ。
「ランシュエ……愛してます」
呆然とした魔王様は、まだ息も整わずにそう言うと、流石に疲れたのか腰を後ろに引いて元天帝のモノを抜いた。
だが元天帝は出せていない。
「レイリン、まさか終わりなんて言わないよね?」
元天帝は自分がこれほど情けない声を出せるとは思わなかった。初めて魔王様に対して助けてくれと懇願しそうだった。
ここで止めろと言われたら、先ほど言った無理矢理はしたく無いという言葉を撤回しなけらばならない。
「はぁ……はぁ……、もちろんまだ足りません。まだ、中が疼きます。早く……中に欲しいです」
元天帝の眉間に皺が寄り、魔王様の身体を反転させると、後ろから勢いよく貫いた。
「あぁあぁっ!あっあっ」
魔王様が動くより速く、強く打ち付けられる刺激に、魔王様の身体は悦び、また嬌声を上げ続けた。
それから、数時間。実際に何時間経ったかは分からないが、2人はあらゆる液体で汚れていた。
だがお互いお構いなしで正面を向き合いながら抱き合っていた。
「結局、今どれほど経ったのですか?」
「4分の1の早さで半日経ったから、3時間だね」
「もうその術解きませんか?」
魔王様の体力はもう残っていないようだった。
「なぜ?まだ3.5日残っているよ。ずっと行為を続ける必要はない。たまには2人でゆっくりしよう」
魔王様は大きく溜息を吐いた。元天帝と2人きりでそんな事あるはずがないだろうと。
だが実時間で、3時間経ってようやく媚薬の効果が薄れてきて、半日近く続いた身体の疼きからやっと解放された所だった。
今は少し休みたい。
「では、少し休憩させてください。そしたら……」
魔王様は言い淀んでから、少し考え、俯きながら続きを言った。
「また、続きをしましょう」
元天帝は嬉しそうに微笑んで返した。
「もちろん。今度は私が媚薬を飲もうか?」
「それは冗談でも笑えません」
「ランシュエ、もう疲れました」
魔王様は息を切らして胸で呼吸をしていた。
2人はベッドの上で一糸まとわず、仰向けに寝ている魔王様の上に覆いかぶさる形で、元天帝は紫色の痕を残していた。
「疲れた?まだまだ先は長いよ」
黄金の眼を光らせながら、腰を軽く動かせば魔王様の身体がびくりと跳ねる。
「うぁっ、待ってください!」
逃げようと、魔王様は元天帝の下から這い出ようとするが、それを逃す元天帝ではない。
腰をしっかりと掴み、再度奥まで自身を挿入した。
その刺激に、魔王様は身体を捩って声を上げることしかできない。
「可愛い」
夢見心地な表情で、元天帝は何度も魔王様を突き上げた。その度に魔王様は呻き声をあげることになる。
「あぁっ!やだっ!やめて、くださいっ!」
「なぜ?気持ち良くない?」
良いから困るのだと、何度言えば分かってくれるのだろうか?魔王様は何も答えずに、ただ元天帝を欲情させる声をあげ続けた。
潤んで固く閉じられた目、さらけ出された痕の付いた首筋、荒い息遣いと膨らんだ唇、全てが元天帝の欲情を煽ってくる。
本当に困っているのはどちらだろうか。
元天帝の抑えきれない情愛は、魔王様の中へ注ぎ込むことでしか解消できない。
「レイリン、愛している。愛しているんだ」
繰り返される言葉に、魔王様は諦めてされるがままになっていた。
「あぁっ!あっ……んんっ!」
程なくして魔王様の身体には体液が迸り、魔王様の中にも注がれた。
お互いの息遣いだけが聞こえてくる。
元天帝は身体を屈め、魔王様の唇を舐めて、舌で口をこじ開けた。
「っ!何を!」
魔王様の口の中に、何かが押し入ってきて、唾を飲み込むタイミングで一緒に飲み込んでしまった。
恍惚とした笑みで元天帝は答えた。
「レイリンは1度飲んだことがあると思うよ。今日は好きにして良いって言ったよね?」
魔王様は背筋がすっと冷たくなり、嫌な予感が頭を埋め尽くした。
「まさか、媚薬じゃないですよね?」
「よく分かったね」
分かるに決まっている。
魔王様はもう既に何度も達し、気怠げになってきた所なのに、なんて非情なんだと涙が出そうだった。
「お願いです。優しくしてください」
ダメと言っても無駄なので、最小限被害が出ないように持っていくしかない。
だが、魔王様は自分の状態が分かっていなかった。
潤んだ眼で見上げながら、可愛く懇願されて欲望を制御できる元天帝はどこにもいない。
「レイリン、今日はとことん素直になってもらいたいんだ」
元天帝は過去の記憶が蘇って、どれほど自分が魔王様を欲していたのかを再認識した。
自分の下で泣いて、叫んで、恥ずかしい所を見せて、達する姿を、何度妄想したことか。
今、目の前にいる存在が自分の全てだ。
「私はいつも素直ではありませんか?」
「いつも以上に、だよ」
元天帝が魔王様の両手を握ると、魔王様の身体が一瞬黄金色に光った。
魔王様の目を見張り、首を左右に振った。
「止めてください!素直になりますから、術はかけないでください!」
「好きにして良いんでしょ?」
「言いました、それでも少しやり過ぎではありませんか?」
魔王様はこの術の正体が分かっていた。まだ媚薬があまり効いていないが、このままでは本当にまずい。
魔王様の息が段々と上がり始める。
「お願いです。解いてください。身体が……熱くて、このままでは……」
「何?」
元天帝は言葉を引き出そうとする。
「頭がおかしくなります」
魔王様は素直に言葉が口から出てしまい、元天帝の口角が上がった。
「そう。今日はいくらでもおかしくなって」
「いくらでも付き合うよ」と元天帝は魔王様の足を掴んだ。
湿った音と肌がぶつかり合う音が室内に響いて、時間はどれだけ経っただろうか。
「あっ!あぁっ!気持ち、いい!愛していますっ!もっと、もっと!」
背後から奥を突かれ、魔王様は快感に声を上げることしかできなかった。
「レイリン、レイリンっ」
「だめっ!あああぁぁっ………んん!」
何度も達しているのに、薬のせいで自身の昂りが治ることはなかった。
「ランシュエ!これ、いつになったら効果、切れるのですか?」
中は既に蕩けており、ただ痺れるほどの強い快感だけが身体中を駆け巡る。
元天帝は動きを緩め、魔王様の湿った背中に唇を落とし、絶望的な言葉を放った。
「そうだね、今が大体15分だから……」
「えっ……今なんて言いました?」
「だから、15分」
「もう数時間は経っていますよね?」
「私たちはそう感じるかもしれない」
これが元天帝の言っていた「どう感じるか分からない」というやつなのかと、魔王様はくらくらしてきた。
「まさか……」
「そうだよ。レイリンにかけた術は素直になるものではないよ」
自分は勝手にその術にかかったと思っていたが、時間の感じ方が変わる術だなんて思いもしなかった。
完全に嵌められた。
魔王様の呼吸が別の意味で荒くなり、すぐに元天帝の下から逃げようと試みた。
「待って、レイリンに素直になって欲しかっただけだよ」
元天帝は魔王様の背中にしがみついて離れない。
「重たいです!退いてください!」
魔王様は力一杯に元天帝の左腕に左肘を入れ、緩んだタイミングで足を使って這い出た。
元天帝の眉が僅かに寄るが、魔王様の方はしっかりとその表情から怒りが見てとれた。
「ふざけないでください!私を馬鹿にしているんですか?弄ぶのも大概にしてください」
魔王様は右手で握り拳を作り、魔力も込めて、座っている元天帝の顔目掛けて殴りかかった。
だが当然、元天帝の顔には届かず、左手で腕を掴まれた。
「ふざけていないし、馬鹿にもしていない。もちろん弄ぶ気もないよ」
元天帝は魔王様の背中に腕を回し微笑んでいる。
この余裕が魔王様の怒りのボルテージを上げることになった。
「これが弄んでいないのなら、何なんですか?」
赤い眼をさらに赤くして、元天帝に怒りをぶつけた。
「レイリン、落ち着いて。もう一度言うけど、私は弄ぶ気は無かった」
少しだけ真面目な表情で元天帝は言うが、魔王様は少しも落ち着く様子はなく、むしろ熱が上がっていった。
「私を操って、可愛く泣く人形のように性処理させたいのなら、お断りします!」
だが、魔王様の言葉に元天帝も流石に目を細めた。2人の瞳にはお互いがしっかりと映っている。
元天帝はそれから逃げるように目を伏せて、声色は冷静にしようと努めた。
「レイリン、私をあまり怒らせないで欲しい」
そして、元天帝の瞼が上がると黄金色に光り、途端に魔王様の身体から力が抜けた。
この感覚は以前にも感じたことがある。小さくなって力をもらった後のことだ。
だがその時と違うのは、身体が勝手に動き始めたことだ。
「ランシュエ?やめてください!」
「レイリンが言ったような事をさせるのなら、私にはもっと簡単な方法がある」
魔王様の身体は、元天帝の勃っているモノに手を伸ばした。そして、座っている元天帝の上に座るように体勢を変え、自分の秘部へとあてがった。
身体はまだ媚薬の効果もあり、十分に熱せられている。このまま挿れることは容易だった。
「ランシュエ!嫌です!やめてください!お願いします!」
魔王様は怖くて仕方がなく、涙を浮かべて懇願してしまった。自分の身体が言う事を聞かない経験はこれまで何度もあったが、これほど怖く感じたことは初めてだ。
何より、無理やりその行為をさせられるというのが怖かった。
「そうだよね?私もこんなことはしたくないよ」
そう元天帝が言うと目を閉じた。ふっと身体の所有権が戻ってきて、そのまま強く元天帝に抱きついてしまった。
「ランシュエ、ランシュエ!もう2度としないでください!」
「分かっているよ」
元天帝は苦痛の表情を浮かべ、魔王様の頭に手を乗せて、優しく髪を撫で付けた。
「私はもうレイリンを無理になんて犯したくない。レイリンの意志で抱かれて欲しい、愛して欲しいよ。そのために何千年かけたと思っているの?」
自分が止めてと泣き叫んでも止めない癖にと魔王様は思ったが、自分と元天帝の「無理矢理」の基準に差がありすぎるだけだと思うことにした。
「愛して欲しいのなら優しくしてください」
魔王様は体を少し離して、元天帝の黄玉を見つめて言った。元天帝も紅玉を見つめ返す。
「レイリンは本当に嫌だったの?愛していると言うのも、もっとと私にねだるのも嫌なの?私に征服されたいんじゃ無いの?」
捲し立てられ、魔王様は一瞬言い返せなくなってしまった。どれも本当に嫌かと言われたら、そうではない。だが今回に至っては論点がズレていた。
「そうではありません!素直になると言ったじゃありませんか。それなのに私を騙すように仕向けたのはランシュエです」
「私は何も言っていないよ。勘違いしているかもとは思ったけれど」
「それが不誠実だと言いたいのです!」
魔王様は確かに勝手に勘違いした。だが話の流れ的にそう勘違いしてもおかしくなかった。
「そう、それは悪かったよ」
元天帝から反省の色は見えないが、とりあえず謝ったので魔王様はそれ以上の言葉を濁し、元天帝から目を背けてしまった。
それでも元天帝は魔王様の紅玉を見つめて、言葉をゆっくりと吐き出した。
「でもね、レイリン。私は本当に愛していると言ってくれるのが嬉しいんだ。何度聞いても、何千、何万回聞いても足らない。素直な言葉をもっと聞きたいと思うのは、おかしな事?」
殊勝な態度の元天帝に、魔王様の怒りは何処かへ消えてしまった。
魔王様は目を閉じて、元天帝に手を回してぐっと力を込めて抱きついた。
結局のところ、魔王様の媚薬はまだ全然身体から抜けていない。
怒りで一時的に身体の熱が気にならなかったが、その怒りが去って仕舞えば、また身体中の熱が戻ってくる。
元天帝にしがみついているせいで、体臭ですら頭をおかしくさせる。
「ランシュエ。私を抱いて、もっと、奥を」
魔王様はそこまで言って、羞恥で言葉が続かなくなった。どうしようか悩んでいる間にも、その羞恥でピクリピクリと自身が跳ねる。
魔王様は軽く腰を浮かせて、元天帝のモノを手で支えると、自分の秘部へ沈め始めた。
中はまだしっかりと熟れており、難なくその大きなモノを奥まで咥え込んだ。
元天帝は僅かに驚いたようだったが、魔王様の行動に嬉しくならないはずがない。
恍惚とした表情で「気持ちいいよ」と言った。
「ランシュエ、私も貴方のことがずっと欲しかった。今更逃げたいと言っても、逃がしません」
魔王様は元天帝を後ろへ倒し、上へ跨る姿勢をとった。
元天帝は、上から眺めてくる魔王様を美しいと見惚れてしまった。
「逃げる?私が?」
「どれほど私が醜く、欲望に塗れているか、ランシュエは知らないのです」
「いいよ、見せて。レイリンの醜い姿なんて見たことないから楽しみだね」
元天帝が微笑み、楽しそうに魔王様のモノに触れる。
「あっ……んっ」
魔王様は眉間に皺が寄り、敏感に身体が跳ねた。
だが、元天帝はそれだけでなく上下に動かそうとしたが、魔王様の腰の方が先に動き出した。
「あぁっ!うぁっ、あぁっ、あぁっ」
腰の動きに合わせて、魔王様の声が発せられる。
元天帝からは、白い体液に塗れた自身の昂りが見えた。
一心不乱に快感を求める魔王様は、足と腰で上下に動き続ける。
「あぁぁっ!あぁっ、ああぁっ!!」
低い叫び声を上げたと思えば、背中が丸まった。
それでも腰の動きは止めずに快感を貪る姿は、元天帝のモノで自慰行為をしているようだった。
「ランシュエっ!私の、もっ……触れて、くださいっ」
元天帝は、快感と目の前で広げられる甘美な姿に我を忘れていた。そう声をかけられてやっと手を動かし始めた。
「あああっ!あっ、はぁぅっ!んっんぅっ」
魔王様のモノから、白く濁った体液が飛び散り元天帝の身体を汚した。
そこでやっと魔王様は動きを止めて、飛び散った自分の体液を、元天帝の身体に擦りつけるように掌で伸ばした。
「ふふっ、もっと汚してあげます」
そう言うと魔王様はまた腰を動かし始める。
魔王様のモノはまた勃ち始め、元天帝は扱くのを止めたなかった。
元天帝は言葉が出なかった。本当に何と言っていいか分からない。官能的、艶かしい、今の魔王様を形容しようものなら、全て同じ意味の言葉になってしまう。
魔王様は媚薬の効果もあり達することができるが、元天帝は気持ちはいいが刺激が足らず、生殺し状態だった。、
「レイリンっ!凄くそそられるけれど、私は我慢できないっ」
「あぁっ、なんのっ、はぁっあぁっ、がまんっ、ですか?」
それでも動きを止めずに魔王様は快感を求めて動きを続ける。
「私もイキたいよ。交代したい」
「もう少し、私がっあぁっんんっ、汚してから、ですっ」
そう言うと魔王様は律動を早くし、「出ますっ!」と言って果てた。
が、それで止まらずに快感を求め続ける。元天帝の扱く手も止めない。
「ああぁっ!あぁっ!ああぁぁっ!」
我慢することのない腹部からの声が上がり、魔王様のモノから透明でさらりとした液体が迸った。
その液体を出しながらも動きを止めずに、何度も何度も壊れたように出し続け、元天帝の腹部は魔王様の体液で一杯になった。
そして最後にまた背中を丸めると、余裕もなく大量の精液を吐き出した。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
魔王様が息を整えているが、元天帝の息は荒くなる一方で、気がおかしくなりそうだった。
普段なら魔力で身体を制御している所だが、今回に至ってはそうではなかったようだ。
「ランシュエ……愛してます」
呆然とした魔王様は、まだ息も整わずにそう言うと、流石に疲れたのか腰を後ろに引いて元天帝のモノを抜いた。
だが元天帝は出せていない。
「レイリン、まさか終わりなんて言わないよね?」
元天帝は自分がこれほど情けない声を出せるとは思わなかった。初めて魔王様に対して助けてくれと懇願しそうだった。
ここで止めろと言われたら、先ほど言った無理矢理はしたく無いという言葉を撤回しなけらばならない。
「はぁ……はぁ……、もちろんまだ足りません。まだ、中が疼きます。早く……中に欲しいです」
元天帝の眉間に皺が寄り、魔王様の身体を反転させると、後ろから勢いよく貫いた。
「あぁあぁっ!あっあっ」
魔王様が動くより速く、強く打ち付けられる刺激に、魔王様の身体は悦び、また嬌声を上げ続けた。
それから、数時間。実際に何時間経ったかは分からないが、2人はあらゆる液体で汚れていた。
だがお互いお構いなしで正面を向き合いながら抱き合っていた。
「結局、今どれほど経ったのですか?」
「4分の1の早さで半日経ったから、3時間だね」
「もうその術解きませんか?」
魔王様の体力はもう残っていないようだった。
「なぜ?まだ3.5日残っているよ。ずっと行為を続ける必要はない。たまには2人でゆっくりしよう」
魔王様は大きく溜息を吐いた。元天帝と2人きりでそんな事あるはずがないだろうと。
だが実時間で、3時間経ってようやく媚薬の効果が薄れてきて、半日近く続いた身体の疼きからやっと解放された所だった。
今は少し休みたい。
「では、少し休憩させてください。そしたら……」
魔王様は言い淀んでから、少し考え、俯きながら続きを言った。
「また、続きをしましょう」
元天帝は嬉しそうに微笑んで返した。
「もちろん。今度は私が媚薬を飲もうか?」
「それは冗談でも笑えません」
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